住めば都の最下層 ~彩花荘の人々~
『私は強い子、元気な子』
三島響子は寝る前、いつも自分におまじないをかけていた。
そうしないと、自分の心が折れてしまいそうだったから――。
彼女には、ひとの心の色が見えるという特性があった。
嘘も愛想笑いも全部透けて見えてしまう。
そんな境遇で自分を保つためのおまじない。
しかし、ある日父親が失業し酒浸りになり、響子に暴力を振るう。
限界に達した響子は絶望したまま家を出る。
そして、裏御神楽町という絶望を抱えたひとしか辿り着けない町に来る。
そこで出会った彩花荘の住人、秀男と蓮人。
荒っぽいが感情豊かで誰よりも優しい秀男。
そっけないが心の機微を感じ取れれる蓮人。
彼らとの出会いや町での日々が、少しずつ響子を変えていく。
一年中祭りが絶えない奇妙な町で過ごす日々。
祭りに盆踊り、神輿担ぎに風鈴市、打ち上げ花火や手持ち花火。
響子はこの町の生活を堪能しながらその住人達に触れ、次第に成長していく。
秀男に『この町はゴールだ』と告げられた響子。
自分はまだゴールしていないのではないか、その葛藤は決心に変わり元の世界に戻ることを心に決める。これはひとりの少女の青春と成長の物語。
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