誰かのために優しい嘘をつく

――まただ…、また始まってしまう……。

死んだはずなのに私は目覚め、また同じ日を繰り返す。もう何度目なのかそれすら分からなくなっている。そして、どんなに必死に足掻いても結果が変わることはない。

『…ア‥オサ…。アオ、アオッ、アオッ―――!』

愛する夫は私の体を掻き抱きながら、私の名を繰り返す。
死ぬ間際に聞くあなたの悲痛な叫びに――私の心は抉られる。
あなたを残して逝きたくないと思いながら、彼の腕の中で私はいつも死を迎えた。


いつか終わりが来るのだろうか。

 もしこれが最後なら……。

変わらぬ結果を変えようと時間を費やすよりも、あなたと過ごす僅かな時間を私は心に刻みたい……。

※この作品の設定などは架空のものです。
※お話があわない時はそっと閉じていただけたら幸いです。
※感想欄のネタバレ配慮はありません。
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