檻の中の祈り

 アルカディア王国。中世の薫り漂う貴族社会において、子を宿せる希少な体質「祝福持ち」として生まれたリュシアン・ヴァレリオスは生まれながらに人を惹きつける存在だった。白銀に近い金髪、光を透かす水色の瞳、触れれば壊れそうな中性的な美貌——しかし本人はそれをまるで知らず、穏やかに、誰にでも等しく笑いかけながら育った。
 幼馴染のエドワルド・グレイフォードとカイウス・アルヴェリウス、五歳年上のふたりの兄のような存在に囲まれて、リュシアンの少年時代は温かかった。やがてエドワルドへの恋を自覚したリュシアンは十五歳で彼と結婚し、息子アレクシスを授かり、笑い声の絶えない日々を送る。それが、本物の幸福だった。
 しかしもうひとりの幼馴染、カイウスもまた——幼い頃からリュシアンを愛していた。
 そしてアレクシスが五歳になる頃、ついに動き出す。戦争を利用してエドワルドを戦場へ送り込み、孤立させ、死なせた。さらに「敵との内通」という偽りの汚名でグレイフォード家を没落させ、行き場を失ったリュシアンの前に「救済」として現れる。
「子供のために、私と結婚しよう」
 息子を守るために、リュシアンは再婚を決めた。カイウスは紳士的に振る舞い、距離を保った。しかし、夜ごとリュシアンは眠らされ、知らぬ間に体を奪われていた。
 真実を暴いたのは、六歳の息子アレクシスだった。
 すべてを知ったリュシアンが離婚を求めると、カイウスは仮面を捨てた。息子を盾に脅し、リュシアンを受け入れさせ、やがて屋敷の一室に閉じ込めた。子供たちとも引き離し、自分だけがリュシアンのすべてになろうとした。

これは「救いの顔をした支配」と、「奪われ続けた末に選ぶ」ひとりの男の物語である。

※画像は全てAIに生成してもらいました。
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