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一章 出会いとクリスタル
23話 触手
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「さぁ覚悟しなさい!!」
空を制し上を取ったミーアはそこから一方的に風の刃や弾丸を飛ばす。俺も自分の身を守りながら炎で奴の退路を塞ぎ躱し辛くする。
流石に躱しきれずに攻撃の何発かはくらうが、奴も魔族だ。その硬い皮膚によってダメージは最小限に抑えられている。
「ちっ……」
奴が小さく舌打ちをし、目を鋭くして一気に力を解放して圧を増させる。
「ミーア気をつけろ!! 何かしてくるぞ!!」
危険を察知して即座にそれをミーアに伝える。彼女もしっかり警戒して何が来てもよいようにする。
次の一瞬で俺の体が後方に大きく吹き飛ばされる。何が起こったのか分からなかったが、辛うじて見えたのが奴から半透明の何かが大量に伸びてきたことだけだ。
「あれは……触手……?」
後方にて足を地面に突き刺して留まり、そうして見たのはガラスアの背中から大量に生え出る半透明の触手だ。
今までのことを考えるにガラスアは水のクリスタル担当なのだろう。そうするとあれは魔力が籠った水で創り出した触手なのだろう。
「どおりで……この威力ってわけか……ゴホッ」
俺は口から少し血を吐き地面を赤く染める。不意を突かれた一撃だったので反応できなかった。その分ダメージは大きい。
「叩き落としてやるよ!!」
奴は体を触手二本で支え、残りの六本の触手でミーアに襲いかかる。
ミーアは空中で身を捩り、更に翼を動かし旋回することで躱していくが段々バランスを崩し始めている上に反撃をする余裕もない。
俺は日本刀にノーマルクリスタルを六つ嵌めて奴の方に駆け出す。
「せいやぁっ!!」
横一文字に斬り裂こうとしたが、それに対して奴は足を突き出してくる。
それは自殺行為だ。いくら魔族の身体能力があるとはいえ、刃物に対して蹴りで対抗できるわけがない。
「何か……やばい!!」
そうなのだ。おかしいからこそ何かがやばいのだ。
直感的に危険を感じ取り俺はその場で急ブレーキを踏む。だが一歩間に合わずその蹴りは俺の刀に命中する。
その際奴が履いている靴がよく見えた。窪みがある靴だ。窪みには透明な宝石、つまりノーマルクリスタルが嵌っている。
「うぉぉぉぉ!!」
俺は叫び声を上げ全身に力を入れて衝撃に備える。
刀を持っている腕に車に撥ねられたかのような衝撃が襲い、俺はまた後方に吹き飛ばされ今度は受け身も取れずに地面に転がされてしまう。
「ぐっ……腕が……」
先程の衝撃で腕が痺れてしまい上手く動かせない。少しの間だが刀を握り更にそれで攻撃するなんてできないだろう。
「次はお前だ!!」
触手が一気に加速してミーアに襲いかかる。ミーアがそれの対処に追われる中、ガラスアの周りに数滴の水滴が現れる。
「バンッ!」
水滴から突然レーザーが飛び出す。いやレーザーではない。あれは水圧によって押し出されたのだ。
それらのうち三発がミーアに命中してしまう。両足と右肩にレーザーが突き刺さり貫通してしまっている。
「ぐっ……」
ミーアは体勢を崩し浮遊ができなくなり地面に真っ逆さまになって落ちていく。
「ミーアァァァァァ!!」
俺は痺れる腕を無視して落下予想地点に向かって走り出す。腕はまだ痺れるが痛みを無視すれば上げて受け止めるくらいはできる。
重い衝撃が再び腕を襲い、俺は耐えきれずその場に倒れてしまう。
だが俺がクッションとなったおかげでミーアに傷はほとんどない。
しかし俺自身には腕含めかなりダメージをくらってしまう。ポーションを使わない限りもう戦うことはできないだろう。ミーアもそれは同様で四肢のうち三つに支障が出てしまっている。
「勝負ついたね。さぁ死のうか……!!」
「ま、待てっ!! 本当に俺を殺してもいいのか!?」
ピタリと振り上げた手が止まる。氷の冷気が顔に当たり俺の額の汗を冷やし不快感を与える。
「どういうことだい? 命乞いなら聞くつもりはないけど」
ガラスアは俺達に対して冷徹な殺意を向ける。そこに話し合いの余地などなく、今奴が手を止めてくれているのも奇跡と言えるだろう。
「俺はクリスタル集めの参加者じゃない!!」
ここで俺は賭けに出る。
