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18 実妹が来ました。

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あれから暫く私に危害を加えようとする人は現れなくなった。
これも王太子がちゃんと国王様に言っててくれたからなのだろうと思う。
それに近衛隊長が新しく変わったのだ。
名前はルエと名乗る背の高い女性だ。
私は常にこのルエと侍女のラスティと共にすることが増えた。

「マリア様。本日は王太子の実妹アンドル様がお見えになるそうです」

ルエが私にそう話した。
そう、今日はあのアンドル様が私の所に来ることになっている。
アンドル様は常々ミレンダ様と仲良くしていたということを聞いたことがあった。
そのミレンダ様の事を私が陥れたと思い込んでいないことを願いながら応接間に向かった。

応接間に着くとルエが扉を開けてくれたので私は一礼して部屋の中へ入った。
実妹のアンドル様は既にソファに座り私の事を待っていた様子。
私は改めて一礼してソファに腰かけた。

「本日はお忙しい所、有難う御座いました」
「ええ。お兄様の妃になるという方に挨拶するのは当然ですもの。それに私の義姉に当たる方ですもの。ご挨拶するのは当然ですわ。と言っても婚約発表があってから数日経過してしまいました。申し訳ありませんでしたね」
「いえ……そんなことは」
「お名前は……?」
「あ、はい。マリアと申します」
「マリア様……貴方、本当に元この城の侍女だった方ですか?」

アンドル様はティーカップを手に掛けながら私にそう話した。
私は黙ったまま頷くとガシャン、と力強くコップを置いた。

「全く……お兄様の考えていることが分かりませんっ。ミレンダさんとの婚約を破棄して迄して、侍女だった娘を妃に迎えるなど、何をお考えなのですっ!!」

ああ、やっぱりそうなりますよね。
分かってました。
私は黙ったまま俯いていると私の目の間にあったコップをアンドル様が持ち私の顔に向けて中身をぶちまけた。

「な、何をっ」

私は驚いて顔に手を当てた。
直ぐ傍に居たルエがタオルを持って私の顔を拭いてくれた。

「貴女、侍女の分際で王室へ入るなど……何を考えているのです!?」
「それは…私に聞くより、お兄様へお聞きください。私は本意ではないのです」
「な、何ですってっ! 余計お兄様の考えていることが分かりません。誰か、お兄様は何処にいるのです!?」

大きな声を上げてアルバン王太子の名を呼び叫んでいたが、王太子が姿をあらわすことは無かった。
王太子は逃げたのだ……アンドル様の怒りが怖くて逃げだしたんだ、私はそう思っていた。


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