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3.突然の訪問
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グラッセン様の計らいで、ホーネリアは王城で一夜を過ごすことになった。
その日の夜は、三人で食事をした。とても和やかな雰囲気であり、本当に妹と遥か昔の関係に戻れたのだと私は思っていた。
不思議なもので、あんなに嫌っていたはずの妹のことが今日はとても愛おしく思えた。
幼い頃の仲が良かった記憶は、私の中に確かに残っていたようだ。逆に言えば、どうしてあんな関係になってしまったのか、今となってはわからないことである。
「……開けろ!」
そんな夜を過ごした後、私は部屋の戸が怒声ととともに叩かれる音によって飛び起きた。
一体、何が起きているのだろうか。この天下の王城に、強盗でも入ったのだろうか。
「偽りの聖女め! 今まで騙しおって!」
「な、何……? ……きゃあっ!」
次の瞬間、私の部屋の戸は斧のようなものによって強引に開け放たれた。
そして、部屋の中に兵士達がずかずかと入って来る。それは正しく、このドルマニア王国の兵に他ならない。
「い、一体、これはどういうことですか?」
「……僕から説明しましょう」
困惑する私は、聞き覚えのある声に少し安心感を覚えた。
だが、その直後に現れた人物の表情を見て、それは無残にも消え去っていく。
「グラッセン様……」
「フェルーナさん、僕は今まであなたのことを信じていました。しかし、あなたは悪魔であった。非常に残念です」
「……どういうことですか?」
グラッセン様の言葉に、私はさらに困惑することになった。
私が悪魔、彼は何を言っているのだろうか。言葉のニュアンスからして、それは恐らく私がグラッセン様を騙していたと言いたいのだろうが、私にそんな覚えはない。
「この期に及んで、まだご自分の罪を認めないつもりですか?」
「何を言っているのか、私にはわかりません」
「仕方ありませんね……ホーネリアさん、入ってきてください」
グラッセン様の呼びかけに、奥の方からホーネリアが現れた。
彼女の表情も、昨日までとはまったく違う。それは、私にいつも向けている敵意に満ちた表情だ。
「お姉様、いい気味ですね」
「ホーネリア、どうしてしまったの? 昨日までのあなたとはまるで大違いじゃない」
「あれは演技ですよ。あなたに、私が屈伏していると信じ込ませるための嘘です」
「な、何を……」
ホーネリアの豹変に驚いたのは、昨日も同じである。この短期間で、二回もそんな体験をするなんて、本当に思ってもいなかった。
息が苦しくなってくる。一体、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。未だに、状況が呑み込めない。
「状況をわかりやすくしましょうか。フェルーナさん、あなたの魔力をお見せください」
「魔力……」
「あなたの容疑を晴らすには、それが一番です」
「……わかりました」
よくわからないが、私はグラッセン様の指示に従うことにした。
それで容疑が晴れるというなら、こちらとしても望む所だ。
そう思いながら、私は魔力を漲らせようとする。だが、私の体から魔力は出て来ない。
そこで私は気付いた。自らの体から魔力がなくなっているということに。
「やはり、魔力がなくなっているようですね……あなたの使った悪魔の力も、これで途切れたということだ」
「悪魔の力……?」
「さて、彼女を捕えて牢屋に入れるのだ。決して、出してはならない。わかっているな?」
そのまま、私は兵士達に囚われることになった。
訳がわからないまま、私は牢屋に入れられるのだった。
その日の夜は、三人で食事をした。とても和やかな雰囲気であり、本当に妹と遥か昔の関係に戻れたのだと私は思っていた。
不思議なもので、あんなに嫌っていたはずの妹のことが今日はとても愛おしく思えた。
幼い頃の仲が良かった記憶は、私の中に確かに残っていたようだ。逆に言えば、どうしてあんな関係になってしまったのか、今となってはわからないことである。
「……開けろ!」
そんな夜を過ごした後、私は部屋の戸が怒声ととともに叩かれる音によって飛び起きた。
一体、何が起きているのだろうか。この天下の王城に、強盗でも入ったのだろうか。
「偽りの聖女め! 今まで騙しおって!」
「な、何……? ……きゃあっ!」
次の瞬間、私の部屋の戸は斧のようなものによって強引に開け放たれた。
そして、部屋の中に兵士達がずかずかと入って来る。それは正しく、このドルマニア王国の兵に他ならない。
「い、一体、これはどういうことですか?」
「……僕から説明しましょう」
困惑する私は、聞き覚えのある声に少し安心感を覚えた。
だが、その直後に現れた人物の表情を見て、それは無残にも消え去っていく。
「グラッセン様……」
「フェルーナさん、僕は今まであなたのことを信じていました。しかし、あなたは悪魔であった。非常に残念です」
「……どういうことですか?」
グラッセン様の言葉に、私はさらに困惑することになった。
私が悪魔、彼は何を言っているのだろうか。言葉のニュアンスからして、それは恐らく私がグラッセン様を騙していたと言いたいのだろうが、私にそんな覚えはない。
「この期に及んで、まだご自分の罪を認めないつもりですか?」
「何を言っているのか、私にはわかりません」
「仕方ありませんね……ホーネリアさん、入ってきてください」
グラッセン様の呼びかけに、奥の方からホーネリアが現れた。
彼女の表情も、昨日までとはまったく違う。それは、私にいつも向けている敵意に満ちた表情だ。
「お姉様、いい気味ですね」
「ホーネリア、どうしてしまったの? 昨日までのあなたとはまるで大違いじゃない」
「あれは演技ですよ。あなたに、私が屈伏していると信じ込ませるための嘘です」
「な、何を……」
ホーネリアの豹変に驚いたのは、昨日も同じである。この短期間で、二回もそんな体験をするなんて、本当に思ってもいなかった。
息が苦しくなってくる。一体、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。未だに、状況が呑み込めない。
「状況をわかりやすくしましょうか。フェルーナさん、あなたの魔力をお見せください」
「魔力……」
「あなたの容疑を晴らすには、それが一番です」
「……わかりました」
よくわからないが、私はグラッセン様の指示に従うことにした。
それで容疑が晴れるというなら、こちらとしても望む所だ。
そう思いながら、私は魔力を漲らせようとする。だが、私の体から魔力は出て来ない。
そこで私は気付いた。自らの体から魔力がなくなっているということに。
「やはり、魔力がなくなっているようですね……あなたの使った悪魔の力も、これで途切れたということだ」
「悪魔の力……?」
「さて、彼女を捕えて牢屋に入れるのだ。決して、出してはならない。わかっているな?」
そのまま、私は兵士達に囚われることになった。
訳がわからないまま、私は牢屋に入れられるのだった。
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