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第45話 勇者たち…塔子
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「あんた達、本当に馬鹿ですわね?! 世の中そんなに甘くありませんわ」
俺たち…三人は塔子に殴られ土下座させられていた。
時は少し遡る…
◆◆◆
「あんた、大河殿ですね」
「お前ら、何だよ!」
誰だ此奴ら…手が使えない俺をどうする気だ。
糞、剣も抜けない…
「私たちの事はどうでも良い! だが勇者パーティのメンバーが勝手に逃げ出す事は許せません…同行頂こうか?」
不味い…よく考えれば解る事だ…
俺たちは勇者パーティ…監視位ついていて当たり前だ。
「待ってくれ! 俺を何処に連れて行こうっていうんだ…」
「来れば解ります」
今の俺には10人もの騎士をどうにかする術はない。
「解った」
ついて行くそれ以外に選択は無い…
無理やり馬車に載せられていった先には…塔子が居た。
しかも、その前には大樹と聖人が土下座状態で座らせられている。
「大樹…聖人、お前らいったい」
「連れてこられましたわね…お馬鹿さんがまた1人」
大樹も聖人も塔子の前で土下座している…なんだこれ?
締まらねー…なんだこれ。
◆◆◆
「大河…あんたも馬鹿ですわね! とりあえず、そこに並んで土下座すると良いですわ!」
「なぁ、俺は良い…だが聖人は足を怪我しているいんだ、なぁ許してくれよ」
「ハァ~何を言っていますの? 人の意見を聞かずに馬鹿やって死に掛けましたのよ? 痛い位なんですの? 死ぬ事に比べたら大した事ありませんわよね!」
「塔子…お前にそんな事いう資格はあるのかよ! 俺たちが入院している間に見舞いにも来ないで…ふざけんなよ!」
ハァ~付き合いが長いですが…本当に馬鹿ですわね。
負け犬が傷を舐めあって何か良い事があるのでしょうか?
本当に私の周りは馬鹿ばかりですわ。
何かが起きたら、そこからどうするか考えて事態の収拾。
これが基本なのですわよ。
「見舞いなんて馬鹿がする事ですわ、それより次はどうするか?それを考える事が必要なのですわ…それで大河は本当に一人で生きれるのです?」
「糞がっ」
「だれが糞なの?」
《こういうのが此奴ムカつくんだ…だが…》
「ああっ済まない」
「まぁ良いですわ、貴方達これからどうするか決めていますの?」
「それをこれから、聖人と考えようと思っていたんだ」
「そうだよ」
「俺は…まぁどうにかなるさ…」
本当に馬鹿ですわね。
「はぁ、体が此処迄、不自由だとどうにもなりませんわね」
「「「うっ」」」
「「うっ」じゃありませんわ!ここは日本じゃありませんのよ…そんな考えでは死にますわよ!」
「あのよ…そこ迄言うなら、塔子には何か案があるのかよ」
「大河、無ければ此処迄偉そうにしませんわ」
「勿体つけずに教えてくれないか?」
そろそろ、良いですわね。
「私は聖女ですから、こういう時には教会に頼れますの…それで貴方達が治療中にこの地域の司祭にお願いしまして、聖教国ホムラの教皇様に繋いで貰いましたわ」
「そうだったのか?」
「それで、何か進展があったのか?」
「僕たち、もしかして助けて貰えるの?」
「大丈夫ですわ、聖教国ホムラの中央教会で面倒を見て頂けますわ」
「そこで保護して貰うとして、俺たちは何をすれば良いんだ?」
「何かさせられるんだろう?」
「僕、今、何も出来ないけど大丈夫かな?」
「それなら大丈夫ですわ! 聖教国では女神の使徒として『勇者』は絶大な人気があるのですわ…そして今現在、女神からの神託が降りて来なくて困っていますの、その辺りの事情からお話ししまして、皆を引き取って貰う交渉をしましたわ…そうしたら『勇者様』が来ていただければこちらも助かるという事でしたわ」
