五年間待ってくれと懇願されて浮気もせず待っていたのに
「家の都合がつくまで、五年間だけ離縁を待ってほしい」
伯爵夫人のイドニアは、夫ガルヴァーのその頼みを信じ、荒れ果てた領地をたった一人で守り続けてきた。
貞淑を貫き、身を粉にして働き、ようやく訪れた五年目の約束の日。
王都から帰還したガルヴァーの腕には、贅沢に身を包んだ見知らぬ愛人ザフィラが寄り添っていた。
夫は五年間、妻が送る金を浪費して愛人と豪遊し、さらにイドニアを屋敷から放逐しようと目論んでいたのだ。
義母からも罵倒され、すべてを奪われそうになるイドニア。
だが、イドニアはただの泣き寝入りなど決してしない。
彼女は五年という歳月の間に、領民たちの信頼を勝ち取り、冷徹なまでの備えを完了させていた。
そして、傷ついたイドニアの前に現れたのは、長年彼女の誠実さを深く見守り続けてきた隣領の主・カリクスト侯爵だった。
夫の身勝手な裏切り、愛人が抱えていた底知れぬ企み、そして宴の席で暴かれる驚愕の真実。
不貞を働いた者たちが破滅へ堕ちていく中、信じる心を取り戻したイドニアは、誰よりも深く愛される至高の幸福へと歩み出す。
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