文字の大きさ
大
中
小
201 / 2,093
剣鬼 闘技祭準備編
鬼か人か その1
「馬鹿なっ……どうなってやがる!!」
「分かりません!!ですが、今ならば!!」
傷口を矢で撃たれたにも関わらず、ジンは起き上がり、首に刺さった矢を引き抜く。その直後、傷口が回復魔法を施されたように光り輝き、時間を巻き戻すように修復される。その光景にシュンとジャンヌは激しく動揺するが、鬼人化の効果が完全に切れたのかジンの皮膚は元の色へと戻っていた。
「ふうっ……ふうっ……」
「何だ?……疲れたのか?」
ジンは自分の首元を抑え込み、両手を見つめながら息を荒げる。鬼人化が解除されたと言ってもこれまでの戦闘の疲労が消えるわけではなく、その場に跪く。
「ううっ……」
「弱ってる……のでしょうか?」
「だとしたら捕まえるのは楽だがな」
様子がおかしいジンにジャンヌは警戒心を抱くが、シュンの場合はジンよりも彼に矢を仕掛けた謎の人物の事が気にかかり、先ほどまで少年が立っていた場所に視線を向ける。どのような手段を利用したのかは不明だが、一瞬にして姿を消した相手にシュンは疑問を抱き、試しに剣先を構える。
「まさかな……だが」
「シュンさん?」
「ちょっと待ってろ。こういうのは苦手なんだがな……聖霊よ!!」
少年が存在した場所に向けてシュンは風の精霊を呼び出し、少年が立っていた場所に向かわせる。普通の人間であるジャンヌの目には何も見えないが、森人族であるシュンの目には自分が繰り出した精霊の姿は捉えており、精霊が少年の立っていた場所に到達しようとした瞬間、その場に停止した。
「そういう事か……おらっ!!」
「っ……!?」
精霊が立ち止まったことを確認するとシュンは剣を振り翳し、風の斬撃を繰り出す。その直後、まるでカメレオンのように背景と一体化していた少年が出現し、シュンの攻撃を回避する。それを確認したシュンは笑みを浮かべ、精霊を利用して少年がその場に残っていた事を見抜く。
「はっ!!面白い能力を使えるんだな!!女風呂でも覗くために覚えたのか?」
「……火属性」
「何っ!?」
姿を現した少年に対してシュンは鼻で笑うが、相手はマントの隙間から弓矢を構え、鏃の部分に掌を向けると発火させる。その光景を確認したシュンは目を見開き、少年の使用した魔法の正体を見抜く。
「付与魔法……付与魔術師か!!」
「ふっ!!」
「危ない!?」
火属性の魔力によって発火した矢が放たれ、それを目撃したシュンは剣を構えて矢を弾こうとしたが、少年の狙いは自分では無い事に気付き、撃ち抜かれた矢はジンの背中に衝突した。
「ぐああっ!?」
「なっ……!?」
「任務完了……」
「あっ……ま、待ちなさい!!」
ジンの背中に矢を射抜いた事を確認した少年は走り出し、そのまま路地裏に移動する。慌ててジャンヌが後を追いかけようとしたが、直後に矢を受けたジンの咆哮が街道に響き渡る。
「うぎぃいいいいっ!!」
「なっ!?こいつまだ……」
「があああああっ!!」
背中の痛みによって精神が再び追い込まれたのか、ジンの肉体が赤色に変色し、大量の血液を失ったにも関わらずに「鬼人化」を発動させる。その様子を確認したシュンは苛立ちながらも少年の追跡を諦め、ジンと向かい合う。
「仕方ねえ……ジャンヌ!!お前も手を貸せ!!回復薬で傷は治っただろ?」
「は、はい!!ですが、ロウガ様とガロ君は……」
「ほっとけ!!死にはしないだろ!!」
シュンはジャンヌと共にジンを仕留めるために武器を構えると、ジンも背中に突き刺さった「火矢」を抜き取り、地面に放り捨てて何度も踏みつける。
「があっ!!ああっ!!」
足の裏が焼ける事も構わずにジンは何度も火矢を踏みつけ、その度に地面に亀裂が走り、振動が伝わる。先ほどよりは身体能力は低下したようだが、それでも十分な脅威を誇り、ジンは二人に振り返る。
「ぐううっ……!!」
「ち、切れてやがる……攻撃したのはあのガキなのによ」
「どうしますか?」
「どうするも何も、やれる事は全部やるしかねえだろ」
先程のような相手の攻撃を利用して急所を切り裂く攻撃は何度も通じず、ジンも警戒するように首元を覆い隠すように両腕を合わせて身構える。その姿はプロボクサーの「ピーカブースタイル」と酷似しており、正面からの攻撃に備えていた。
「ジャンヌ、お前の旋風剣であいつを仕留められるのか?」
「その呼び方は辞めてください……最大速度まで回転すればあるいは」
「回転する度に威力が上がる剣技だったな。しょうがねえ、俺が時間を稼いでやる。その間にお前は……」
「……うがぁっ!!」
「うおっ!?」
悠長に話す暇も与えず、ジンは上半身を防御しながら突っ込む。どういう事なのか先ほどよりも速度が上昇しており、シュンに向けて拳を突き出す。
「分かりません!!ですが、今ならば!!」
傷口を矢で撃たれたにも関わらず、ジンは起き上がり、首に刺さった矢を引き抜く。その直後、傷口が回復魔法を施されたように光り輝き、時間を巻き戻すように修復される。その光景にシュンとジャンヌは激しく動揺するが、鬼人化の効果が完全に切れたのかジンの皮膚は元の色へと戻っていた。
「ふうっ……ふうっ……」
「何だ?……疲れたのか?」
ジンは自分の首元を抑え込み、両手を見つめながら息を荒げる。鬼人化が解除されたと言ってもこれまでの戦闘の疲労が消えるわけではなく、その場に跪く。
「ううっ……」
「弱ってる……のでしょうか?」
「だとしたら捕まえるのは楽だがな」
