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044★封印されていたのは繭と‥‥‥

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 ちょっと呆然自失してから、セシリアはやっとその事実に気付く。

 ある意味で、自分が居る場所は判ったが、本当の意味では、それは何の意味も無いというコトを‥‥‥。

 なぜなら、謎の神殿《牢縛の神殿》自体が、秘されている為、誰もその場所を知らない神殿だったから‥‥‥。

 「って、それじゃ意味が
  無いじゃなぁーい

  うわぁぁ~ん、自分の
  居場所が判らないよぉ‥‥‥」

 そして、再び振り出しに戻る。
 この場所は何処で、この《牢縛の神殿》の出入り口は何処?

 そう、セシリアは前世で兄達や従兄弟と遊んだ、人生ゲームを思い出した。

 (うわぁぁ~ん‥‥‥後と少しで
  ゴールって思った時にぃ

  スタートに戻るって状態を
  思い出したわぁ~‥‥‥

  全てが、振り出しに戻るって‥‥‥
  限りなくリセットに近いけど
  終わらないゲームぅ~‥‥‥)

 こころから気が済むまで嘆いた後、セシリアは気持ちを無理矢理切り替えて、インベントリの指輪の中にしまった扇を取り出す。
 そして、その窪みにカッチリと嵌め込んだ。

 暗くなってもしょうがないと、前向きに行動するコトを褒めるかのように、最後の9本目の石柱は強く光り輝き、水晶柱へと変化する。
 ソコの中には‥‥‥。

 「えぇ~と、コレって
  見た感じは繭のようね」

 水晶柱の中には、バスケットボールとラグビーボールを足して2で割ったかのような大きさの、いかにも繭というようなモノが浮かんでいた。

 (まるで、小学校の時の
  授業の一環で、クラス
  全員参加で飼育した

  おカイコさんの繭みたい
  格子状の箱に並んだ繭を

  茹でて絹糸を採るって
  説明されて泣いたっけ)

 当時のコトを思い出し、ちょっと感傷に浸ったセシリアは、意を決して繭に手を伸ばす。
 と、コロンッと腕の中に入って来た。

 「あら、思ったよりも
  全然重くないわねぇ」

 (コレの中身が
  おカイコさんと同類の
  蛾じゃないことを祈るわ)

 きっと、違うモノだろうと思い(=希望)ながら、セシリアはその繭を抱っこしたまま、他に何か無いかと、水晶柱を見上げる。
 と、ソコには、自分とさほど年齢の変わらないらしい、青年になりかけの少年が浮かんでいた。

 ただし、その姿は、どこぞのミイラのようだったりする。
 そう、両腕を交差させて、握りこぶしを握った状態で、目を瞑っている姿だ。

 その姿を、セシリアがじぃ~っとよく観察してみれば、その全身には薄っすらとした、見た事も無いような文字?の鎖?が幾重にも絡んでいた。

 額には繊細な彫刻が施されたサークレットが、交差させた両手首にも似たような腕輪が見えた。

 「かなり綺麗な青年よね
  もしかして、あの姿って

  厳重に《封印》されている
  ってコトかしら?

  ここが、本当に
  《牢縛の神殿》なら
  そういうコトよね

  どうやったら、彼?を
  解放できるのかしら?」

 セシリアはちょっと迷ってから、繭を抱えたまま水晶柱に入るコトにした。










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