「君の代わりなど、どこにもいない」と傲慢な王太子は囁く。お飾り妃として捨てられた私を、彼が狂おしいほどの熱情で攫っていくまで
爵令嬢エルゼは、王太子シギスヴァルトを愛していた。彼の強大すぎる魔力が生む「毒」を、魂の結合によって十年間肩代わりし続けた結果、彼女の美しい銀髪は灰白に褪せ、体は内側からボロボロに蝕まれていた。
しかし、彼から告げられたのは無情な婚約解消だった。
「鏡を見ればわかるだろう。リリアーヌのような愛らしい女性こそが王妃にふさわしい」
私の献身を、私の枯れ果てた姿を、貴方は「出来損ない」と笑って切り捨てた。
全ての未練を焼き捨てたエルゼは、最後に一つの「贈り物」を用意する。
それは、自らの血を混ぜた禁薬――最期の瞬間に絶世の美しさを与え、同時にこれまで抑え込んできた「十年分の猛毒」を全て持ち主へと還す、残酷な呪い。
王太子の輝かしい祝宴の夜。
純白のドレスを鮮血に染めて微笑むエルゼの死顔は、一生消えない刻印として彼の魂を焼き尽くしていく。
守る者を失い、自滅していく男に救いはなく――。
一人の令嬢が命を懸けて仕掛ける、最も美しく凄惨な復讐劇。
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