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第21章 元龍神の末裔の『呪い』
主人公は塞ぎ込む
しおりを挟む「____貴方は、一体なんなのですか…………?」
俺は顔だけをあげて、男を見る。男は楽しげに笑いながら言葉を紡ぐ。
『まあ、世間一般的には幽霊というものさ。しかも特殊でな、アルティアやアルティアの子………いや、我の孫にあたるのか。そしてラフェエル……まあ、我に関わった者には不思議と見えないようなのだ。
ダーインの野郎も度々来るけれど、我の姿は見えないようだしな』
そう言って楽しげに笑う。
俺は幽霊と話している…………?いや、ダーインスレイヴ様と話せているし、幽霊と話せる体質なのかも………しかし、ダーインスレイヴ様は誰とでも話せるし……それよりダーインってダーインスレイヴ様のことなのか?
頭が混乱する。最近の俺、何か変なことに巻き込まれるように出来ているのか?主人公補正か何かか………?
『お前は主人公なのかい?』
「___ッ」
これには、驚いた。
ダーインスレイヴ様も妖精神も精霊も、ゲームの設定のことを考えると『聞き取りにくくなった』と言うから。初めて主人公という言葉に反応されたのだ。
『そりゃあ、幽霊だからさ。ダーインは魔剣だろう?元気だろう?アイツは邪道だ、ちゃんとした幽霊じゃないのさ。妖精神も精霊も間抜けが多いからなあ。
その点、我は元!最強生物だったんだぞ?凄いだろう』
「……………」
なんというか、アルティア皇妃様と話している気分に陥る。無茶苦茶元気だし無茶苦茶明るい。ヘタレなビビりの俺には到底ついていけそうにない。
『口があるなら口で話しなさいよ。これまた個性的だなあ。
………話は聞いてたぜ、我の孫を深く愛しているんだろう?青年。グチグチグチグチ心で自虐するなら我に話してみなさいよ。どうにかしてやることは出来ないがな!がはは!』
「………からかわないでください」
セオドアはふい、と顔を逸らした。
今、そういうノリに付き合う気力なんてない。そういう気分を持てない。だって、アミィール様を救えない、子供達を救えない俺なんて役立たずのろくでなしなんだから。話したってなにも変わらない。本人もそう言っているし、ならば関わる必要も無い。
『酷い言われようだし、なんというか自分を責めすぎじゃないか?
もう少し肩の力を抜けよ、若いんだから』
「心を読まないでください。読んだのであれば私に関わらないでください」
『冷たいなあ、我はお前の愛する女のおじいちゃんだぞ?おじいちゃんに会えて嬉しい!とかないのかい?』
「それは…………」
すこし、あったりする。
アミィール様はアルティア皇妃様によく似ている。そして、ガーランドという男はアルティア皇妃の男版と言っても過言ではない。もし男が生まれたらこんな顔立ちになるのか、と思うと嬉しかったりする。
けど、それを素直に喜べない状況なのがなぜこの男にはわからないのだろう。
『わかっているさ、"呪い"をどうにかしたい、俺は無力だ、役立たずだ。………お前の心が雄弁に語っている。
だからこそ気軽に考えろと言っているんだ。
___そういう人間は、心が脆く壊れやすい。壊れてしまっては本末転倒だと思わないかい?』
「……………」
その通りだと、思うけれど。
セオドアは拳を握りながら吐き捨てるように言う。
「____そうだとしても、考えてしまうから私はこの御方を愛しているのです。
心が壊れようと、私は考えないことなど、できません」
『考えるなと言っているわけではないさ』
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