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R15(前半)
3.イケオジ執事喫茶・・・ですって?
「アンリ、アンリ?お~~い、杏里い?」
ハッとして顔をあげれば、カフェの名物、山盛りポテトを頬張っている朋美が手をヒラヒラと振っていて、杏里はほっと胸を撫でおろした。
久しぶりに想い出したあのもう今はなき日々に、胸が締め付けられて、杏里はもう氷も溶けてしまったカフェラテを飲み干す。
「で、杏里も何か現実に戻って来たしさ、そろそろ、行こっか?」
朋美に連れられ、大都会の真ん中を横切り、着いた先は地下へと通じる細い階段だった。
「ね……良いとはいったけど……どこ?ここ……なんか怪しいんですけど」
『え!?今までの話、聞いて無かったの!?』と朋美は杏里に向かって溜め息をつきながら指で髪をクルクルと動かした。
「私たち、お嬢様になるのよ!」
「はい?」
「だーかーら、お嬢様になって、執事に甘やかしてもらうの!」
「……いや、それはいいや」
杏里がくるりと回れ右したのを見て、朋美はその腕を掴んだ。
「いやああ、お願い。取りあえず、ここ降りたら着くんだから~!!付き合って!」
杏里の目の前には周りに薔薇の花が散りばめられた重厚なドア。
「ここはね、”C’est la classe”っていうイケオジ執事喫茶!!」
「待って、やっぱり遠慮しとく。うん、やめるわ」
「え!?ねえ、さっき奇跡的に予約取れちゃったし!お願い!100分制だしぃ!一時間で杏里が嫌なら帰ってもいいからぁ!ホント憧れなのよ、一生のお願いいぃ」
『なんで私の誕生日だったからお祝いで!』とか言いながらこうなるのかな~?と杏里は朋美を見た。まあ、そこが朋美らしくて良いんだけど。
「っもう、分かったよ。朋ちゃんが執事とかそういうのが好きなのは分かっているから……憧れだし、行ってみたかったんだもんね?じゃあ……「おかえりなさいませ、朋美お嬢様」
「あら、久しぶりね、木島?」
杏里が言葉を言い終わらずに既にインターホンを押していた朋美。
そして今まさに目の前で繰り広げられているその光景に、杏里はあんぐりと口をあけた。
「えええっ、ちょっとまてーーーーい!執事喫茶、初めてじゃないんかぁぁい!!憧れなのぉ~キラキラぁ、みたいな言い方しておいて……何その、超慣れたやり取り!!!」
「ちょっと、杏里、全部言葉に出てるし。しかも杏里、関西弁じゃないでしょ?そのエセ関西弁みたいのはちょっと……」
”頂けないわ~”といいながら腕を組む朋美と、扉を開けて微笑みながら直立したドアマンの男性の視線を感じ、杏里は慌てて口を両手で塞ぐと赤面して咄嗟にカーテシーを取った。
「御目汚し、失礼致しました……ッ、あ……」
「へ?杏里、完璧な役作り!流石、お嬢様風女子!」
「これはこれは、朋美お嬢様からお話はよく伺っております、杏里お嬢様。本日は本邸でごゆっくりとおくつろぎくださいませ」
「は……い」
また前世の癖でやってしまった……と項垂れた杏里を気にする様子もなく、朋美は肩で風を切るように店内に足を進める。
部屋の中心に入れれば、赤いカーペットに、美しい絵画が並び、杏里の頭の中には久しぶりに前世の伯爵邸の事が想い出された。
前世の記憶は未だに色濃く残っている。
だから、さっきみたいに急に、前世で身体に染み着いた癖がでてしまうわけだ。
「ああゆうのは出ないようにしないと……」
「本日のお席はこちらでございます。直ぐに本日の専属執事がお茶菓子とお紅茶のメニューを持って参りますので、お待ち下さいませ」
「は~い、木島、今日は彼、なのよね?」
「はい、朋美お嬢様のご指名通りに準備、整ってございます」
「そう、ならいいわ」
ふんふーん、と鼻歌交じりに手を振った朋美に、杏里はジトっとした視線を向けた。
「何回目なの、朋美お嬢様?」
「あらいやね、杏里お嬢様、たった数回よ?」
