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言っていいことと悪いことがありますよね
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「うっひゃー! 冷たいっ! 気持ちいい~」
食事を終えた後。
庭に設置したちゃっちいビニールプールに浸かった刹火がはしゃぎ声を上げる。
天からは厳しい日差しがさんさんと照り付けており、今日も厳しい真夏日となっていた。
そんな中、刹火は水着でプールを満喫し、俺はそんな刹火にホースで水をぶっかけていた。
そう、俺は水に浸かっていない。
つまり。
「あっちぃ……」
額に汗を滲ませながらぼやく。
「お兄ちゃんも一緒に入ればいいのに」
「狭すぎるんだよ、そのプール」
使用しているビニールプールは俺たちが子供の時――幼稚園児くらいの頃だろうか――に購入したものなので、ほぼ成長しきった俺たちにが二人で入るには小さすぎるのだ。
「詰めれば入れるよ?」
「それはそれで暑苦しい、気分的に」
「むぅ」
俺の返答が気に食わなかったんだろう、刹火がしかめ面になる。
その顔のまま、刹火は両手でプールの水をすくい上げた。
水は陽光に煌めきながら飛んできて、俺のTシャツを濡らした。
「おい、なにをする」
「涼しさのおすそ分けですぅ。お兄ちゃん、暑そうにしてるから」
刹火は、口を尖らせながら適当に嘯く。
俺は刹火の頭部にホースの先を向けた。
「ぶわっ!」
水は額を直撃し、刹火が声を上げる。
「フハハハハ! こちらは武器を持っているのだよ、立場をわきまえ給え!」
「ぬぐぅ……」
俺は高らかに哄笑し、刹火は悔しさに臍を噛む。
刹火から仕掛けられた戦争は、俺の大勝であるかのように思われた。
が。
天啓が降りてきたのか、刹火は突然口の端を歪めた。
「お兄ちゃん、あんまり調子に乗らない方がいいよ」
「はっ」
刹火の言葉をただの強がりだと受け取った俺は、それを一笑に付す。
「武力の差は歴然。このまま水攻めし続ければこちらの勝利は確実だ。パンツ一丁ならぬビキニ一丁のお前に何ができる」
俺ははるか高みから余裕の言葉を刹火に浴びせかける。
しかし、その言葉に刹火は覚悟を決めたのか、目の色や纏う雰囲気を一瞬で変えた。
一瞬、優美でしおらしい女の色香を纏う。
そして、次の瞬間。
するり、と。
刹火は自分の背中に手を回し、結び目を解いた。
「なっ!」
白布から豊満な膨らみが解放されてゆく様を前に、驚きを隠せない。
白布が離れる瞬間、刹火は腕を使って秘部を器用に隠したが、それでも一瞬、桜色の蕾が露わになってしまっていた。
「せ、刹火……な、なにをしている?」
動揺に声が震える。
「……お兄ちゃんがいけないんだよ」
刹火は潤んだ瞳で、それだけを訴えてきた。
そして……。
「きゃーっ、犯される! お兄ちゃんに犯されるぅー! あたしのバージンが初めてで大変っ‼」
「おいっ、バカッ! 変なこと叫ぶなっ! 俺の人生が牢屋で大変になる‼」
俺はホースを投げ出して刹火の元へと駆け寄り、一も二も無く刹火の口を塞いだ。
「もが、もががががっ」
刹火は何か言いながら口を塞ぐ俺の手を必死でどけようとしていた。
今の、ご近所さんに聞かれてないだろうな……。通報されて警察でも来たら、シャレにならないぞ。
俺の心は焦りで一杯になる。
かといって、状況を打破する行動なんか思いつかない。
誰にも聞かれていないことを天に祈るだけだった。
食事を終えた後。
庭に設置したちゃっちいビニールプールに浸かった刹火がはしゃぎ声を上げる。
天からは厳しい日差しがさんさんと照り付けており、今日も厳しい真夏日となっていた。
そんな中、刹火は水着でプールを満喫し、俺はそんな刹火にホースで水をぶっかけていた。
そう、俺は水に浸かっていない。
つまり。
「あっちぃ……」
額に汗を滲ませながらぼやく。
「お兄ちゃんも一緒に入ればいいのに」
「狭すぎるんだよ、そのプール」
使用しているビニールプールは俺たちが子供の時――幼稚園児くらいの頃だろうか――に購入したものなので、ほぼ成長しきった俺たちにが二人で入るには小さすぎるのだ。
「詰めれば入れるよ?」
「それはそれで暑苦しい、気分的に」
「むぅ」
俺の返答が気に食わなかったんだろう、刹火がしかめ面になる。
その顔のまま、刹火は両手でプールの水をすくい上げた。
水は陽光に煌めきながら飛んできて、俺のTシャツを濡らした。
「おい、なにをする」
「涼しさのおすそ分けですぅ。お兄ちゃん、暑そうにしてるから」
刹火は、口を尖らせながら適当に嘯く。
俺は刹火の頭部にホースの先を向けた。
「ぶわっ!」
水は額を直撃し、刹火が声を上げる。
「フハハハハ! こちらは武器を持っているのだよ、立場をわきまえ給え!」
「ぬぐぅ……」
俺は高らかに哄笑し、刹火は悔しさに臍を噛む。
刹火から仕掛けられた戦争は、俺の大勝であるかのように思われた。
が。
天啓が降りてきたのか、刹火は突然口の端を歪めた。
「お兄ちゃん、あんまり調子に乗らない方がいいよ」
「はっ」
刹火の言葉をただの強がりだと受け取った俺は、それを一笑に付す。
「武力の差は歴然。このまま水攻めし続ければこちらの勝利は確実だ。パンツ一丁ならぬビキニ一丁のお前に何ができる」
俺ははるか高みから余裕の言葉を刹火に浴びせかける。
しかし、その言葉に刹火は覚悟を決めたのか、目の色や纏う雰囲気を一瞬で変えた。
一瞬、優美でしおらしい女の色香を纏う。
そして、次の瞬間。
するり、と。
刹火は自分の背中に手を回し、結び目を解いた。
「なっ!」
白布から豊満な膨らみが解放されてゆく様を前に、驚きを隠せない。
白布が離れる瞬間、刹火は腕を使って秘部を器用に隠したが、それでも一瞬、桜色の蕾が露わになってしまっていた。
「せ、刹火……な、なにをしている?」
動揺に声が震える。
「……お兄ちゃんがいけないんだよ」
刹火は潤んだ瞳で、それだけを訴えてきた。
そして……。
「きゃーっ、犯される! お兄ちゃんに犯されるぅー! あたしのバージンが初めてで大変っ‼」
「おいっ、バカッ! 変なこと叫ぶなっ! 俺の人生が牢屋で大変になる‼」
俺はホースを投げ出して刹火の元へと駆け寄り、一も二も無く刹火の口を塞いだ。
「もが、もががががっ」
刹火は何か言いながら口を塞ぐ俺の手を必死でどけようとしていた。
今の、ご近所さんに聞かれてないだろうな……。通報されて警察でも来たら、シャレにならないぞ。
俺の心は焦りで一杯になる。
かといって、状況を打破する行動なんか思いつかない。
誰にも聞かれていないことを天に祈るだけだった。
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