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7.珍しい態度
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「アルエリアさん、あなたに少し頼みたいことがあるのです」
「エムリーナ様……なんでしょうか?」
ゼルフォン殿下との話し合いから数日後、私はエムリーナ様に声をかけられた。
彼女はにこにこしている。大抵は不機嫌そうな顔をしているので、これはとても珍しいことだ。
その珍しいことに、私は少しだけ警戒することになった。
エムリーナ様がこのような感じであるということが、いいことであるとはとても思えなかったのである。
「結界の整備をお願いできませんか? 実は担当の者が揃って体調不良でして」
「結界ですか? それって確か……」
エムリーナ様の言葉に、私は王都を守る結界の整備を担当していた人達のことを思い出す。
担当は、先日エムリーナ様の陰口を叩いていた二人だ。あの二人が体調不良というのは、どうにも気になる。
まさかエムリーナ様の強烈なパワハラによって、引きこもってしまったのだろうか。
もしもそうだとすると、流石に気の毒だ。同情する気持ちがふつふつと湧いてくる。
エムリーナ様が機嫌がいいのは、それが関係しているのだろうか。
この人ならば、人の不幸を喜びかねない。可能性は高そうだ。
「あの二人が揃って体調不良ですか……仲が良い二人ですし、もしかして風邪が移ったとかでしょうか?」
「ああ、そうかもしれませんね。そんな所まで仲良くしなくてもいいというのに」
「そうですね」
とりあえず私は、適当に話を合わせておく。
こういう時に疑ったりすると、エムリーナ様の神経を逆撫でる。彼女にとって都合がいい解釈をするのが一番だ。
「わかりました。そういうことなら、私が……でも、結界の整備は二人で行うものですよね?」
「ええ、ですから、私が行きます」
「エムリーナ様が自ら、ですか?」
「丁度いい機会ですから、結界を再構成しようと思っているんです。だから、部下の中でも最も優秀な魔法使いであるあなたを誘ったんです」
「そ、そうでしたか。お褒め頂き、ありがとうございます」
今日のエムリーナ様は、なんというか少しおかしかった。
いつもならこんな風に人を褒める人ではない。上機嫌だからといって、こんなことを言うようになるものなのだろうか。
何はともあれ、エムリーナ様の命令に私が逆らえる訳はない。私には従う以外の選択肢など初めからないのである。
とりあえず、結界の再構成が上手くいくように頑張るとしよう。それとエムリーナ様の機嫌を損なわないように、気を付ける必要もあるかもしれない。
「エムリーナ様……なんでしょうか?」
ゼルフォン殿下との話し合いから数日後、私はエムリーナ様に声をかけられた。
彼女はにこにこしている。大抵は不機嫌そうな顔をしているので、これはとても珍しいことだ。
その珍しいことに、私は少しだけ警戒することになった。
エムリーナ様がこのような感じであるということが、いいことであるとはとても思えなかったのである。
「結界の整備をお願いできませんか? 実は担当の者が揃って体調不良でして」
「結界ですか? それって確か……」
エムリーナ様の言葉に、私は王都を守る結界の整備を担当していた人達のことを思い出す。
担当は、先日エムリーナ様の陰口を叩いていた二人だ。あの二人が体調不良というのは、どうにも気になる。
まさかエムリーナ様の強烈なパワハラによって、引きこもってしまったのだろうか。
もしもそうだとすると、流石に気の毒だ。同情する気持ちがふつふつと湧いてくる。
エムリーナ様が機嫌がいいのは、それが関係しているのだろうか。
この人ならば、人の不幸を喜びかねない。可能性は高そうだ。
「あの二人が揃って体調不良ですか……仲が良い二人ですし、もしかして風邪が移ったとかでしょうか?」
「ああ、そうかもしれませんね。そんな所まで仲良くしなくてもいいというのに」
「そうですね」
とりあえず私は、適当に話を合わせておく。
こういう時に疑ったりすると、エムリーナ様の神経を逆撫でる。彼女にとって都合がいい解釈をするのが一番だ。
「わかりました。そういうことなら、私が……でも、結界の整備は二人で行うものですよね?」
「ええ、ですから、私が行きます」
「エムリーナ様が自ら、ですか?」
「丁度いい機会ですから、結界を再構成しようと思っているんです。だから、部下の中でも最も優秀な魔法使いであるあなたを誘ったんです」
「そ、そうでしたか。お褒め頂き、ありがとうございます」
今日のエムリーナ様は、なんというか少しおかしかった。
いつもならこんな風に人を褒める人ではない。上機嫌だからといって、こんなことを言うようになるものなのだろうか。
何はともあれ、エムリーナ様の命令に私が逆らえる訳はない。私には従う以外の選択肢など初めからないのである。
とりあえず、結界の再構成が上手くいくように頑張るとしよう。それとエムリーナ様の機嫌を損なわないように、気を付ける必要もあるかもしれない。
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