「塔子…だが俺は戦えないんだぞ、大丈夫か? それに王国だって勝手に聖教国に行ったら不味いだろう」
「それなら大丈夫ですわ…この世界では教皇が一番偉いのですわ…だから王女も王様も文句は言えませんわね、それにこの世界では教会が病院も兼ねますので、聖教国なら最高の治療が受けられますわ」
「確かにそうかもしれないな」
「正直言えば…助かる」
「はぁ~良かった、ありがとう塔子ちゃん」
「どう致しまして…3日間後に馬車を寄越してくれますわ…その後は体を治してもう一度再起を計るもよし…別の事をするのも良しですわ」
「あの…魔王は?」
「それも教皇様に相談すれば良いと思いますわ」
「そうだな」
「それで塔子はどうするんだ?」
「私はゴレムの街でヒーラーでもして過ごしますわ」
「一緒に来ないのか?」
「来た方が良く無いか?」
「そうだよ、一緒に来てよ」
行きたくはありませんわね。
「多分ですが、聖教国では大樹達はモテますわ…私には余り良い事が無さそうですから…この辺りで失礼しますわ」
「「「そうなのか」」」
「ええっ」
鼻の下を伸ばして…幸せそうですわね。
◆◆◆
馬鹿ですわね。
確かに聖教国では彼等を欲しがっていますわ。
ですが…それは種馬の人生ですわ。
司祭様の話ではもう体は回復しないそうですわね。
王国では…どう考えても大樹達にあからさまなハニートラップを仕掛けていましたわ。
そこから考えて、恐らく勇者の遺伝に価値があると思いましたの。
交渉先を聖教国にしたのは聖教国が『一番勇者を優遇』するからですわ。
今の教皇は特に『勇者至上主義者』とか呼ばれているそうですから…どうにかしてくださいますわね。
もう『戦えない三人』には価値は無いので、もうそれしか無いですわね。
私はまっぴらごめんですが…種馬の人生…
案外『ハーレム』とか言って楽しんでいそうな未来も見えますわね。
三人の命が助かって…私が自由を手にする。
これが最善手ですわ…まぁ世界が滅ぶにしてもすぐじゃありませんし、どうせ数十年位は小競り合いがあるだけですわ、それはもう私には関係ありませんわね。
私たちの旅はもう終わってしまいましたわ。
私も含み『負け犬4人』の人生としてはまずまずだと思いますわね。
損切りをしっかりして、その中での最善手を手にするこれも『白銀的』な考えですわ。
俺たち…三人は塔子に殴られ土下座させられていた。
時は少し遡る…
◆◆◆
「あんた、大河殿ですね」
「お前ら、何だよ!」
誰だ此奴ら…手が使えない俺をどうする気だ。
糞、剣も抜けない…
「私たちの事はどうでも良い! だが勇者パーティのメンバーが勝手に逃げ出す事は許せません…同行頂こうか?」
不味い…よく考えれば解る事だ…
俺たちは勇者パーティ…監視位ついていて当たり前だ。
「待ってくれ! 俺を何処に連れて行こうっていうんだ…」
「来れば解ります」
今の俺には10人もの騎士をどうにかする術はない。
「解った」
ついて行くそれ以外に選択は無い…
無理やり馬車に載せられていった先には…塔子が居た。
しかも、その前には大樹と聖人が土下座状態で座らせられている。
「大樹…聖人、お前らいったい」
「連れてこられましたわね…お馬鹿さんがまた1人」
大樹も聖人も塔子の前で土下座している…なんだこれ?
締まらねー…なんだこれ。
◆◆◆
「大河…あんたも馬鹿ですわね! とりあえず、そこに並んで土下座すると良いですわ!」
「なぁ、俺は良い…だが聖人は足を怪我しているいんだ、なぁ許してくれよ」
「ハァ~何を言っていますの? 人の意見を聞かずに馬鹿やって死に掛けましたのよ? 痛い位なんですの? 死ぬ事に比べたら大した事ありませんわよね!」
「塔子…お前にそんな事いう資格はあるのかよ! 俺たちが入院している間に見舞いにも来ないで…ふざけんなよ!」
ハァ~付き合いが長いですが…本当に馬鹿ですわね。
負け犬が傷を舐めあって何か良い事があるのでしょうか?
