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70. 帰ったら帰ったで・・・忙しい

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 「あ。望さんお帰りー。早かったね」


 涼子が何故か騎士達2人に指導を受けながらをしていた・・・



×××



 カイン副神官が帰っていくのを廊下で見送った後――彼は離宮に転移で行き来する――部屋から出たついでだからツノウサギ達をモフりに行こうと、ロビーに降りた涼子。

 ――夕食にはまだ時間があるのでいいよね~


「ウフフ。ウサギちゃ~ん」


 後ろから護衛2人とルルが付いてくる。


「リョーコ様はツノウサギ達が本当に好きですね」

「うん。鼻とかピクピクさせて可愛いでしょ? 子兎とか見てるだけでキュンキュンするくらい可愛いよねえ。触っても毛皮がツルッとして気持ちいいし・・・ここの子たちは大きくて触り甲斐もあって天国!」


 ウサギ愛を語りながら、大きな扉の横にある勝手口のドアノブに手を掛けて外に出たのだが・・・


「あれ、モフモフの山が?」


 玄関からほんのの5メーターくらい先にモフモフの山から茶色い革靴を履いた足がニョッキリ生えていた。



×××



 「て言うわけで、この人が不法侵入者なんだけど。ついでだから縛る方法を騎士さんに教わってたの。こないだ来てたナントカ公爵って言うトコの息子サンでしょ? 身体がまるっこいからそうだと思うよ。今日はピンクじゃなくてブルーの服だけど」

「~~~~!!」


 怒っているようで顔色が変わったみたいだ。痺れて口がきけないので定かでは無い。


「でねぇ、こないだのフレイムスライム、この人が犯人だと思うよ。庭のアチコチに痺れて動けなくなった色んなスライムが転がってたんだ。すごい量でさ、使用人のみんなが箒で集めてる最中なの。どうしてこんな事をしたのかを聞いてみたいけど魔笛がないと駄目らしいから、ルーカスさんが帰って来るの待ってたんだよね」


 無事に縛り終えたらしく手をパンパンと払いながら


「ちゃんと縛れたかな?」


 と、無邪気に護衛騎士に聞いている。


「「大丈夫です。解けません」」


 騎士2人がサムズアップした。


「良かった~! 3回目のチャレンジだったんだよね。合格?」


 騎士達がウンウンと頷いた。


 「「合格です」」


 やった~! と喜んでいる涼子は何を目指して麻縄縛りを覚えようとしているんだろうな~と、望は苦笑いになる。

 但し望の隣に立ちバーナードを睨むルーカスの目つきは極悪そのものだったが。



×××



 「騎士団に連れて行って、父と共に厳しく尋問してくる」


 ルーカスが目つき悪くバーナード・エルドモス公爵子息の首根っこを掴み、大量の痺れたスライムの入った袋と共に転移して行った。

 この場で魔法で痺れた彼の拘束を解くとスライムも魔法が解ける恐れがあるらしく、バーナードは結局一言も口を聞けないままだった。


「まあ、しょうがないかー。あんなに大量のスライムが一気に動き出したら危ないもんね」

「そうね。なんであんな事したのかしら?」

「エルドモス家も今回ばかりは庇えませんわ」


 庭から帰って来たローザ夫人の美しい顔の額には又しても不快を表す縦皺が刻まれていた。


「今回ばかりは言い逃れもできませんでしょう。何しろ証拠もありますし。離宮を襲おうとしたのは一目瞭然です」


 流石の淑女も荒れているようだ。


 今日は怒涛の1日だったな~と思わず遠い目になった望はきっと悪くない。






 お風呂が恋しい1日の終わりであった・・・

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