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17.肉好きの男
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「こ、ここを下りるんですか?」
底の見えない谷。
サーヤは恐る恐る覗き込んでいる。
「こっちからおりるぞぉ」
「えぇ!? 下りられるんですか?」
西の方へと少し歩いていくと一人が歩いていける幅の道が現れた。そこを下っていくことで谷の底へと歩いていくことができる。
「ギィヤァァア」
クッピーは先ほどの個体だけではない。谷の上を旋回していてこちらを観察している。
「ひぃぃ。さっきの上にもいますよぉ?」
「大丈夫だ。この谷の下へ下りている最中は安全が保障されているんだ。見ていればわかる」
サーヤへ落ち着くように声掛けをおこなう。それに対して信用していないように怪訝な表情をしている。
この下へ行く坂道はかなり長い。そして、折り返し、折り返しで下へとおりていくのだ。まだ三分の一ほどしかおりられていない。
「ギィィヤァァァ」
「えっ!? 来ましたよ!」
「見てろ?」
滑空してきたクッピーが谷に入った瞬間、谷の底から黒い何かが出現し、バクリと飲み込んでいった。
「えぇ!? なんですか?」
「これが暴食の谷といわれる所以《ゆえん》だ」
まだアイツは健在のようだな。なら下までも安心に行ける。
「下までは安全みたいだ。落ちないように行くぞ」
「は、はい……」
俺がそうはいってもサーヤは心配なようだ。
壁に身体を預ける様にして手をつきながら恐る恐る下りていく。
その気持ちはわからないでもない。何せすぐ横は何もない暗闇の奈落の底。時折吹きつける風にビクビクしながらも三時間ほどの時間下りていた。
底が見えてきたころ。家のようなものが見えてきた。煙突からは煙が出ている。
「ししょー、なんか家みたいなのがありますよ?」
「そうだな。俺の昔馴染みがいるはずだ」
「えぇ? そうなんですか?」
「奴にクッピーの肉を分けてやろう」
アイツは肉が好きだった。喜んでくれるだろう。こんな谷底で何を食って生きているんだか。
家が目の前に見えてきた。ノッカーで呼び出す。
「あぁ? こんなところにだれだぁ?」
扉が開くと久しぶりにガリガリにやせた長い黒髪の姿を見せた。首には口をモチーフにしたようなネックレスをしている。
「久しぶりだな? 相変わらず痩せてるし、不気味な髪だな?」
「なんだぁ? 鬼のおでましかぁ? 老いぼれが何しにきたぁ?」
「お前も一個下ぐらいだろうが。年はたいしてかわらんだろう。マナがな。行方不明になったんだ」
目の前の男はその言葉を聞いても怪訝な顔をしている。
「で? なんで鬼が来るんだ?」
「探しに行くんだろうが」
「はっ! そりゃあお優しいこって! 探索者っつうのは死んだら自分の責任だろう!? 違うか!?」
「別に助けてほしいって言われたわけではない。俺が探したいんだ」
「あー、お人よし。バカみたいだねぇ」
こちらを小馬鹿にするように鼻で笑う。両手を広げてこちらを煽っているようだ。
コイツは昔からそうだ。探索者は自己責任。それを貫き通している男だ。だから俺の行動がよくわからないのだろう。
「クッピーの肉、持ってきたんだけど……食わないみた──」
「──なんだぁ。中に入れよぉ。肉を食おうぜ? 肉をよぉ」
「ったく。最初から中に入れろよな」
「まぁまぁ。あれぇ? 随分かわいい相棒でないのぉぉ?」
その男はがに股で歩いてサーヤの目の前で止まる。顔が付くのではないかという程近くで見る。顔を見終わると全身を舐めるように見ている。
「んー。食べたいねぇ」
「ヤマト、やめてやれ恐がってるだろう」
