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ウィルフレッドの手紙6
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夜会の警備で令嬢をエスコートする他の男を見るたびに、俺もあんな風に君の手をとってダンスが踊れたら。君の体を抱き寄せ、俺の女だと見せびらかせたらなんて思ってしまうんだ。
・・・仕事に身が入っていないとまた君から怒られてしまうかもな。また君から怒られたい。別に怒られるのが嬉しいとかではないんだが、君から怒られている時は、君を独り占めできているだろう?もちろんそれが愛の言葉なら尚更嬉しいが、俺が知っている君は、怒っている姿だけだ。俺に向けられた感情はそれだけ。それでも俺は嬉しいんだ。少しでも君に気を向けて貰えた事が嬉しい。それが怒りの感情であってもな。無よりかは全然いい。俺はおかしいだろうか?
I like you just the way you are.
(そのままの君が好き)
ウィルフレッド・アバンス
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【ウィルフレッドside 】
社交シーズンに入って、夜会の警備の件数が増えた。騎士団長をしているから、独身の俺でも夜会の出席を断る事ができる。しかし、レティシア嬢が婚約者ならば、俺は彼女を周りに自慢してまわるだろうな。身体を抱き寄せて、一時も離さず、俺の女だと誇示して。そんな事ばかり考えていたら、また君に怒られそうだ。いや、なんなら怒られたい。怒りではあったが、君から向けられた唯一の感情だ。悲しいが、嬉しくもある。それは愛の言葉ではないが、その瞬間だけは君は俺を見ていた。俺だけを見ていた。その瞳に熱がこもるのを切に願ってしまう。
【レティシアside】
アバンス団長様って、意外と独占欲が強い人なのかもしれないわね、私から怒られたいなんて・・・意味がわからないわ。普通は好意を向けられたいものじゃないの?変わった人。
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次回
俺だけを見つめて欲しいなんて、わがままだろうか?
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