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第149話 スラの口調
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「スラ、お前が喋ったのか……?」
『なんなの、みんなしてあたしを見てさ~。っていうかマツイさん、あたしお腹すいたって言ってんじゃん』
スラは俺の顔を見上げながらはっきりと人間の言葉を話していた。
『早くしてよも~』
俺はスラをそっと持ち上げ俺の顔の前に近付ける。
「おい、スラ」
『ちょっと何マツイさん。いくらあたしのことが好きだからってみんなの見てる前だよ』
「こら、俺の話をよーく聞け。お前今人間の言葉を喋ってるぞ」
『は? どうしちゃったのマツイさん。あたしはスライムなんだから人間の言葉なんて喋れるわけないし――って喋ってんじゃんあたしっ!』
◇ ◇ ◇
「つまりこういうことか? 賢者の石を落としたのは俺だけどスラに当たって地面に落ちて割れたからスラが割ったことになったと」
「そうなりますよね」
とククリが返す。
「そんでもって賢者の石の効果でスラは人間の言葉が話せるようになったと」
「みたいですね」
とまるで他人事のようにククリが言う。
まあ実際他人事なのだけれど。
『マツイさんてば何深刻な顔してんの? さっさと家に帰ろうよ。あたしお腹すいた』
「お前、結構な変化があったのにさばさばしてるんだな」
『あたし物事を深く考えるの苦手だしー、人の言葉話せるって別にメリットしかなくね? それよりお腹~』
「あ、ああ。ちょっと待ってろスラ。とりあえずアイテム売るから」
『早くしてねー』
人間の言葉を話すスラに調子を狂わされながらも俺はベアさんに向き直った。
「じ、じゃあここに置いたもの全部買い取ってください」
『あいよ……おっとマツイ、賢者の石がなくなってがっくりきてるとこなんだがこのシルバーメイルはひしゃげてるから買い取れねぇよ。悪いな』
ベアさんがシルバーメイルを持ち上げ気の毒そうに俺を見て言う。
ミノタウロスの斧でガツンといかれてしまったシルバーメイルはやはり買い取ってはもらえないか。
『ぷぷっ買い取り拒否られてるし。マツイさん、ちょーウケる』
「……お前さぁ、そのギャルみたいな喋り方なんとかならないのか?」
『ギャルってなーに?』
「……都会の若い女の子」
『へー、マジ物知りだねマツイさん。ちょー頭いいじゃん』
スラが純粋な目で俺を見上げる。
無邪気で可愛らしい外見とギャルみたいな軽い口調が全然合っていない。
「……おいククリ。スラを前の状態に戻す方法ってないのか?」
「さあどうでしょう。賢者の石をまた使えばあるいは」
「それは却下だ」
ただでさえ三百万円をドブに捨てたようなもんなのにそんなもったいないこと出来るか。
『妖刀ししおどしが五万円で皮のズボンが二百円、たわしが十円にグリュプスの羽が一万円、カエルの涙が百円と眠り玉が二千円、異次元袋が三万円に布の袋が百円、それから……』
ベアさんが指折り数えて計算している。
『……えーっとだなぁ、占めて十六万二千百十円だ。これでいいか?』
「はい、それでお願いします」
俺はベアさんからお金を受け取ると持っていたお金と合わせて握り締める。
今回の稼ぎは金塊や金庫の中に入っていたお金を含めて合計二百五十四万七千三百四十円。
五日弱でこれなら上出来だろう。
このペースならこれまで働いていなかった分を取り返すのも時間の問題だな。
「ありがとうございました」
「さようならベアさん。また会いましょうね~」
『ベアさんバイバーイ』
『おう、みんなまたな』
ベアさんと別れると俺たちは写し鏡の門のある部屋へと急いだのだった。
『なんなの、みんなしてあたしを見てさ~。っていうかマツイさん、あたしお腹すいたって言ってんじゃん』
スラは俺の顔を見上げながらはっきりと人間の言葉を話していた。
『早くしてよも~』
俺はスラをそっと持ち上げ俺の顔の前に近付ける。
「おい、スラ」
『ちょっと何マツイさん。いくらあたしのことが好きだからってみんなの見てる前だよ』
「こら、俺の話をよーく聞け。お前今人間の言葉を喋ってるぞ」
『は? どうしちゃったのマツイさん。あたしはスライムなんだから人間の言葉なんて喋れるわけないし――って喋ってんじゃんあたしっ!』
◇ ◇ ◇
「つまりこういうことか? 賢者の石を落としたのは俺だけどスラに当たって地面に落ちて割れたからスラが割ったことになったと」
「そうなりますよね」
とククリが返す。
「そんでもって賢者の石の効果でスラは人間の言葉が話せるようになったと」
「みたいですね」
とまるで他人事のようにククリが言う。
まあ実際他人事なのだけれど。
『マツイさんてば何深刻な顔してんの? さっさと家に帰ろうよ。あたしお腹すいた』
「お前、結構な変化があったのにさばさばしてるんだな」
『あたし物事を深く考えるの苦手だしー、人の言葉話せるって別にメリットしかなくね? それよりお腹~』
「あ、ああ。ちょっと待ってろスラ。とりあえずアイテム売るから」
『早くしてねー』
人間の言葉を話すスラに調子を狂わされながらも俺はベアさんに向き直った。
「じ、じゃあここに置いたもの全部買い取ってください」
『あいよ……おっとマツイ、賢者の石がなくなってがっくりきてるとこなんだがこのシルバーメイルはひしゃげてるから買い取れねぇよ。悪いな』
ベアさんがシルバーメイルを持ち上げ気の毒そうに俺を見て言う。
ミノタウロスの斧でガツンといかれてしまったシルバーメイルはやはり買い取ってはもらえないか。
『ぷぷっ買い取り拒否られてるし。マツイさん、ちょーウケる』
「……お前さぁ、そのギャルみたいな喋り方なんとかならないのか?」
『ギャルってなーに?』
「……都会の若い女の子」
『へー、マジ物知りだねマツイさん。ちょー頭いいじゃん』
スラが純粋な目で俺を見上げる。
無邪気で可愛らしい外見とギャルみたいな軽い口調が全然合っていない。
「……おいククリ。スラを前の状態に戻す方法ってないのか?」
「さあどうでしょう。賢者の石をまた使えばあるいは」
「それは却下だ」
ただでさえ三百万円をドブに捨てたようなもんなのにそんなもったいないこと出来るか。
『妖刀ししおどしが五万円で皮のズボンが二百円、たわしが十円にグリュプスの羽が一万円、カエルの涙が百円と眠り玉が二千円、異次元袋が三万円に布の袋が百円、それから……』
ベアさんが指折り数えて計算している。
『……えーっとだなぁ、占めて十六万二千百十円だ。これでいいか?』
「はい、それでお願いします」
俺はベアさんからお金を受け取ると持っていたお金と合わせて握り締める。
今回の稼ぎは金塊や金庫の中に入っていたお金を含めて合計二百五十四万七千三百四十円。
五日弱でこれなら上出来だろう。
このペースならこれまで働いていなかった分を取り返すのも時間の問題だな。
「ありがとうございました」
「さようならベアさん。また会いましょうね~」
『ベアさんバイバーイ』
『おう、みんなまたな』
ベアさんと別れると俺たちは写し鏡の門のある部屋へと急いだのだった。
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