「一般的な数回は二桁の事を言わなくてよ?」
朋美はその言葉に照れたように笑う。
「へへっ。だって、一人推しがいるの~、めっちゃタイプで、本気になりそうなほど好きなんだもん~」
「へえ……」
「でも凄く人気なの。予約なんて取れないんだから、今日はたまたま!!」
杏里は周りを見渡した。
働いている執事は皆執事服を着ていて、朋美の言った通り”イケオジ”しかいない。
雰囲気も落ち着いていて、大人な雰囲気がまたセクシーな印象を与えていた。
客は本当に貴族風のドレスを着ている客もいるし、普通のOLのような人も自分と同じ大学生っぽい人もいる。
執事とお嬢様って需要あるんだな~、と杏里が漠然と考えていると、目の前に影ができて朋美の嬉しそうな声が響いた。
「はァッ!麗しすぎる、眼福だわ!ハーフってホントズルいわよねえ」
「おかえりなさいませ、朋美お嬢様。お久しぶりにございます。それと……」
杏里は綺麗に腰を折っていた状態から顔をあげたその執事を見て……。
そして時が止まって、同時に身体の全ての器官が一瞬動きを止めた……ように感じた。
「……セバス……チャン……ッ、ゴホゴホッ」
「あれ?杏里に名前見せたっけ?そう、彼が今日の専属執事よ、杏里お嬢様っ」
高身長、深い青みがかった黒髪の短髪をかきあげて、あの時と同じ、青い切れ長の瞳が細められて。
もうその時には朋美の嬉しそうな声も周りの雑音も何も聞こえなくなった。
「セバスチャンにございます、アンリお嬢様……。ようやく本邸にお越しくださったのですね……本当に、お待ちしておりました……」
「ちょ、っと……トイレ……に」
「え、大丈夫?杏里、顔が真っ青よ?」
「だ、大丈夫だから……先、楽しんでて」
息ができない……何も考えられない。
あの濃く青みがかった黒い髪に、青い瞳……ここでは浮世離れしたようなイケメンだけど、異国の血が混ざったハーフなら納得よね。それに、セバスチャンって名前も……。
「っは……」
トイレに辿りつく直前で過呼吸のようになって、人目のつかない角に凭れ掛かり、倒れる寸での所で後ろから来た執事に抱き止められた。
「お嬢様、大丈夫ですか?今横になれる広めのソファに……「入江執事、彼女は私の客だ。ここはいいから、私の他の客を一瞬フォローしてくれないか?」
『少し怒った声もセバスなのね……』と思いながら、入江と呼ばれた男が頷いてフロアに戻っていくのを見送って、彼はお姫様抱っこをしてソファに腰掛ける。
「過呼吸なのでしょう。ゆっくりと息を吐けばよろしいかと思います、こちら、袋を口に当てて」
深く息を吐けば視界が鮮明になり、杏里はほっと胸をなでおろした。
いや、彼の膝の上にいるという安心感もあるのかもしれないけど……
と、そこまで考えて、杏里は彼の顔を見ずに頭を下げた。
「ご、ご迷惑おかけしました。も、もう大丈夫です、ので!」
彼の膝からおりようとして、がっちりホールドされ、全く動かない自分の身体を見る。
「あ、あの……「やっと見つけた……。やっと、です……。なのに……貴女様はまた私から逃げるのですか?ッもう、離せるわけがないでしょう……アンリエッタお嬢様……」
杏里は顔を上げた。
やっぱり、セバスチャンだった。
認めたくなかったけど、やっぱり、彼だった。
私がずっと好きで、憧れていた専属執事の彼が……執事喫茶にいた。
笑っちゃうようなアリエナイ展開だけど、でも……。
「セバ、ス……」
杏里が口を開きかけた時、ソファの後ろから先程の男性が顔を覗かせた。
「セバス様、もうそろそろ……」
チッ、と舌打ちをした彼は席を立つと男を見た。
青く美しい瞳が濁り、切れ長の目が細められて、その威圧感に杏里は息を呑む。
だが、そんな彼女を見て、セバスは表情を少し緩めて口を開く。
「入江、彼女を席に、頼みますよ」
「はい、心得ております、執事長。行きましょう、お嬢様」
未だフラフラとした杏里を気遣ってか、入江が腕を差し出し、そこに手を置いた彼女を見てセバスは拳を強く握りしめた。
ハッとして顔をあげれば、カフェの名物、山盛りポテトを頬張っている朋美が手をヒラヒラと振っていて、杏里はほっと胸を撫でおろした。
久しぶりに想い出したあのもう今はなき日々に、胸が締め付けられて、杏里はもう氷も溶けてしまったカフェラテを飲み干す。
「で、杏里も何か現実に戻って来たしさ、そろそろ、行こっか?」
朋美に連れられ、大都会の真ん中を横切り、着いた先は地下へと通じる細い階段だった。
「ね……良いとはいったけど……どこ?ここ……なんか怪しいんですけど」
『え!?今までの話、聞いて無かったの!?』と朋美は杏里に向かって溜め息をつきながら指で髪をクルクルと動かした。
「私たち、お嬢様になるのよ!」
「はい?」
「だーかーら、お嬢様になって、執事に甘やかしてもらうの!」
「……いや、それはいいや」
杏里がくるりと回れ右したのを見て、朋美はその腕を掴んだ。
「いやああ、お願い。取りあえず、ここ降りたら着くんだから~!!付き合って!」
杏里の目の前には周りに薔薇の花が散りばめられた重厚なドア。
「ここはね、”C’est la classe”っていうイケオジ執事喫茶!!」
「待って、やっぱり遠慮しとく。うん、やめるわ」
「え!?ねえ、さっき奇跡的に予約取れちゃったし!お願い!100分制だしぃ!一時間で杏里が嫌なら帰ってもいいからぁ!ホント憧れなのよ、一生のお願いいぃ」
『なんで私の誕生日だったからお祝いで!』とか言いながらこうなるのかな~?と杏里は朋美を見た。まあ、そこが朋美らしくて良いんだけど。
「っもう、分かったよ。朋ちゃんが執事とかそういうのが好きなのは分かっているから……憧れだし、行ってみたかったんだもんね?じゃあ……「おかえりなさいませ、朋美お嬢様」
「あら、久しぶりね、木島?」
杏里が言葉を言い終わらずに既にインターホンを押していた朋美。
そして今まさに目の前で繰り広げられているその光景に、杏里はあんぐりと口をあけた。
「えええっ、ちょっとまてーーーーい!執事喫茶、初めてじゃないんかぁぁい!!憧れなのぉ~キラキラぁ、みたいな言い方しておいて……何その、超慣れたやり取り!!!」
「ちょっと、杏里、全部言葉に出てるし。しかも杏里、関西弁じゃないでしょ?そのエセ関西弁みたいのはちょっと……」
”頂けないわ~”といいながら腕を組む朋美と、扉を開けて微笑みながら直立したドアマンの男性の視線を感じ、杏里は慌てて口を両手で塞ぐと赤面して咄嗟にカーテシーを取った。
「御目汚し、失礼致しました……ッ、あ……」
「へ?杏里、完璧な役作り!流石、お嬢様風女子!」
「これはこれは、朋美お嬢様からお話はよく伺っております、杏里お嬢様。本日は本邸でごゆっくりとおくつろぎくださいませ」
「は……い」
また前世の癖でやってしまった……と項垂れた杏里を気にする様子もなく、朋美は肩で風を切るように店内に足を進める。
部屋の中心に入れれば、赤いカーペットに、美しい絵画が並び、杏里の頭の中には久しぶりに前世の伯爵邸の事が想い出された。
前世の記憶は未だに色濃く残っている。
だから、さっきみたいに急に、前世で身体に染み着いた癖がでてしまうわけだ。
「ああゆうのは出ないようにしないと……」
「本日のお席はこちらでございます。直ぐに本日の専属執事がお茶菓子とお紅茶のメニューを持って参りますので、お待ち下さいませ」
「は~い、木島、今日は彼、なのよね?」
「はい、朋美お嬢様のご指名通りに準備、整ってございます」
「そう、ならいいわ」
ふんふーん、と鼻歌交じりに手を振った朋美に、杏里はジトっとした視線を向けた。
「何回目なの、朋美お嬢様?」
「あらいやね、杏里お嬢様、たった数回よ?」
「一般的な数回は二桁の事を言わなくてよ?」
朋美はその言葉に照れたように笑う。
「へへっ。だって、一人推しがいるの~、めっちゃタイプで、本気になりそうなほど好きなんだもん~」