サーヤは目を見開いたまま固まっていた。プルプルと震えながらなんとか立っている状態のようだ。余程恐かったのだろう。
「なんだよ。ガイル。冗談だろう?」
「ほら、肉」
「おぉー。わかってるじゃん。ちゃんと脂肪があるところじゃーん」
「好きだったろ?」
「ありがたいねぇ。最近はコイツばっかり食べて、俺様は食べられなかったからなぁ」
俺に向けてウインクをしてキッチンへと消えていったヤマト。
「ししょー! あの人恐いですよぉ!」
「悪い奴じゃないんだ。勘弁してやってくれ」
「本当に食べられるかと思いましたよ!?」
「まぁ。食べることができるからな。何とも言えないな」
「えぇ? あの人、人を食べるんですか? ひぃぃぃぃ」
完全に勘違いしている。ヤマトからの魔力もそうだが、あのネックレスからの魔力がえげつないのに気が付かなかったのだろうか。
「できたぞぉ」
皿を四つに分けて持ってきてくれた。自分だけ食べるのは許されないのか。
俺はそう理解したが、サーヤが疑問だったのだろう。
「なんで四皿なんですか?」
身を寄せて小声で聞いてきた。
「まぁ、見てろ」
「ガイルありがとう!」
こちらに頭を下げながら一つの皿を胸元に持っていく。
すると、ネックレスの口がガバァッと開いたかと思うと黒い何かが出てきて肉を飲み込んでいった。
「えぇぇぇ!? それが食べるんですかぁぁぁ?」
「そうだぜぇ。こいつ先に食わせないと機嫌が悪くなるんだぁ。さ、俺様もたべよぉ」
ヤマトは肉を食べて悶えている。余程おいしかったのだろう。涙を流していた。
「うぅぅぅ。久しぶりにうめぇぇ」
また身を寄せてきたサーヤ。
「あの人大丈夫ですか? なんなんです? あのネックレス」
「あれはこれと同じだ」
腕輪を見せると目を見開いたサーヤ。
「まさか七大罪具!?」
大きな声が出てしまったサーヤ。ヤマトに睨まれている。
「そうだ。ヤマトは、暴食の名を冠する七大罪具の持ち主だ」
サーヤは衝撃のあまり固まっていた。
底の見えない谷。
サーヤは恐る恐る覗き込んでいる。
「こっちからおりるぞぉ」
「えぇ!? 下りられるんですか?」
西の方へと少し歩いていくと一人が歩いていける幅の道が現れた。そこを下っていくことで谷の底へと歩いていくことができる。
「ギィヤァァア」
クッピーは先ほどの個体だけではない。谷の上を旋回していてこちらを観察している。
「ひぃぃ。さっきの上にもいますよぉ?」
「大丈夫だ。この谷の下へ下りている最中は安全が保障されているんだ。見ていればわかる」
サーヤへ落ち着くように声掛けをおこなう。それに対して信用していないように怪訝な表情をしている。
この下へ行く坂道はかなり長い。そして、折り返し、折り返しで下へとおりていくのだ。まだ三分の一ほどしかおりられていない。
「ギィィヤァァァ」
「えっ!? 来ましたよ!」
「見てろ?」
滑空してきたクッピーが谷に入った瞬間、谷の底から黒い何かが出現し、バクリと飲み込んでいった。
「えぇ!? なんですか?」
「これが暴食の谷といわれる所以《ゆえん》だ」
まだアイツは健在のようだな。なら下までも安心に行ける。
「下までは安全みたいだ。落ちないように行くぞ」
「は、はい……」
俺がそうはいってもサーヤは心配なようだ。
壁に身体を預ける様にして手をつきながら恐る恐る下りていく。
その気持ちはわからないでもない。何せすぐ横は何もない暗闇の奈落の底。時折吹きつける風にビクビクしながらも三時間ほどの時間下りていた。
底が見えてきたころ。家のようなものが見えてきた。煙突からは煙が出ている。
「ししょー、なんか家みたいなのがありますよ?」
「そうだな。俺の昔馴染みがいるはずだ」
「えぇ? そうなんですか?」
「奴にクッピーの肉を分けてやろう」
