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第五章 体乗っ取られちゃった⭐︎
???のはなし③
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「渡部 立花です!リツカって呼んでください!」
あいつは異世界から召喚された、異世界人で、精霊様の愛子だった。
王家で保護されていて、元の世界に戻れる方法が見つかるまで、この学園に通うという。
僕は16歳で2学年だったから、一つ下の彼のことは噂話は聞くけれど、直接関わりを持つことはなかった。
だけれど、、、。
「こんにちは!」
「あっ!え?こんにちは?」
なぜかあいつは、僕に話しかけてきた。
精霊の愛子とはいえ、初対面で公爵家嫡男の僕に前触れなく接するのは、貴族の基本ならばタブーだった。
だから周りにいた友人も、
「いきなりなんですか?!用事があるならば前もって約束していただかないといけないんですよ」
と、注意したものの
「え?!なんでですか?!ただお話ししたいだけなのに、、、そんなに僕にきつく当たるなんて、、、ひどいですよ!!」
と、被害者ぶってきた。
あまり騒ぎになるのも良くないから
「ごめんね。いきなりだからびっくりしちゃって。話って何かな?ここでいいなら聞かせてもらうよ。」
ちなみに僕たちは移動教室に向かっていたところ。
本来ならば、後々ゆっくり、、、というところだけれど、僕は話を早く終わらせたかった。
「あの!あなたはルティアーヌ公爵令息ですか?!」
「ちょっと!なんて、、、「大丈夫だよ」」
僕の友人が口調について注意しそうなところを抑えてもらう。
とにかく早く教室に向かいたい。
「うん。そうだよ。君は渡辺 立花さんかな?」
「はい、、、、、、あれ?全然太ってないし、、、原作と違う、、、」
返事をした後、ボソボソと何か呟いていた。
「あの?それで要件は、、、?」
「はっ!あなた!!弟さんのこといじめるのは良くないですよ!!!
兄弟なら、仲良くしないと!!!」
彼は、存在しない僕の弟という人物のことを話しているらしい。
だけど、僕は一人っ子で、弟なんていないし、義弟も存在していない、、、。
「僕には弟はいないよ?誰かと勘違いしているんじゃない?」
「えっ?!でも、ルティアーヌ・モーリス様でしょ?!」
「う、うん」
「、、、あっれー?おかしいな、、、いじめられてる弟はいないの?いやでも、、、」
「あのー、、、そろそろいいかな?」
「あっ!待ってください!あの!ギルフォード様は僕と結婚するので、嫉妬して虐めないでくださいね!!」
「え?は?」
「それじゃあ失礼します!」
あいつは確信しているような態度でそんなことを人が大勢いる廊下で話したのだから、批判を浴びるのは当然だった。
それに、公爵家嫡男である僕への侮辱行為として、なんらかの罰が与えられるのも当然だった、、、のに。
「、、、ルティアーヌ様が弟をいじめるなんて」
「ひどい、、、かわいそう」
その瞬間から、世界がねじれ曲がった。
かつての友人は、存在しない僕の弟への同情を口にして、僕から離れて
同じクラスメイトのものからは軽蔑した視線を向けられ
教師からは、ありもしないリツカへの迷惑行為について注意を受ける
異空間に捩じ込まれた感覚だった。
何が原因なのか分かりもせずに
ただただ原因不明の環境を過ごすことしかできずに、神経は削れていった。
そんな中でも、唯一変わらなかったのは、父と母だった。
二人は僕のことを信じていたし、なぐさめ、支えてくれた。
家族で話し合って、学校を変えようかなんて父が提案して、それは公爵家にとって恥のある行為なんじゃないかと止めてみたものの
「公爵家としての地位より、私たちはルティが大事なんだ。
愛息子を勝手に批判してくるような場所にこれからも関わるなんてこっちがごめんだね。」と、にこやかに答えた。
僕は素直に甘えて、もう少しでこのねじれた世界から抜け出せる!と油断していたんだ。
「モーリス公爵令息
私は貴殿との婚約破棄を命じる。」
「え?」
それからはいつもと同じだった。
ありもしない悪事。
