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第一章 婚約者からの冷遇
第二話 平凡顔はお嫌いですか? 2
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そんな父とのやり取りがあったとはいえ、もう既に親同士で決めてしまった婚約話に私は逆らう事も出来ず京平さんの婚約者になってしまったの。
幼馴染みとはいえ、一応は婚約した者同士という事で、後日我が七菱家一族と一柳院家のご一族とが集まって、豪華な婚約発表会が行われる事になったのね。
場所は七菱グループが所有するホテルの一番広い大宴会場。
婚約発表会当日は、旧華族の末裔と上場企業の七菱物産の社長令嬢の婚約という事で、会場には両家から招待を受けた親族や姻族、それぞれの会社のグループのTOPとその家族が集まっていただけでなく、何故か大手マスメディアまで集まっていて、父のエスコートで大広間に入った途端カメラのフラッシュ攻撃を浴びた私は驚きのあまり卒倒しそうになったぐらいよ。
なのに京平さんは逆に堂々たる姿で入場したの。そればかりか、カメラに向かって笑顔を見せ、なんなら軽く手まで振っていたわ。
それを見て私は、このマスメディア達を呼んだのが誰なのかピンときたの。
彼等を呼んだのは、一柳院京平 その人だって。
だから彼は全身ハイブランドのスーツで着飾ってきたのだわ。そして何故か彼のお母様苑子夫人もお祖母様の翠子様までも全身ハイブランドのドレスを着、10本の指全てと耳と首に高そうな大ぶりのジュエリーをゴテゴテと身につけてこのホテルに来られたのね。
その後会場の上手に作られた壇に置かれたテーブル席に、一柳院家の面々と七菱家の面々が着席すると、司会者からの今回の婚約に至るまでの経緯を大まかな説明があった後、何故か芸能人の記者会見みたいなのがとりおこなわれる事になったの。緊張から身構えてしまった私だったのだけれど、私への記者からの質問も、全て京平さんが答えてしまったのね。
結果私は、ただその場に無表情 ┄ 本当は笑顔でいないとダメだと思うのだけど、とてもじゃないけどムリだったわね ┄ で座っているだけだったわ。
でもそれからの方が本当に本当に大変だったの
だって一応婚約したわけだから、来場者の皆様にご挨拶をして回らなくてはならないでしょう?なのに京介さんは、婚約者である筈の私をエスコートもせず、逆にメイドの様に従わせる形で私を自分の後ろを歩かせ、自分の母親をエスコートしてるのだから、もう意味が分からないってなったわよね。
そして、挨拶しに来る人が途切れる度に、私や身に付けているオートクチュールドレスを見ては「ドレスが地味だ。」だの「祝いの場に似合わない。」だの「そもそも顔が地味過ぎる。」「何でお前みたいな女と俺が!」などと散々こき下ろしてきたの。
そればかりか、苑子夫人からも「貴女みたいな女が旧華族の仲間入りができるのだから有難く思え」やら「格式高い一柳院にこんな女が入り込むとは頭が痛い」やら「一柳院と繋がりが出来たおかげで七菱に箔がついて有り難いだろう」等と言われ、私は心底疲れきってしまったわ。
そんな所に、最悪な人が挨拶に来たのだからさあ大変!もう帰りたくなってしまった私は絶対に悪くない。寧ろ、弱り目に祟り目とはこの事を云うのねなんて事を頭の片隅で思ってしまうくらい最悪な人…それは従姉妹の三橋珠梨愛さん(当時21歳)だったのだから。
彼女はこれまた京平さんと同じハイブランドのドレスで登場し、彼等の後ろにいた私にでは無く、苑子夫人と京平さんにお祝い ┄ いや、殆どお悔やみの言葉だったわよね、あれは。どうせ、こんな地味で平凡顔の従姉妹と婚約なんてお可哀想とでも言いたい気持ちが言葉の端々に現れていたんだもの┄ の言葉を、満面の笑みで言ってたわ。
それから彼女は、京平さんと苑子夫人の服をベタ褒めし始めたの。
それに気を良くした京平さん達は、私をその場に置き去りにして珠梨愛さんと何処かに行ってしまったのよ。
その一部始終をご覧になっていた宗介おじ様が慌ててすっ飛んで来て下さり、それはもう此方が恐縮するくらい謝ってくれたから、その場を収める事にしたのだけど…
私はきっとこの婚約は上手くいかないわねと、その時確信めいたものを感じたわ。
だって彼女が現れたんだもの
一応、のちに婚約者を放って他の女性と消えた事をおじ様からキツく怒られた京平さんは、(何故か一柳院家に私を呼びつけ)嫌々ながらも謝ってくれたのだけれど、婚約者として、私との仲を深めるなどといった行為を一向に行う事も無く、年月だけが経っていったの。