アイツは肉が好きだった。喜んでくれるだろう。こんな谷底で何を食って生きているんだか。
家が目の前に見えてきた。ノッカーで呼び出す。
「あぁ? こんなところにだれだぁ?」
扉が開くと久しぶりにガリガリにやせた長い黒髪の姿を見せた。首には口をモチーフにしたようなネックレスをしている。
「久しぶりだな? 相変わらず痩せてるし、不気味な髪だな?」
「なんだぁ? 鬼のおでましかぁ? 老いぼれが何しにきたぁ?」
「お前も一個下ぐらいだろうが。年はたいしてかわらんだろう。マナがな。行方不明になったんだ」
目の前の男はその言葉を聞いても怪訝な顔をしている。
「で? なんで鬼が来るんだ?」
「探しに行くんだろうが」
「はっ! そりゃあお優しいこって! 探索者っつうのは死んだら自分の責任だろう!? 違うか!?」
「別に助けてほしいって言われたわけではない。俺が探したいんだ」
「あー、お人よし。バカみたいだねぇ」
こちらを小馬鹿にするように鼻で笑う。両手を広げてこちらを煽っているようだ。
コイツは昔からそうだ。探索者は自己責任。それを貫き通している男だ。だから俺の行動がよくわからないのだろう。
「クッピーの肉、持ってきたんだけど……食わないみた──」
「──なんだぁ。中に入れよぉ。肉を食おうぜ? 肉をよぉ」
「ったく。最初から中に入れろよな」
「まぁまぁ。あれぇ? 随分かわいい相棒でないのぉぉ?」
その男はがに股で歩いてサーヤの目の前で止まる。顔が付くのではないかという程近くで見る。顔を見終わると全身を舐めるように見ている。
「んー。食べたいねぇ」
「ヤマト、やめてやれ恐がってるだろう」
サーヤは目を見開いたまま固まっていた。プルプルと震えながらなんとか立っている状態のようだ。余程恐かったのだろう。
「なんだよ。ガイル。冗談だろう?」
「ほら、肉」
「おぉー。わかってるじゃん。ちゃんと脂肪があるところじゃーん」
「好きだったろ?」
「ありがたいねぇ。最近はコイツばっかり食べて、俺様は食べられなかったからなぁ」
俺に向けてウインクをしてキッチンへと消えていったヤマト。
「ししょー! あの人恐いですよぉ!」
「悪い奴じゃないんだ。勘弁してやってくれ」
「本当に食べられるかと思いましたよ!?」
「まぁ。食べることができるからな。何とも言えないな」
「えぇ? あの人、人を食べるんですか? ひぃぃぃぃ」
完全に勘違いしている。ヤマトからの魔力もそうだが、あのネックレスからの魔力がえげつないのに気が付かなかったのだろうか。
「できたぞぉ」
皿を四つに分けて持ってきてくれた。自分だけ食べるのは許されないのか。
俺はそう理解したが、サーヤが疑問だったのだろう。
「なんで四皿なんですか?」
身を寄せて小声で聞いてきた。
「まぁ、見てろ」
「ガイルありがとう!」
こちらに頭を下げながら一つの皿を胸元に持っていく。
すると、ネックレスの口がガバァッと開いたかと思うと黒い何かが出てきて肉を飲み込んでいった。
「えぇぇぇ!? それが食べるんですかぁぁぁ?」
「そうだぜぇ。こいつ先に食わせないと機嫌が悪くなるんだぁ。さ、俺様もたべよぉ」
ヤマトは肉を食べて悶えている。余程おいしかったのだろう。涙を流していた。
「うぅぅぅ。久しぶりにうめぇぇ」
また身を寄せてきたサーヤ。
「あの人大丈夫ですか? なんなんです? あのネックレス」
「あれはこれと同じだ」
腕輪を見せると目を見開いたサーヤ。
「まさか七大罪具!?」
大きな声が出てしまったサーヤ。ヤマトに睨まれている。
「そうだ。ヤマトは、暴食の名を冠する七大罪具の持ち主だ」
サーヤは衝撃のあまり固まっていた。
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