俺とミーアの命を賭けた大博打を打とうとする。俺は不敵に笑みを浮かべ、たった今組み上げた虚言を奴に向かって話し始める。
空を制し上を取ったミーアはそこから一方的に風の刃や弾丸を飛ばす。俺も自分の身を守りながら炎で奴の退路を塞ぎ躱し辛くする。
流石に躱しきれずに攻撃の何発かはくらうが、奴も魔族だ。その硬い皮膚によってダメージは最小限に抑えられている。
「ちっ……」
奴が小さく舌打ちをし、目を鋭くして一気に力を解放して圧を増させる。
「ミーア気をつけろ!! 何かしてくるぞ!!」
危険を察知して即座にそれをミーアに伝える。彼女もしっかり警戒して何が来てもよいようにする。
次の一瞬で俺の体が後方に大きく吹き飛ばされる。何が起こったのか分からなかったが、辛うじて見えたのが奴から半透明の何かが大量に伸びてきたことだけだ。
「あれは……触手……?」
後方にて足を地面に突き刺して留まり、そうして見たのはガラスアの背中から大量に生え出る半透明の触手だ。
今までのことを考えるにガラスアは水のクリスタル担当なのだろう。そうするとあれは魔力が籠った水で創り出した触手なのだろう。
「どおりで……この威力ってわけか……ゴホッ」
俺は口から少し血を吐き地面を赤く染める。不意を突かれた一撃だったので反応できなかった。その分ダメージは大きい。
「叩き落としてやるよ!!」
奴は体を触手二本で支え、残りの六本の触手でミーアに襲いかかる。
ミーアは空中で身を捩り、更に翼を動かし旋回することで躱していくが段々バランスを崩し始めている上に反撃をする余裕もない。
俺は日本刀にノーマルクリスタルを六つ嵌めて奴の方に駆け出す。
「せいやぁっ!!」
横一文字に斬り裂こうとしたが、それに対して奴は足を突き出してくる。
それは自殺行為だ。いくら魔族の身体能力があるとはいえ、刃物に対して蹴りで対抗できるわけがない。
「何か……やばい!!」
そうなのだ。おかしいからこそ何かがやばいのだ。
直感的に危険を感じ取り俺はその場で急ブレーキを踏む。だが一歩間に合わずその蹴りは俺の刀に命中する。
その際奴が履いている靴がよく見えた。窪みがある靴だ。窪みには透明な宝石、つまりノーマルクリスタルが嵌っている。
「うぉぉぉぉ!!」
俺は叫び声を上げ全身に力を入れて衝撃に備える。
刀を持っている腕に車に撥ねられたかのような衝撃が襲い、俺はまた後方に吹き飛ばされ今度は受け身も取れずに地面に転がされてしまう。
「ぐっ……腕が……」
先程の衝撃で腕が痺れてしまい上手く動かせない。少しの間だが刀を握り更にそれで攻撃するなんてできないだろう。
「次はお前だ!!」
触手が一気に加速してミーアに襲いかかる。ミーアがそれの対処に追われる中、ガラスアの周りに数滴の水滴が現れる。
「バンッ!」
水滴から突然レーザーが飛び出す。いやレーザーではない。あれは水圧によって押し出されたのだ。
それらのうち三発がミーアに命中してしまう。両足と右肩にレーザーが突き刺さり貫通してしまっている。
「ぐっ……」
ミーアは体勢を崩し浮遊ができなくなり地面に真っ逆さまになって落ちていく。
「ミーアァァァァァ!!」
俺は痺れる腕を無視して落下予想地点に向かって走り出す。腕はまだ痺れるが痛みを無視すれば上げて受け止めるくらいはできる。
重い衝撃が再び腕を襲い、俺は耐えきれずその場に倒れてしまう。
だが俺がクッションとなったおかげでミーアに傷はほとんどない。
しかし俺自身には腕含めかなりダメージをくらってしまう。ポーションを使わない限りもう戦うことはできないだろう。ミーアもそれは同様で四肢のうち三つに支障が出てしまっている。
「勝負ついたね。さぁ死のうか……!!」
「ま、待てっ!! 本当に俺を殺してもいいのか!?」
ピタリと振り上げた手が止まる。氷の冷気が顔に当たり俺の額の汗を冷やし不快感を与える。
「どういうことだい? 命乞いなら聞くつもりはないけど」
ガラスアは俺達に対して冷徹な殺意を向ける。そこに話し合いの余地などなく、今奴が手を止めてくれているのも奇跡と言えるだろう。
「俺はクリスタル集めの参加者じゃない!!」
ここで俺は賭けに出る。
俺とミーアの命を賭けた大博打を打とうとする。俺は不敵に笑みを浮かべ、たった今組み上げた虚言を奴に向かって話し始める。
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