そして今日
私はあの婚約発表の日に確信した事が、やっぱり現実になったという事に、ある意味喜びを感じていたのよ。
幼馴染みとはいえ、一応は婚約した者同士という事で、後日我が七菱家一族と一柳院家のご一族とが集まって、豪華な婚約発表会が行われる事になったのね。
場所は七菱グループが所有するホテルの一番広い大宴会場。
婚約発表会当日は、旧華族の末裔と上場企業の七菱物産の社長令嬢の婚約という事で、会場には両家から招待を受けた親族や姻族、それぞれの会社のグループのTOPとその家族が集まっていただけでなく、何故か大手マスメディアまで集まっていて、父のエスコートで大広間に入った途端カメラのフラッシュ攻撃を浴びた私は驚きのあまり卒倒しそうになったぐらいよ。
なのに京平さんは逆に堂々たる姿で入場したの。そればかりか、カメラに向かって笑顔を見せ、なんなら軽く手まで振っていたわ。
それを見て私は、このマスメディア達を呼んだのが誰なのかピンときたの。
彼等を呼んだのは、一柳院京平 その人だって。
だから彼は全身ハイブランドのスーツで着飾ってきたのだわ。そして何故か彼のお母様苑子夫人もお祖母様の翠子様までも全身ハイブランドのドレスを着、10本の指全てと耳と首に高そうな大ぶりのジュエリーをゴテゴテと身につけてこのホテルに来られたのね。
その後会場の上手に作られた壇に置かれたテーブル席に、一柳院家の面々と七菱家の面々が着席すると、司会者からの今回の婚約に至るまでの経緯を大まかな説明があった後、何故か芸能人の記者会見みたいなのがとりおこなわれる事になったの。緊張から身構えてしまった私だったのだけれど、私への記者からの質問も、全て京平さんが答えてしまったのね。
結果私は、ただその場に無表情 ┄ 本当は笑顔でいないとダメだと思うのだけど、とてもじゃないけどムリだったわね ┄ で座っているだけだったわ。
でもそれからの方が本当に本当に大変だったの
だって一応婚約したわけだから、来場者の皆様にご挨拶をして回らなくてはならないでしょう?なのに京介さんは、婚約者である筈の私をエスコートもせず、逆にメイドの様に従わせる形で私を自分の後ろを歩かせ、自分の母親をエスコートしてるのだから、もう意味が分からないってなったわよね。
そして、挨拶しに来る人が途切れる度に、私や身に付けているオートクチュールドレスを見ては「ドレスが地味だ。」だの「祝いの場に似合わない。」だの「そもそも顔が地味過ぎる。」「何でお前みたいな女と俺が!」などと散々こき下ろしてきたの。
そればかりか、苑子夫人からも「貴女みたいな女が旧華族の仲間入りができるのだから有難く思え」やら「格式高い一柳院にこんな女が入り込むとは頭が痛い」やら「一柳院と繋がりが出来たおかげで七菱に箔がついて有り難いだろう」等と言われ、私は心底疲れきってしまったわ。
そんな所に、最悪な人が挨拶に来たのだからさあ大変!もう帰りたくなってしまった私は絶対に悪くない。寧ろ、弱り目に祟り目とはこの事を云うのねなんて事を頭の片隅で思ってしまうくらい最悪な人…それは従姉妹の三橋珠梨愛さん(当時21歳)だったのだから。
彼女はこれまた京平さんと同じハイブランドのドレスで登場し、彼等の後ろにいた私にでは無く、苑子夫人と京平さんにお祝い ┄ いや、殆どお悔やみの言葉だったわよね、あれは。どうせ、こんな地味で平凡顔の従姉妹と婚約なんてお可哀想とでも言いたい気持ちが言葉の端々に現れていたんだもの┄ の言葉を、満面の笑みで言ってたわ。
それから彼女は、京平さんと苑子夫人の服をベタ褒めし始めたの。
それに気を良くした京平さん達は、私をその場に置き去りにして珠梨愛さんと何処かに行ってしまったのよ。
その一部始終をご覧になっていた宗介おじ様が慌ててすっ飛んで来て下さり、それはもう此方が恐縮するくらい謝ってくれたから、その場を収める事にしたのだけど…
私はきっとこの婚約は上手くいかないわねと、その時確信めいたものを感じたわ。
だって彼女が現れたんだもの
一応、のちに婚約者を放って他の女性と消えた事をおじ様からキツく怒られた京平さんは、(何故か一柳院家に私を呼びつけ)嫌々ながらも謝ってくれたのだけれど、婚約者として、私との仲を深めるなどといった行為を一向に行う事も無く、年月だけが経っていったの。
そして今日
私はあの婚約発表の日に確信した事が、やっぱり現実になったという事に、ある意味喜びを感じていたのよ。
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