45 / 129
044★封印されていたのは繭と‥‥‥
しおりを挟むちょっと呆然自失してから、セシリアはやっとその事実に気付く。
ある意味で、自分が居る場所は判ったが、本当の意味では、それは何の意味も無いというコトを‥‥‥。
なぜなら、謎の神殿《牢縛の神殿》自体が、秘されている為、誰もその場所を知らない神殿だったから‥‥‥。
「って、それじゃ意味が
無いじゃなぁーい
うわぁぁ~ん、自分の
居場所が判らないよぉ‥‥‥」
そして、再び振り出しに戻る。
この場所は何処で、この《牢縛の神殿》の出入り口は何処?
そう、セシリアは前世で兄達や従兄弟と遊んだ、人生ゲームを思い出した。
(うわぁぁ~ん‥‥‥後と少しで
ゴールって思った時にぃ
スタートに戻るって状態を
思い出したわぁ~‥‥‥
全てが、振り出しに戻るって‥‥‥
限りなくリセットに近いけど
終わらないゲームぅ~‥‥‥)
こころから気が済むまで嘆いた後、セシリアは気持ちを無理矢理切り替えて、インベントリの指輪の中にしまった扇を取り出す。
そして、その窪みにカッチリと嵌め込んだ。
暗くなってもしょうがないと、前向きに行動するコトを褒めるかのように、最後の9本目の石柱は強く光り輝き、水晶柱へと変化する。
ソコの中には‥‥‥。
「えぇ~と、コレって
見た感じは繭のようね」
水晶柱の中には、バスケットボールとラグビーボールを足して2で割ったかのような大きさの、いかにも繭というようなモノが浮かんでいた。
(まるで、小学校の時の
授業の一環で、クラス
全員参加で飼育した
おカイコさんの繭みたい
格子状の箱に並んだ繭を
茹でて絹糸を採るって
説明されて泣いたっけ)
当時のコトを思い出し、ちょっと感傷に浸ったセシリアは、意を決して繭に手を伸ばす。
と、コロンッと腕の中に入って来た。
「あら、思ったよりも
全然重くないわねぇ」
(コレの中身が
おカイコさんと同類の
蛾じゃないことを祈るわ)
きっと、違うモノだろうと思い(=希望)ながら、セシリアはその繭を抱っこしたまま、他に何か無いかと、水晶柱を見上げる。
と、ソコには、自分とさほど年齢の変わらないらしい、青年になりかけの少年が浮かんでいた。
ただし、その姿は、どこぞのミイラのようだったりする。
そう、両腕を交差させて、握りこぶしを握った状態で、目を瞑っている姿だ。
その姿を、セシリアがじぃ~っとよく観察してみれば、その全身には薄っすらとした、見た事も無いような文字?の鎖?が幾重にも絡んでいた。
額には繊細な彫刻が施されたサークレットが、交差させた両手首にも似たような腕輪が見えた。
「かなり綺麗な青年よね
もしかして、あの姿って
厳重に《封印》されている
ってコトかしら?
ここが、本当に
《牢縛の神殿》なら
そういうコトよね
どうやったら、彼?を
解放できるのかしら?」
セシリアはちょっと迷ってから、繭を抱えたまま水晶柱に入るコトにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,338
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる