【第一章/王国離縁編】王太子に離縁されました?上等です。最強の皇帝陛下の【魔眼】と共に、世界攻略を致しますので!【R18・完結】

猫まんじゅう

文字の大きさ
42 / 58
第一章 王国、離縁篇

36. ヴィクトールの、今後の展望



 ルーカスとリチャードの進言により、リリアーナはヴィクトールと二人きりになった。とはいっても、ひらけたサロンから他の面々が出ていっただけなので密室ではない。

「········」
「リリアーナ、先ずは、私の妻となる決心をしてくれたこと礼をいう」

「貴方は、ルドルフ様で合っているのですか?見た目も全く違うようですが」
「あぁ、ルドルフは中立国の冒険者になるために作った名前だ。見た目は魔法で変えていたが同一人物だ。貴女も、見た目はリリア嬢とは違うようだが中身は変わらないのだろう?同じことだ」

 彼に対する不満から少し嫌味をいれてみたのだが、流石は皇国の皇帝だろうか。そのまま嫌味で返されて、リリアーナは頬を膨らませる。

「(確かに、私もお兄様の魔法で見た目を変えていたわね)·······」
「不満そうな顔をしても貴女は美しいな」
「っ、」

「俺のことを色々と聞きたいのだろう?俺も貴女のことをもっと知りたい。だが、それはこれから時間をかけてお互いに知っていくというので良いだろうか?今は今後の方針を話さなければいけないんだ」
「はい·······、」

「だが····ただ一つ、これは忘れないでくれ。俺は、貴女を愛している。ずっと妻にと望んでいた」
「あ、あ、、あいし········」

 その言葉で顔から火がでるように熱くなる。
 “自分も。自分も貴方に恋をしていた······。”
 そう言うと決めていたのに。言いたいのに、その言葉が思うように出てこない。

 そんなリリアーナの気持ちを知りもせず、ヴィクトールは直ぐに立ち上がってパンッと手を叩いた。
 それを合図に先程の面々がサロンへと戻ってくる。

 恥じらいから言葉を伝える事ができなかったリリアーナは大人しく椅子に座って話を聞くに呈した。
 その隣に腰を下ろしたヴィクトールは周りを見渡してから沈黙を破る。


「先ず、こちらの紹介がまだだったな。
リチャード、俺の側近の一人だ。そしてルーカス、今後リリアーナの専属護衛となる予定だ」

 視線のみで二人の紹介をした後、ヴィクトールは先を急ぐように話を続ける。

「先程は、レベロン王国国王とシャルロン公爵立会いのもと話し合いをしてきた。結論からいうと、魔法師団(こうしゃくぐん)は王国騎士団と統合する。シャルロン公爵が騎士団の全体指揮という事にはなるが、あまり期待は持てないだろうな。リリアーナを俺が娶ることについても、色々と条件をつけてきた位だ」

「父上が自軍を失うことは公爵家が力を削がれたも同然ですね。それにリリアーナの件、国外追放といっておきながら条件を付けてくるとは強欲な········」

「リリアーナの名を出して、我が国とレベロン王国の同盟を求められたのだが、それは断った。そこまでする義理はない。レイアードの言う通り、リリアーナを追放したのは王国だ。だが、一先ず友好国ということで一方的な侵略はしないと誓った。
────────と、ここまでが表面的な話だ」

 一度話を区切ったヴィクトールは怪しい笑みを浮かべている。まるで、楽しそうなオモチャを手に入れたかのように黄金の瞳が不敵に鋭く光ったのを見て、レイアードは息を飲んだ。

「────では、我々皇国の今後の展望といこう。
 今後、皇国に害があった際はこれを放棄し全面戦争とする。一切の手は抜かない。そしてそうなれば、シャルロン公爵は皇国にてシャルロン侯爵とし、皇国の騎士団の指揮を担ってもらう。
また、今回のレベロン王国国王の采配で、王国直轄になる魔法師団こうしゃくぐんの連中で希望者がいれば皇国にて引き取ろう。
最後に、これは先程公爵から頼まれたのだが。レイアードは皇国に留学生として受け入れる。以上だ」

「え、はっ?! ちょ、父上どういうことですか!」


 黙って聞いていたレイアードが大きな音を立てて立ち上がる。それを横目で見た公爵はゆっくりと口を開いた。


「そのままだ、レイアード。お前もいった通り今回の王の采配で我が家はほぼ力を削がれた。これも子爵の思惑なのだろうな。そして今後の王国に未来はない。ヴィクトール陛下があそこまで仰っているということは、皇国側からするともう王国ここを滅ぼす目処はついているんだろう。お前がすべきことは、いち早くルドアニア皇国にて繋がりを増やし侯爵となった際にすぐにそれを役立てることだ」

「······分かりました。確かに、友好国となったのですし、妹の嫁ぎ先に魔法を学びに行くという名目なら怪しまれませんし、ね」

 レイアードは少し考え、頷いた。
 父の言う事は筋が通っているからだ。
 “シャルロン侯爵”として皇国に移住する際にスムーズに仕事が回せるようにレイアードが繋がりを作って信頼を得ておく事は必須なのだろうから。


「心配するな、リリアーナ、レイアード。死ぬわけではないのだよ、また会える。」 


 公爵はリリアーナとレイアードに微笑んだ。
 とても温かみのある優しい父親の笑顔で。

 そしてこの笑顔がリリアーナとレイアードの見た父親の最後の笑顔となるのだが。
 それを知るのはまだずっと、先の話。

感想 0

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中