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第7章 主人公と皇女の結婚式前
Sweet time with you .
しおりを挟む「これは_____指輪?」
「ッ、そ!それは!その……………ッ」
最悪だ、最悪にかっこ悪い展開だ。やっぱり俺は変わってなかった。俺の馬鹿さ加減と運の悪さは相当だ。よし、死のう。
そう結論づけて菩薩顔になるセオドアに、アミィールはふ、と笑みを浮かべながらセオドアの隣に座る。
そして、そ、とセオドアの手を取った。
「……………?アミィ?」
「……………………わたくしの色を、貴方に」
アミィールはぽつり、と呟いてセオドアの薬指に指輪を嵌めた。そして、その指輪にちゅ、と唇を落とした。
「_____これで、セオ様はわたくしのモノ、ですか?」
「____ッ」
脱がせやすい夜着を纏い、上目遣いで意地悪く笑うアミィール様。それだけで、俺の顔に熱が篭っていく。
____やっぱり、アミィール様は俺の王子だ。
少女漫画の一コマのような光景ばかり見せられている。その度に胸がドキドキして、顔が熱くなって…………………あの時、助けて貰ってからずっと俺の心を占めているんだ。
セオドア様はお顔を真っ赤にしている。わたくしの髪と同じ色の指輪。一目でセオドア様が作ったものだと分かった。
_____やっぱり、セオドア様はわたくしのお姫様。
いつだっていじらしくて、可愛くて、優しい心が眩しくて。でも、それを見るだけで心が温かくなって。わたくしの心を占める唯一の御方。
この人以外の男などどうでもいい。人類がこの男だけになって、わたくしがその世界で唯一の女になれたらどれだけ幸せだろう。
アミィールはそう思いながら、セオドアの指輪を嵌めた手に、群青色の指輪を乗せる。そして、自分の手を差し出した。
「………………アミィ、俺は、貴方をこの指輪に誓ってこれから愛していきます」
セオドアは赤い顔のまま、それでもアミィールから目を逸らさず、そう言った。涙を浮かべながらも優しく微笑むアミィールの手に、自分色の群青色の指輪を細い指に嵌めた。
色違いのおそろい。あべこべな関係。
それが俺達だ。
「……………セオ様」
「?____ッ」
アミィールは、セオドアが何かを言う前に唇を重ね、押し倒した。
_____啄むようなキス。何度も何度も重ねれば、セオドア様の"男"が目覚める。
アミィールの思った通り、顔を真っ赤にしていたセオドアは触れるだけのキスをしているアミィールの後頭部を抑えて深いキスをした。
_____甘い、甘いキス。俺はいつだって惑わされてきた。その度にどれだけ我慢したか覚えていない。
でも。
「ん、ふ、っ…………」
「……………ん」
セオドアは、優しく自分の上に覆い被さる脱力したアミィールを抱きとめ、今度は自分が押し倒した。
ベッドの上には愛おしい御方。
黄金色の瞳が潤んで、頬を赤らめている。でも、その潤んだ瞳には物欲しそうな、懇願するようなお顔。
_____もう、我慢は終わりでいいんだよな?
「……………アミィ、俺は…………もう、止まれそうにないよ?」
「……………ええ、セオ様」
「セオ様、じゃない。セオと呼んでおくれ」
「ん、っ……………せ、オ………ッ」
アミィールの甘い言葉を聞きながら、首筋に食らいつく。
______なあ、アミィール様。
______俺の全てを捧げるから。
______貴方の全てを、俺に下さい。
言葉に出来ない思考を、アミィール様は心得たかのように、優しく、挑発的に微笑んだ。
「_____わたくしの全てを、貴方に。
_____貴方の全てを、わたくしに。
セオ、わたくしを____名実共に、貴方の妻にしてくださいませ」
そう告げた貴方は、やっぱり俺より男前で………………………俺が愛せる唯一の女だった。
_____俺の、アミィール様の我慢は報われ、俺達は砂糖よりも甘く、蜂蜜より蕩けそうな甘い、甘い時間を共に過ごした。
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