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君に怒られるのは三回目

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「辺境伯を失念していた。だからこれまで時間がかかってしまったんだ」


ウィルフレッドはこの半年躍起になって探していた事を信じて貰いたくて、自分の犯したミスを正直に話した。


「話にならないわ。辺境を何だと思っているの?それでもあなた騎士団長なの?」


「・・・すまない」

「辺境はね、国の攻防の要なの。辺境の騎士達は、毎日緊張の中、常に戦いを強いられているわ、王族や要人を護衛するだけが騎士の仕事じゃないの。辺境の騎士達はね、明日の命さえ危ぶまれる事だってあるわ。そんな事も王都では気にも留めていないのでしょうね。だから辺境が頭に浮かんでこなかった。あなたの言っている事はそういう事よ」


レティシアに責められて、ウィルフレッドは、なんという失言をしてしまったんだろうと後悔した。


「本当にすまない!」

ウィルフレッドは深く頭を下げる。


「謝るべきは私にではないわ。毎日命をかけて戦ってくれているのは彼等騎士達だもの。私はただ、騎士の皆さんが過ごしやすいように、そして、街の皆さんが安定した暮らしを続けていけるように尽力をするだけ」

「・・・俺は・・・今まで何を見てきたんだろうな・・・恥ずかしいよ。君の言う事は正しい。そして俺はあまりにも考えがなさすぎた。こんな俺が騎士団長だなんて笑わせるなって思うよな・・・」

「別に笑いはしないわ。だって、その地位はあなたが努力した証。これまでの事を認められた証なんですもの。別に恥じる事も卑下する事もないわ」


ウィルフレッドはレティシアの言葉に、自分を認めて貰えたような気がして、心が温かくなるのを感じた。


「でも、騎士は王都の中心にしかいないわけではない。もっと広い視野を持つべきね。あなた、辺境の騎士に勝てる?きっと無理だと思うわ」

「俺は剣には自信がある。実力で騎士団長まで上り詰めたんだ」

「じゃあ、一度手合わせしてみるといいわ。彼等が命を懸けて戦っている事がきっとわかるわ」


ウィルフレッドはレティシアの言葉に頷いた。


「・・・仕方ないわね・・・王子殿下に挨拶ぐらいはしますわ」



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次回

【ウィルフレッドside】

俺は騎士団長失格だな・・・
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