様子がおかしいジンにジャンヌは警戒心を抱くが、シュンの場合はジンよりも彼に矢を仕掛けた謎の人物の事が気にかかり、先ほどまで少年が立っていた場所に視線を向ける。どのような手段を利用したのかは不明だが、一瞬にして姿を消した相手にシュンは疑問を抱き、試しに剣先を構える。
「まさかな……だが」
「シュンさん?」
「ちょっと待ってろ。こういうのは苦手なんだがな……聖霊よ!!」
少年が存在した場所に向けてシュンは風の精霊を呼び出し、少年が立っていた場所に向かわせる。普通の人間であるジャンヌの目には何も見えないが、森人族であるシュンの目には自分が繰り出した精霊の姿は捉えており、精霊が少年の立っていた場所に到達しようとした瞬間、その場に停止した。
「そういう事か……おらっ!!」
「っ……!?」
精霊が立ち止まったことを確認するとシュンは剣を振り翳し、風の斬撃を繰り出す。その直後、まるでカメレオンのように背景と一体化していた少年が出現し、シュンの攻撃を回避する。それを確認したシュンは笑みを浮かべ、精霊を利用して少年がその場に残っていた事を見抜く。
「はっ!!面白い能力を使えるんだな!!女風呂でも覗くために覚えたのか?」
「……火属性」
「何っ!?」
姿を現した少年に対してシュンは鼻で笑うが、相手はマントの隙間から弓矢を構え、鏃の部分に掌を向けると発火させる。その光景を確認したシュンは目を見開き、少年の使用した魔法の正体を見抜く。
「付与魔法……付与魔術師か!!」
「ふっ!!」
「危ない!?」
火属性の魔力によって発火した矢が放たれ、それを目撃したシュンは剣を構えて矢を弾こうとしたが、少年の狙いは自分では無い事に気付き、撃ち抜かれた矢はジンの背中に衝突した。
「ぐああっ!?」
「なっ……!?」
「任務完了……」
「あっ……ま、待ちなさい!!」
ジンの背中に矢を射抜いた事を確認した少年は走り出し、そのまま路地裏に移動する。慌ててジャンヌが後を追いかけようとしたが、直後に矢を受けたジンの咆哮が街道に響き渡る。
「うぎぃいいいいっ!!」
「なっ!?こいつまだ……」
「があああああっ!!」
背中の痛みによって精神が再び追い込まれたのか、ジンの肉体が赤色に変色し、大量の血液を失ったにも関わらずに「鬼人化」を発動させる。その様子を確認したシュンは苛立ちながらも少年の追跡を諦め、ジンと向かい合う。
「仕方ねえ……ジャンヌ!!お前も手を貸せ!!回復薬で傷は治っただろ?」
「は、はい!!ですが、ロウガ様とガロ君は……」
「ほっとけ!!死にはしないだろ!!」
シュンはジャンヌと共にジンを仕留めるために武器を構えると、ジンも背中に突き刺さった「火矢」を抜き取り、地面に放り捨てて何度も踏みつける。
「があっ!!ああっ!!」
足の裏が焼ける事も構わずにジンは何度も火矢を踏みつけ、その度に地面に亀裂が走り、振動が伝わる。先ほどよりは身体能力は低下したようだが、それでも十分な脅威を誇り、ジンは二人に振り返る。
「ぐううっ……!!」
「ち、切れてやがる……攻撃したのはあのガキなのによ」
「どうしますか?」
「どうするも何も、やれる事は全部やるしかねえだろ」
先程のような相手の攻撃を利用して急所を切り裂く攻撃は何度も通じず、ジンも警戒するように首元を覆い隠すように両腕を合わせて身構える。その姿はプロボクサーの「ピーカブースタイル」と酷似しており、正面からの攻撃に備えていた。
「ジャンヌ、お前の旋風剣であいつを仕留められるのか?」
「その呼び方は辞めてください……最大速度まで回転すればあるいは」
「回転する度に威力が上がる剣技だったな。しょうがねえ、俺が時間を稼いでやる。その間にお前は……」
「……うがぁっ!!」
「うおっ!?」
悠長に話す暇も与えず、ジンは上半身を防御しながら突っ込む。どういう事なのか先ほどよりも速度が上昇しており、シュンに向けて拳を突き出す。
感想 5,097
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ
異世界に召喚されたその日、巻き込まれた青年に俺が得るはずだったスキルを奪われた。
お詫びとしてチートスキルを授かった俺は、第二の人生くらい好きに生きようと旅に出る。
行き着いた先は、寂れた町の場末の酒場だ。
なぜか客は男ばかりだが、日雇い冒険者や恐妻家の肉屋たちとの気楽な毎日は悪くない。
……ただ一人、どう見ても貴族のような美青年がこの地味な酒場へ通ってくる理由だけは、さっぱりわからない。
「お前らツケはやめろ」
そんな穏やかな日々を送っていたはずなのに、ある日、酒場へ厄介な依頼が舞い込んできた――。
他サイトでも掲載しています。
不定期更新です。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
コミカライズ企画進行中です!!
3巻発売です!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&3巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(3巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
夏にはいよいよコミカライズ連載開始予定です!乞うご期待!!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)