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happy ending after short story
オマケss 【5】リリーノヤボウ①
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「男性給仕やりたいのッ!!」
と。リリーは言ったのだが・・・
実はこれには裏がある。
ご存知のようにリリーは学生時代、周りの目を意識しすぎでいつも自分の事で精一杯。学園内では緊張と嫌な思いの連続で毎日ヘトヘトだった。
学園の帰りにアルフィーのお店に寄り道をして唯一愚痴を聞いてもらえるというのが心の支えのようになっていた為、彼自体に余り注目していなかったのである。
――まあ、元々大雑把な性格なのであるあるだ。
隠れ家的な店の常連客は男性が多く女性客は稀。本当に少なかったのだ。まあ、それは甘味より珈琲に力を入れていたからでもあるのだが。
あの卒業パーティーの日の後すぐアルフィーと恋人同士となり、婚約も果たして幸せの絶頂だったリリーだが王都の新店舗が開店した後で気が付いた。
アルフィーは女性にモテる――
リリーにとっては青天の霹靂だった・・・
×××
プレオープン初日、リリーは彼の招待を受けて家族と共に王都の貴族街にある真新しい店にやって来た。
リリーが最初考えた通り、窓の外側の洒落た面格子には赤とグリーンの鮮やかなゼラニウムが飾られ、ステンドグラスのはまった可愛い木のドアの上はブルーの色ガラスで出来た四角いランタンと一緒に白いゼラニウムが垂れ下がっていた。
南部のリゾート地をイメージすると素敵だとリリーが以前言った通りにアルフィーは店の外観を仕上げていて、何だかそれがとても嬉しくなった。
何もなかった店内には白い丸テーブルと白いラタンの椅子の席が幾つも構えられていた。
縦長の窓には真新しいレースのカフェカーテン。天井から下がっているのは薔薇を形どった様な曲線の意匠が素敵な白いランプシェード。
エスコート席は以前アルフィーと一緒に行った店で見たようなエスニックな硝子ランプが仄かな明かりを灯して揺らめいている。
以前服飾店だった為試着用の個室が幾つかあり、そちらはそのままの作りを活かして予約専用の個室に作り変えたと説明を受けそこに案内されて行く。
「凄い、広くてゆったりしてるね」
説明を受けながら、個室に向かう公爵家一行に笑顔で対応するアルフィーの姿はお馴染みの女装ではなく、スマートな男性給仕姿だ。
プレオープンの日は招待客のみなので失礼のないように挨拶するためらしいのだが何故か・・・
「オーナーさん、此方にいらっしゃって下さいませ・・・」
「まぁ、素敵な方ですわね・・・」
という女性の声がアチコチから聞こえて来るのである。
いや、アルフィーの事だけでは無いとは思うのだが、他にも男性給仕はいるし・・・ とリリーは考えていたのだが、どうやら決して勘違いではなく、若い女性達は間違いなく歩いていく彼に注目している。
中には顔を赤らめてじっと見つめている若い女性もいて、正直リリーの胸はチクチクした・・・
何とかその日は何も無かったように振る舞いやり過ごしたが、その後一緒にデートを重ねる度に正直女性達の視線が気になった。
以前婚約者だったルパートや兄であるアレクシスはまるで物語の中に出てくる王子様の様な際立った美貌の持ち主だが、アルフィーはもっと中性的で優しげな風貌をしていて何というか親しみ易い美形なのだ。
それは昔から変わらない事なのでリリーは当たり前になり過ぎていて大人になった彼が、周りと比べれば頭一つ抜けた美男子に成長していたという事を完全に見落としていたのである・・・
つまり婚姻後の夫の虫除けに自ら立候補し、牽制する妻・・・・
これがリリーの
『男性給仕になってアルフィーから絶対に離れない』
作戦だ。
まあ、ぶっちゃけ実態のない相手に対する無駄なヤキモチである。
と。リリーは言ったのだが・・・
実はこれには裏がある。
ご存知のようにリリーは学生時代、周りの目を意識しすぎでいつも自分の事で精一杯。学園内では緊張と嫌な思いの連続で毎日ヘトヘトだった。
学園の帰りにアルフィーのお店に寄り道をして唯一愚痴を聞いてもらえるというのが心の支えのようになっていた為、彼自体に余り注目していなかったのである。
――まあ、元々大雑把な性格なのであるあるだ。
隠れ家的な店の常連客は男性が多く女性客は稀。本当に少なかったのだ。まあ、それは甘味より珈琲に力を入れていたからでもあるのだが。
あの卒業パーティーの日の後すぐアルフィーと恋人同士となり、婚約も果たして幸せの絶頂だったリリーだが王都の新店舗が開店した後で気が付いた。
アルフィーは女性にモテる――
リリーにとっては青天の霹靂だった・・・
×××
プレオープン初日、リリーは彼の招待を受けて家族と共に王都の貴族街にある真新しい店にやって来た。
リリーが最初考えた通り、窓の外側の洒落た面格子には赤とグリーンの鮮やかなゼラニウムが飾られ、ステンドグラスのはまった可愛い木のドアの上はブルーの色ガラスで出来た四角いランタンと一緒に白いゼラニウムが垂れ下がっていた。
南部のリゾート地をイメージすると素敵だとリリーが以前言った通りにアルフィーは店の外観を仕上げていて、何だかそれがとても嬉しくなった。
何もなかった店内には白い丸テーブルと白いラタンの椅子の席が幾つも構えられていた。
縦長の窓には真新しいレースのカフェカーテン。天井から下がっているのは薔薇を形どった様な曲線の意匠が素敵な白いランプシェード。
エスコート席は以前アルフィーと一緒に行った店で見たようなエスニックな硝子ランプが仄かな明かりを灯して揺らめいている。
以前服飾店だった為試着用の個室が幾つかあり、そちらはそのままの作りを活かして予約専用の個室に作り変えたと説明を受けそこに案内されて行く。
「凄い、広くてゆったりしてるね」
説明を受けながら、個室に向かう公爵家一行に笑顔で対応するアルフィーの姿はお馴染みの女装ではなく、スマートな男性給仕姿だ。
プレオープンの日は招待客のみなので失礼のないように挨拶するためらしいのだが何故か・・・
「オーナーさん、此方にいらっしゃって下さいませ・・・」
「まぁ、素敵な方ですわね・・・」
という女性の声がアチコチから聞こえて来るのである。
いや、アルフィーの事だけでは無いとは思うのだが、他にも男性給仕はいるし・・・ とリリーは考えていたのだが、どうやら決して勘違いではなく、若い女性達は間違いなく歩いていく彼に注目している。
中には顔を赤らめてじっと見つめている若い女性もいて、正直リリーの胸はチクチクした・・・
何とかその日は何も無かったように振る舞いやり過ごしたが、その後一緒にデートを重ねる度に正直女性達の視線が気になった。
以前婚約者だったルパートや兄であるアレクシスはまるで物語の中に出てくる王子様の様な際立った美貌の持ち主だが、アルフィーはもっと中性的で優しげな風貌をしていて何というか親しみ易い美形なのだ。
それは昔から変わらない事なのでリリーは当たり前になり過ぎていて大人になった彼が、周りと比べれば頭一つ抜けた美男子に成長していたという事を完全に見落としていたのである・・・
つまり婚姻後の夫の虫除けに自ら立候補し、牽制する妻・・・・
これがリリーの
『男性給仕になってアルフィーから絶対に離れない』
作戦だ。
まあ、ぶっちゃけ実態のない相手に対する無駄なヤキモチである。
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