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第一章 王国、離縁篇
35. リリアーナの新人護衛、ルカ
しおりを挟む※現在完結にさせるため、大幅改稿中です。番号が変わったり内容が変化していたりします。
ご迷惑おかけします。
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ルドアニア皇国にある二つの騎士団のうち黒騎士団に所属し副団長を担っております。
跪きながらそう発言したルカにリリアーナは目を白黒させる。
「え? ルカ? いえ、ルーカスは皇国の人なの?」
「はい。ヴィクトール陛下の命にてリリアーナ様の護衛をしておりました。今後はリリアーナ様の専属護衛を仰せつかっております。隠しており、申し訳ございませんでした······。お見知りおき頂けると光栄です」
「お見知りおき、って·····今まで通り親密に接してくれると嬉しいのだけれど。あと、そのままルカって呼んでもいいかしら?」
「はい、勿論でございます」
「なるほどねぇ、皇国の護衛まで付けてたんだ。ヴィクトール陛下って意外と過保護なのかな?」
いままで黙って二人のやりとりを見ていたレイアードが、やれやれと頭を抱える。
「レイアード様、陛下よりお話は伺っております。お会いできて光栄です。リリアーナ様は私が命に代えましてもお守り致します。」
「まあ、あの陛下がいればリリアーナは大丈夫なんだろう? 君、ルドアニア皇国の騎士団、それも副団長ってことは、リチャードの下?君も強いの?」
「いえ、僕は魔法に関してはからきしでして。剣術や武術を得意としているので黒騎士団におります。リチャード様は魔法を得意とする白騎士団の団長です」
「皇国での生活は魔法が使えない私でも大丈夫なのかしら?」
「ルドアニアには魔導具といって、魔力のない人が使える道具も普及していますので、リリアーナ様にご不便をおかけすることはないと思いますよ」
「へぇ、便利なのね」
リリアーナは目を丸くする。魔法が使えないから、と馬鹿にされたり蔑まれることもないのだろうか?と心の中で思った。
「確かにリリアーナは魔力量はあっても魔法が使えないから大変だよね。レベロン王国はそうゆう面では魔力なしには生きにくい。その点、ルドアニア皇国は豊かなんだろうね」
三人はサロンのソファに腰掛けて束の間の休息を楽しんでいた。
ふぅ、と紅茶を啜りため息をついたリリアーナをみてルーカスとレイアードは顔を見合わせる。
そして声に出さずに笑った。
リリアーナは、心のどこかで現実逃避していたのかもしれない。王太子妃という重役からやっと逃れられたというのに。これから直ぐにルドアニア皇国に皇帝陛下の婚約者として向かうなど、到底現実味がないと感じていたのだろう。
「それにしても、身分を隠して私に接触してきた挙げ句、断罪式の途中に乗り込んできて求婚するなんて、本当にどうかしてるわ」
リリアーナのヴィクトールに対する心の中の不満は完全に声となってサロンに響いていたのだから。
直後、バタバタと玄関前が騒がしくなり、レイアードとルーカスがそれを察知し直ぐに立ち上がった。
間髪入れず、公爵家の重厚な扉が開くとシャルロン公爵、ヴィクトールが順に家へと入り、後ろにリチャードが続いてサロンに向かって歩いてくる。
「待たせたな、」
「ヴィクトール陛下の御前失礼致します」
「ヴィクトール陛下、お疲れ様でした」
ルーカスはいつも通りの最敬礼、レイアードは他国の王にする敬礼をしたところでリリアーナも慌てて立ち上がった。
「ヴィクトール陛下におかれましては、「リリアーナ、楽にしてくれ。貴女は私の妻となる。敬礼は不要」
「そういうわけには······、」
「良い。皆楽にしてくれ。いまは時間が惜しい」
張り詰めた雰囲気を醸し出すヴィクトールに少し怖気づいたリリアーナだったが、求婚に関して未だ詳細を知らない事に対する不満を思い出す。
『人の断罪中に求婚だけして、そのまま何も説明がないなんて。ルドルフ様として、の求婚なら兎も角、ヴィクトール陛下とは初対面であったはずなのに自分都合なんてひどいわよね』
頭の中でぐるぐると負の考えが巡っていく。そんな彼女を隣で見ていたルーカスは緊張しながらもヴィクトールへ進言する決意をした。
「陛下、僭越ながら発言お許し頂けないでしょうか」
「なんだ、ルーカス」
ギロリと鋭い視線が向けられ、ルーカスは肩を揺らす。だが、リリアーナのためだ。震える手を握りしめ力を振り絞って声を出した。
「はっ。リリアーナ様が混乱していらっしゃるようです。急ぎの件とは承知しておりますが、一度リリアーナ様とお話する機会を、と思いました。出過ぎだ真似でしたら申し訳ございません!」
「んー、僕も今回ばかりはルーカスに同意ですっ。陛下、とりあえずリリアーナ様に陛下としては話してないわけすよね。説明して差し上げた方が後々良いですよっ、今後の夫婦生活のためにもっ」
「分かった。では少々二人きりにしてもらえるか。その間にセドリックに連絡をつけておけ、」
こうしてルーカスとリチャードの進言により、リリアーナはヴィクトールと二人きりになる機会を得たのだった。
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