「へえ……」
「でも凄く人気なの。予約なんて取れないんだから、今日はたまたま!!」
杏里は周りを見渡した。
働いている執事は皆執事服を着ていて、朋美の言った通り”イケオジ”しかいない。
雰囲気も落ち着いていて、大人な雰囲気がまたセクシーな印象を与えていた。
客は本当に貴族風のドレスを着ている客もいるし、普通のOLのような人も自分と同じ大学生っぽい人もいる。
執事とお嬢様って需要あるんだな~、と杏里が漠然と考えていると、目の前に影ができて朋美の嬉しそうな声が響いた。
「はァッ!麗しすぎる、眼福だわ!ハーフってホントズルいわよねえ」
「おかえりなさいませ、朋美お嬢様。お久しぶりにございます。それと……」
杏里は綺麗に腰を折っていた状態から顔をあげたその執事を見て……。
そして時が止まって、同時に身体の全ての器官が一瞬動きを止めた……ように感じた。
「……セバス……チャン……ッ、ゴホゴホッ」
「あれ?杏里に名前見せたっけ?そう、彼が今日の専属執事よ、杏里お嬢様っ」
高身長、深い青みがかった黒髪の短髪をかきあげて、あの時と同じ、青い切れ長の瞳が細められて。
もうその時には朋美の嬉しそうな声も周りの雑音も何も聞こえなくなった。
「セバスチャンにございます、アンリお嬢様……。ようやく本邸にお越しくださったのですね……本当に、お待ちしておりました……」
「ちょ、っと……トイレ……に」
「え、大丈夫?杏里、顔が真っ青よ?」
「だ、大丈夫だから……先、楽しんでて」
息ができない……何も考えられない。
あの濃く青みがかった黒い髪に、青い瞳……ここでは浮世離れしたようなイケメンだけど、異国の血が混ざったハーフなら納得よね。それに、セバスチャンって名前も……。
「っは……」
トイレに辿りつく直前で過呼吸のようになって、人目のつかない角に凭れ掛かり、倒れる寸での所で後ろから来た執事に抱き止められた。
「お嬢様、大丈夫ですか?今横になれる広めのソファに……「入江執事、彼女は私の客だ。ここはいいから、私の他の客を一瞬フォローしてくれないか?」
『少し怒った声もセバスなのね……』と思いながら、入江と呼ばれた男が頷いてフロアに戻っていくのを見送って、彼はお姫様抱っこをしてソファに腰掛ける。
「過呼吸なのでしょう。ゆっくりと息を吐けばよろしいかと思います、こちら、袋を口に当てて」
深く息を吐けば視界が鮮明になり、杏里はほっと胸をなでおろした。
いや、彼の膝の上にいるという安心感もあるのかもしれないけど……
と、そこまで考えて、杏里は彼の顔を見ずに頭を下げた。
「ご、ご迷惑おかけしました。も、もう大丈夫です、ので!」
彼の膝からおりようとして、がっちりホールドされ、全く動かない自分の身体を見る。
「あ、あの……「やっと見つけた……。やっと、です……。なのに……貴女様はまた私から逃げるのですか?ッもう、離せるわけがないでしょう……アンリエッタお嬢様……」
杏里は顔を上げた。
やっぱり、セバスチャンだった。
認めたくなかったけど、やっぱり、彼だった。
私がずっと好きで、憧れていた専属執事の彼が……執事喫茶にいた。
笑っちゃうようなアリエナイ展開だけど、でも……。
「セバ、ス……」
杏里が口を開きかけた時、ソファの後ろから先程の男性が顔を覗かせた。
「セバス様、もうそろそろ……」
チッ、と舌打ちをした彼は席を立つと男を見た。
青く美しい瞳が濁り、切れ長の目が細められて、その威圧感に杏里は息を呑む。
だが、そんな彼女を見て、セバスは表情を少し緩めて口を開く。
「入江、彼女を席に、頼みますよ」
「はい、心得ております、執事長。行きましょう、お嬢様」
未だフラフラとした杏里を気遣ってか、入江が腕を差し出し、そこに手を置いた彼女を見てセバスは拳を強く握りしめた。
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