起こってもいない、リツカへの嫌がらせ。
全てが出鱈目の僕への評価。
僕はもう、否定するのも、意見するのも諦めて、全てを受け入れた。
学園からの追放も同時に言い渡されて、寮から屋敷に戻る馬車に乗る直前に、学園の門の前でリツカに話しかけられた。
「ごめんね?事実じゃないのに、こんなことしちゃって」
「、、、やっぱりあなたが企んだことなんですか」
「嫌だな~企むなんて
これは元々こうなる予定だったんだよ!それなのに、あまりにも君が予定通りに動かないから僕の手で、正しい形に戻しただけ!」
「っ!何が正しいんだっ!こんな世界捻れまくってる!僕を不幸にすることが正しい形だって?!ふざけるなっ!」
「うーーん、、、でも、小説ではルティアーヌが悪者だし~それに、僕がギルフォード様の妻になるには、ルティアーヌには退場してもらわないとだから~」
「意味がわからない、、、君は一体なんなんだ?」
「僕はこの物語の主人公だよ!この世界は、僕が幸せになるためにあるんだからこうなるべきなんだよ!」
僕はもう、言葉が出てこなかった。
きっと、何を言っても無駄だ。こいつのことは僕には理解できない。
ただ、こいつには世界を改変できるほど凶悪な力があって、こいつの理想のためなら、何を犠牲にしてもいいと思っているんだろう。ということだけは理解した。
「、、、それなら、もう僕に関わらないでくれ。ギルフォード様にも婚約破棄を言い渡されたし、僕はもう関係ないんだろう?」
「うん!もう大丈夫だよ!あとは僕が幸せになるだけ!お疲れ様!悪役令息さん」
「、、、、、、。」
「あっ!あと君の家族もストーリーと違うことが多かったから、かえといてあげたよ!原作と違うところは、綺麗さっぱり元どうり!」
「え、、、」
、、、父と母に
なにかしたのか?
本当に、、、あいつは神の力でも持っていたのかもしれない。
屋敷には僕の知らない弟もいたし、僕を恐怖の目で見てくる父と母もいた。
僕は屋敷を飛び出した。
こんな場所知らない。
こんな人たち知らない。
こんな世界知らない。
どこもかしこもねじれた世界。
僕はこの世の住人ではない。
そう感じて、丘から飛び降りた。
きっと帰れる。
元の正しい世界に。
僕は公爵令息で、一人っ子で
ギルフォード様との関係も良好で
学園生活も充実してて
父も母も明るくて
そんないつも通りの世界に
でも、目が覚めると
「お前は世界を憎むか?」
そう問いただしてきた悪魔のいる
真っ暗な空間に僕はいたんだ。
あいつは異世界から召喚された、異世界人で、精霊様の愛子だった。
王家で保護されていて、元の世界に戻れる方法が見つかるまで、この学園に通うという。
僕は16歳で2学年だったから、一つ下の彼のことは噂話は聞くけれど、直接関わりを持つことはなかった。
だけれど、、、。
「こんにちは!」
「あっ!え?こんにちは?」
なぜかあいつは、僕に話しかけてきた。
精霊の愛子とはいえ、初対面で公爵家嫡男の僕に前触れなく接するのは、貴族の基本ならばタブーだった。
だから周りにいた友人も、
「いきなりなんですか?!用事があるならば前もって約束していただかないといけないんですよ」
と、注意したものの
「え?!なんでですか?!ただお話ししたいだけなのに、、、そんなに僕にきつく当たるなんて、、、ひどいですよ!!」
と、被害者ぶってきた。
あまり騒ぎになるのも良くないから
「ごめんね。いきなりだからびっくりしちゃって。話って何かな?ここでいいなら聞かせてもらうよ。」
ちなみに僕たちは移動教室に向かっていたところ。
本来ならば、後々ゆっくり、、、というところだけれど、僕は話を早く終わらせたかった。
「あの!あなたはルティアーヌ公爵令息ですか?!」
「ちょっと!なんて、、、「大丈夫だよ」」
僕の友人が口調について注意しそうなところを抑えてもらう。
とにかく早く教室に向かいたい。
「うん。そうだよ。君は渡辺 立花さんかな?」
「はい、、、、、、あれ?全然太ってないし、、、原作と違う、、、」
返事をした後、ボソボソと何か呟いていた。
「あの?それで要件は、、、?」
「はっ!あなた!!弟さんのこといじめるのは良くないですよ!!!