本当に私の周りは馬鹿ばかりですわ。
何かが起きたら、そこからどうするか考えて事態の収拾。
これが基本なのですわよ。
「見舞いなんて馬鹿がする事ですわ、それより次はどうするか?それを考える事が必要なのですわ…それで大河は本当に一人で生きれるのです?」
「糞がっ」
「だれが糞なの?」
《こういうのが此奴ムカつくんだ…だが…》
「ああっ済まない」
「まぁ良いですわ、貴方達これからどうするか決めていますの?」
「それをこれから、聖人と考えようと思っていたんだ」
「そうだよ」
「俺は…まぁどうにかなるさ…」
本当に馬鹿ですわね。
「はぁ、体が此処迄、不自由だとどうにもなりませんわね」
「「「うっ」」」
「「うっ」じゃありませんわ!ここは日本じゃありませんのよ…そんな考えでは死にますわよ!」
「あのよ…そこ迄言うなら、塔子には何か案があるのかよ」
「大河、無ければ此処迄偉そうにしませんわ」
「勿体つけずに教えてくれないか?」
そろそろ、良いですわね。
「私は聖女ですから、こういう時には教会に頼れますの…それで貴方達が治療中にこの地域の司祭にお願いしまして、聖教国ホムラの教皇様に繋いで貰いましたわ」
「そうだったのか?」
「それで、何か進展があったのか?」
「僕たち、もしかして助けて貰えるの?」
「大丈夫ですわ、聖教国ホムラの中央教会で面倒を見て頂けますわ」
「そこで保護して貰うとして、俺たちは何をすれば良いんだ?」
「何かさせられるんだろう?」
「僕、今、何も出来ないけど大丈夫かな?」
「それなら大丈夫ですわ! 聖教国では女神の使徒として『勇者』は絶大な人気があるのですわ…そして今現在、女神からの神託が降りて来なくて困っていますの、その辺りの事情からお話ししまして、皆を引き取って貰う交渉をしましたわ…そうしたら『勇者様』が来ていただければこちらも助かるという事でしたわ」
「塔子…だが俺は戦えないんだぞ、大丈夫か? それに王国だって勝手に聖教国に行ったら不味いだろう」
「それなら大丈夫ですわ…この世界では教皇が一番偉いのですわ…だから王女も王様も文句は言えませんわね、それにこの世界では教会が病院も兼ねますので、聖教国なら最高の治療が受けられますわ」
「確かにそうかもしれないな」
「正直言えば…助かる」
「はぁ~良かった、ありがとう塔子ちゃん」
「どう致しまして…3日間後に馬車を寄越してくれますわ…その後は体を治してもう一度再起を計るもよし…別の事をするのも良しですわ」
「あの…魔王は?」
「それも教皇様に相談すれば良いと思いますわ」
「そうだな」
「それで塔子はどうするんだ?」
「私はゴレムの街でヒーラーでもして過ごしますわ」
「一緒に来ないのか?」
「来た方が良く無いか?」
「そうだよ、一緒に来てよ」
行きたくはありませんわね。
「多分ですが、聖教国では大樹達はモテますわ…私には余り良い事が無さそうですから…この辺りで失礼しますわ」
「「「そうなのか」」」
「ええっ」
鼻の下を伸ばして…幸せそうですわね。
◆◆◆
馬鹿ですわね。
確かに聖教国では彼等を欲しがっていますわ。
ですが…それは種馬の人生ですわ。
司祭様の話ではもう体は回復しないそうですわね。
王国では…どう考えても大樹達にあからさまなハニートラップを仕掛けていましたわ。
そこから考えて、恐らく勇者の遺伝に価値があると思いましたの。
交渉先を聖教国にしたのは聖教国が『一番勇者を優遇』するからですわ。
今の教皇は特に『勇者至上主義者』とか呼ばれているそうですから…どうにかしてくださいますわね。
もう『戦えない三人』には価値は無いので、もうそれしか無いですわね。
私はまっぴらごめんですが…種馬の人生…
案外『ハーレム』とか言って楽しんでいそうな未来も見えますわね。
三人の命が助かって…私が自由を手にする。
これが最善手ですわ…まぁ世界が滅ぶにしてもすぐじゃありませんし、どうせ数十年位は小競り合いがあるだけですわ、それはもう私には関係ありませんわね。
私たちの旅はもう終わってしまいましたわ。
私も含み『負け犬4人』の人生としてはまずまずだと思いますわね。
損切りをしっかりして、その中での最善手を手にするこれも『白銀的』な考えですわ。
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