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23.二人での夕食
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「なるほど、エルムルナ殿はそう考えていらっしゃるのか……」
「ええ、そうみたいです」
私は、アグナヴァン様と夕食を取っていた。
彼と婚約してから、基本的にはそうするようにしている。
お互いに何があったのかを報告しながら、夕食を取るのはそれなりに楽しいものだ。
私が今話しているのは、エルムルナ様に言われたことである。
次期聖女として期待されているという事実に、アグナヴァン様は少し考えるような仕草を見せる。
それはきっとアグナヴァン様にとっても、重要なことであるはずだ。私が聖女になれば、色々な反感をはねのけられる可能性もある。それは批判を受ける対象となる彼にとっては、有益なことだろう。
「実の所、俺もそのことについては考えていた」
「そうなんですか?」
「ああ、正直な所、あなたとの婚約を成立させるにおいて、それは必要なことだろうと思っていたのだ。それに、そもそもの話ではあるが、スウェンド王国は聖女になるべき人材が欠けている。それを埋められるのは、あなたしかないとも思っていた」
アグナヴァン様の言葉に、私は少し驚いた。
どうやら、彼もエルムルナ様と同じようなことを思っていたようだ。
考えてみれば、スウェンド王国はそういった人材に関しては人材不足なのだから、現聖女と王子の思考が一致するのも当然のことなのかもしれない。
「頃合いを見て相談しようと思っていたのだが、エルムルナ殿が先に言ってしまったか……まあ、無理もないことか。彼女は、随分と長い間聖女をされている……」
「そうですよね……」
エルムルナ様は、二度も聖女をすることになった。そんな彼女にとって、後継者というのはとてもありがたい存在なのかもしれない。
私としても、できれば彼女を休ませてあげたいと思っている。聖女の仕事は、激務だ。体力的にも、エルムルナ様は限界も近いだろう。
「それで、フェルーナ殿はその話を受けるつもりなのか?」
「……はい。そのつもりです」
「そうか。それはよかった。俺も、安心できる」
私の言葉に、アグナヴァン様は笑顔を見せてくれた。
彼は、次期国王とされている。そんな彼にとっても、聖女の問題というものは非常に頭を悩ませていたものなのだろう。その安堵の表情からは、それが伝わってくる。
「でも、聖女に就任するにしても、私の無実が証明されなければ、話にならないかもしれませんね……」
「ああ、それはその通りだ。もっとも、それは近い内に証明されるだろう。ドルマニア王国は、今大変なようだからな」
「そうですね……」
私は、アグナヴァン様の言葉に頷いた。
ドルマニア王国は、現在大変なことになっている。少し悲しいことではあるが、それによって私の無実は証明されるのだ。
「ええ、そうみたいです」
私は、アグナヴァン様と夕食を取っていた。
彼と婚約してから、基本的にはそうするようにしている。
お互いに何があったのかを報告しながら、夕食を取るのはそれなりに楽しいものだ。
私が今話しているのは、エルムルナ様に言われたことである。
次期聖女として期待されているという事実に、アグナヴァン様は少し考えるような仕草を見せる。
それはきっとアグナヴァン様にとっても、重要なことであるはずだ。私が聖女になれば、色々な反感をはねのけられる可能性もある。それは批判を受ける対象となる彼にとっては、有益なことだろう。
「実の所、俺もそのことについては考えていた」
「そうなんですか?」
「ああ、正直な所、あなたとの婚約を成立させるにおいて、それは必要なことだろうと思っていたのだ。それに、そもそもの話ではあるが、スウェンド王国は聖女になるべき人材が欠けている。それを埋められるのは、あなたしかないとも思っていた」
アグナヴァン様の言葉に、私は少し驚いた。
どうやら、彼もエルムルナ様と同じようなことを思っていたようだ。
考えてみれば、スウェンド王国はそういった人材に関しては人材不足なのだから、現聖女と王子の思考が一致するのも当然のことなのかもしれない。
「頃合いを見て相談しようと思っていたのだが、エルムルナ殿が先に言ってしまったか……まあ、無理もないことか。彼女は、随分と長い間聖女をされている……」
「そうですよね……」
エルムルナ様は、二度も聖女をすることになった。そんな彼女にとって、後継者というのはとてもありがたい存在なのかもしれない。
私としても、できれば彼女を休ませてあげたいと思っている。聖女の仕事は、激務だ。体力的にも、エルムルナ様は限界も近いだろう。
「それで、フェルーナ殿はその話を受けるつもりなのか?」
「……はい。そのつもりです」
「そうか。それはよかった。俺も、安心できる」
私の言葉に、アグナヴァン様は笑顔を見せてくれた。
彼は、次期国王とされている。そんな彼にとっても、聖女の問題というものは非常に頭を悩ませていたものなのだろう。その安堵の表情からは、それが伝わってくる。
「でも、聖女に就任するにしても、私の無実が証明されなければ、話にならないかもしれませんね……」
「ああ、それはその通りだ。もっとも、それは近い内に証明されるだろう。ドルマニア王国は、今大変なようだからな」
「そうですね……」
私は、アグナヴァン様の言葉に頷いた。
ドルマニア王国は、現在大変なことになっている。少し悲しいことではあるが、それによって私の無実は証明されるのだ。
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