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第九話
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あれから数週間は経った。結局火を怖がる私を配慮してくれて料理は茜丸が引き受けてくれている。
さすがに申し訳ないので私はそれ以外のことは一生懸命に働いた。部屋を隅々まで舐めるように見て綺麗にしたり買い出しに出かけたりしていた。
ちなみに茜丸は日中ほとんど小屋から出てこない。本人曰く夢中になってしまうからだそうだ。
あと、茜丸は私がお風呂入る時とか着替えの時はかならず目に入らないように移動したりしてくれている。正直やけどのことは隠したかったし言いたくなかったのだが茜丸の方からそういう配慮はしてくれている。
男同士だから気にしないスタンスかと思いきや、意外にに茜丸はあまり他人の身体は見ないようにしているのだろうか。実際茜丸自身もあまり自分の裸体とか曝け出してないし。
今日も私は村に買い出しに出かけていた。野菜はもちろんだが茜丸はよく鶏肉を料理に使っている。しかも精肉店では鶏肉の割合が多い。
不思議に思いながらも精肉店に向かう途中後ろから声をかけられた。
「よっ、ハルさん。調子はどう?」
その声の主は藍吉だった。
「藍吉さん、はい。おかげ様でなんとか…」
「それは良かった。そうだ、良かったら茶菓子屋に行かない?色々話聞きたいし。奢るから。」
「ぜ、是非。」
藍吉の後に付いて茶菓子屋に向かった。ちょうどお客の見送りに外に出ていた苗子がこちらに気付いた。
「いらっしゃいハルさん、と藍吉。またアンタサボりに来たのかい?」
「サボりじゃなくて休憩時間だから。ま、医者がサボれるほどみんな健康で良いってことで。」
「まったく、じゃあ外の椅子に座っておいてくれ。」
そう言われて外に設置されている赤い長椅子に藍吉と共に座り込む。そしてお互いみたらし団子を注文してそれを食べた。
「茜と上手くやってる?」
「はい、茜丸さんは私に優しくしてくれてます。だからこそ…本当に申し訳ないと思っているんです…お礼だってまだ出来てないし…」
茜丸は命の恩人だから何かお礼がしたい。けれども何をすればお礼になるのかわからない。所持金だってないのだ。
「ま、お礼って余裕がある時にするもんだから急ぐ必要はないんじゃない。今だって充分茜からしたら充分お礼してもらっている気でいるだろうし。」
「そう、でしょうか。」
「少なくとも傲慢な態度とってないんでしょ?ならそれでいいんじゃない。」
藍吉は一本平らげた後、もう一本団子を食べ始める。
「恩返しもいいけど、まずはハルさん!アンタが健康でいないとダメさ!ほらほら、もっと食べて!!」
いつのまにか苗子の手には大量のみたらし団子を持っており、私に突き出してきた。
「さ、さすがにこの量はいただけませんよ…」
「桜餅8個も平らげた奴が何言ってるんだい。だいたいハルさんは細すぎなのさ、もっと肉付けないとダメだろう?」
これでも以前の暮らしに比べたら食べる量も増えて肉も付いてきたと思いのだが。
「食べさせるのは良いが菓子はダメでしょ。ちゃんと三食栄養あるもんじゃないと。」
「言っとくけど藍吉、アンタも人のこと言えないでしょ。」
「僕は身体より頭と腕を使うから構わないの。」
普段から言われてるのか適当に答えてお茶を啜る藍吉を見て苗子はため息をつく。
「ほう?季節外れの桜が咲いていると思ったら、人間だったか。」
さすがに申し訳ないので私はそれ以外のことは一生懸命に働いた。部屋を隅々まで舐めるように見て綺麗にしたり買い出しに出かけたりしていた。
ちなみに茜丸は日中ほとんど小屋から出てこない。本人曰く夢中になってしまうからだそうだ。
あと、茜丸は私がお風呂入る時とか着替えの時はかならず目に入らないように移動したりしてくれている。正直やけどのことは隠したかったし言いたくなかったのだが茜丸の方からそういう配慮はしてくれている。
男同士だから気にしないスタンスかと思いきや、意外にに茜丸はあまり他人の身体は見ないようにしているのだろうか。実際茜丸自身もあまり自分の裸体とか曝け出してないし。
今日も私は村に買い出しに出かけていた。野菜はもちろんだが茜丸はよく鶏肉を料理に使っている。しかも精肉店では鶏肉の割合が多い。
不思議に思いながらも精肉店に向かう途中後ろから声をかけられた。
「よっ、ハルさん。調子はどう?」
その声の主は藍吉だった。
「藍吉さん、はい。おかげ様でなんとか…」
「それは良かった。そうだ、良かったら茶菓子屋に行かない?色々話聞きたいし。奢るから。」
「ぜ、是非。」
藍吉の後に付いて茶菓子屋に向かった。ちょうどお客の見送りに外に出ていた苗子がこちらに気付いた。
「いらっしゃいハルさん、と藍吉。またアンタサボりに来たのかい?」
「サボりじゃなくて休憩時間だから。ま、医者がサボれるほどみんな健康で良いってことで。」
「まったく、じゃあ外の椅子に座っておいてくれ。」
そう言われて外に設置されている赤い長椅子に藍吉と共に座り込む。そしてお互いみたらし団子を注文してそれを食べた。
「茜と上手くやってる?」
「はい、茜丸さんは私に優しくしてくれてます。だからこそ…本当に申し訳ないと思っているんです…お礼だってまだ出来てないし…」
茜丸は命の恩人だから何かお礼がしたい。けれども何をすればお礼になるのかわからない。所持金だってないのだ。
「ま、お礼って余裕がある時にするもんだから急ぐ必要はないんじゃない。今だって充分茜からしたら充分お礼してもらっている気でいるだろうし。」
「そう、でしょうか。」
「少なくとも傲慢な態度とってないんでしょ?ならそれでいいんじゃない。」
藍吉は一本平らげた後、もう一本団子を食べ始める。
「恩返しもいいけど、まずはハルさん!アンタが健康でいないとダメさ!ほらほら、もっと食べて!!」
いつのまにか苗子の手には大量のみたらし団子を持っており、私に突き出してきた。
「さ、さすがにこの量はいただけませんよ…」
「桜餅8個も平らげた奴が何言ってるんだい。だいたいハルさんは細すぎなのさ、もっと肉付けないとダメだろう?」
これでも以前の暮らしに比べたら食べる量も増えて肉も付いてきたと思いのだが。
「食べさせるのは良いが菓子はダメでしょ。ちゃんと三食栄養あるもんじゃないと。」
「言っとくけど藍吉、アンタも人のこと言えないでしょ。」
「僕は身体より頭と腕を使うから構わないの。」
普段から言われてるのか適当に答えてお茶を啜る藍吉を見て苗子はため息をつく。
「ほう?季節外れの桜が咲いていると思ったら、人間だったか。」
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