兄弟なら、仲良くしないと!!!」
彼は、存在しない僕の弟という人物のことを話しているらしい。
だけど、僕は一人っ子で、弟なんていないし、義弟も存在していない、、、。
「僕には弟はいないよ?誰かと勘違いしているんじゃない?」
「えっ?!でも、ルティアーヌ・モーリス様でしょ?!」
「う、うん」
「、、、あっれー?おかしいな、、、いじめられてる弟はいないの?いやでも、、、」
「あのー、、、そろそろいいかな?」
「あっ!待ってください!あの!ギルフォード様は僕と結婚するので、嫉妬して虐めないでくださいね!!」
「え?は?」
「それじゃあ失礼します!」
あいつは確信しているような態度でそんなことを人が大勢いる廊下で話したのだから、批判を浴びるのは当然だった。
それに、公爵家嫡男である僕への侮辱行為として、なんらかの罰が与えられるのも当然だった、、、のに。
「、、、ルティアーヌ様が弟をいじめるなんて」
「ひどい、、、かわいそう」
その瞬間から、世界がねじれ曲がった。
かつての友人は、存在しない僕の弟への同情を口にして、僕から離れて
同じクラスメイトのものからは軽蔑した視線を向けられ
教師からは、ありもしないリツカへの迷惑行為について注意を受ける
異空間に捩じ込まれた感覚だった。
何が原因なのか分かりもせずに
ただただ原因不明の環境を過ごすことしかできずに、神経は削れていった。
そんな中でも、唯一変わらなかったのは、父と母だった。
二人は僕のことを信じていたし、なぐさめ、支えてくれた。
家族で話し合って、学校を変えようかなんて父が提案して、それは公爵家にとって恥のある行為なんじゃないかと止めてみたものの
「公爵家としての地位より、私たちはルティが大事なんだ。
愛息子を勝手に批判してくるような場所にこれからも関わるなんてこっちがごめんだね。」と、にこやかに答えた。
僕は素直に甘えて、もう少しでこのねじれた世界から抜け出せる!と油断していたんだ。
「モーリス公爵令息
私は貴殿との婚約破棄を命じる。」
「え?」
それからはいつもと同じだった。
ありもしない悪事。
起こってもいない、リツカへの嫌がらせ。
全てが出鱈目の僕への評価。
僕はもう、否定するのも、意見するのも諦めて、全てを受け入れた。
学園からの追放も同時に言い渡されて、寮から屋敷に戻る馬車に乗る直前に、学園の門の前でリツカに話しかけられた。
「ごめんね?事実じゃないのに、こんなことしちゃって」
「、、、やっぱりあなたが企んだことなんですか」
「嫌だな~企むなんて
これは元々こうなる予定だったんだよ!それなのに、あまりにも君が予定通りに動かないから僕の手で、正しい形に戻しただけ!」
「っ!何が正しいんだっ!こんな世界捻れまくってる!僕を不幸にすることが正しい形だって?!ふざけるなっ!」
「うーーん、、、でも、小説ではルティアーヌが悪者だし~それに、僕がギルフォード様の妻になるには、ルティアーヌには退場してもらわないとだから~」
「意味がわからない、、、君は一体なんなんだ?」
「僕はこの物語の主人公だよ!この世界は、僕が幸せになるためにあるんだからこうなるべきなんだよ!」
僕はもう、言葉が出てこなかった。
きっと、何を言っても無駄だ。こいつのことは僕には理解できない。
ただ、こいつには世界を改変できるほど凶悪な力があって、こいつの理想のためなら、何を犠牲にしてもいいと思っているんだろう。ということだけは理解した。
「、、、それなら、もう僕に関わらないでくれ。ギルフォード様にも婚約破棄を言い渡されたし、僕はもう関係ないんだろう?」
「うん!もう大丈夫だよ!あとは僕が幸せになるだけ!お疲れ様!悪役令息さん」
「、、、、、、。」
「あっ!あと君の家族もストーリーと違うことが多かったから、かえといてあげたよ!原作と違うところは、綺麗さっぱり元どうり!」
「え、、、」
、、、父と母に
なにかしたのか?
本当に、、、あいつは神の力でも持っていたのかもしれない。
屋敷には僕の知らない弟もいたし、僕を恐怖の目で見てくる父と母もいた。
僕は屋敷を飛び出した。
こんな場所知らない。
こんな人たち知らない。
こんな世界知らない。
どこもかしこもねじれた世界。
僕はこの世の住人ではない。
そう感じて、丘から飛び降りた。
きっと帰れる。
元の正しい世界に。
僕は公爵令息で、一人っ子で
ギルフォード様との関係も良好で
学園生活も充実してて
父も母も明るくて
そんないつも通りの世界に
でも、目が覚めると
「お前は世界を憎むか?」
そう問いただしてきた悪魔のいる
真っ暗な空間に僕はいたんだ。
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