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15.確実な証拠

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「さて、とりあえず、闇の魔法についての説明はそのようなものです。次は、あなたの話をしましょうか」
「あ、はい」

 そこで、エルムルナ様はそのように切り出してきた。
 すっかり忘れていたが、よく考えてみれば、私は彼女の補佐をするという役目を言い渡されている。そちらの方面の話も、しっかりとしておかなければならないだろう。

「あなたの体には、闇の魔力がまとわりついています。それは、あなたが闇の魔法を受けたからでしょう」
「そ、そうなんですか? 私には、わからないのですが……」
「闇の魔力を感知する方法を、後であなたにもお教えしましょう。まあ、そのことは置いておいて、私が言いたいのはあなたが無実の罪で追放されたということを、私は理解しているということです。あなたの証言と状態に、ずれはありませんからね」
「なるほど……そういうことになるのですね」

 エルムルナ様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 私にはわからないことではあるが、彼女は私が無罪であるという確証を持っているのだ。それは恐らく、どちらの国でも数少ない存在であるだろう。もしかしたら、彼女くらいしかいないかもしれない。
 とりあえず、私は安心する。彼女に信頼してもらえているなら、それはとても嬉しいことだ。

「故に、私はあなたのことを信頼しています。かつて会った素晴らしい聖女が、補佐になってくれるというのは、とても心強いことです」
「そう思っていただけているのは、とても嬉しいです」
「あなたには、大きな才能があります。ドルマニア王国は、大きな失敗をしたといえるでしょう。あなたを追放するなんて……おっと」

 笑顔で私を褒めてくれていたエルムルナ様は、一瞬でその表情を変えた。
 彼女の表情は、険しい。一体、どうしたのだろうか。
 私への評価が間違っていたからといって、こんな表情になるとは思えない。恐らく、彼女は何かしら重要なことに気づいたのだろう。

「エルムルナ様、どうかされたのですか?」
「私としたことが、重要なことを見落としていました。フェルーナさん、確かドルマニア王国は大樹に魔力を注ぐことによって、大地を繁栄させていたはずですね?」
「ええ、そうですよ」
「そして、今はあなたの妹のホーネリアが聖女になっている。つまり、大樹に魔力を注ぐ役目は、彼女が担っているということになるはずです」
「そうなりますね……」
「彼女の魔力は、闇に染まっているはずです。その魔力が大樹を伝って、国中に広がるということは……」

 エルムルナ様の言葉に、私はかなり驚いていた。
 闇の魔力は、明らかにいいものではない。それが国中に広がる。その結果、いいことは絶対に起こらないだろう。
 ということは、ドルマニア王国は既に窮地に立たされているということになる。ホーネリアが大樹に魔力を注ぐだけで、大変なことになる可能性があるのだ。
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