ハハハ

 苦しいキス。だが、花梨(かりん)はもっとそれを感じたかった。遊園地のパレードと花火を背に、花梨と紫苑(しえん)は互いに愛を囁く。
 花梨にだけ見えている、みんなに生えている翼。花梨に嘘をついていない者だけが、「白い翼」を持つ。花梨の周囲のほとんどは「黒い翼」を生やしている中、紫苑は「白い翼」を背中に生やし、花梨に愛を囁いていた。花梨だけがそれを知っていた。
 しかし、遊園地デート以後、久しぶりに夏休み中に会った紫苑の態度が、花梨にはぎこちなく見えてしまった。花梨は訊ねる。

「紫苑――私に隠していることない?」
「……なにも隠してないよ?」

 それまで真っ白だった紫苑の翼は、花梨の問いをきっかけに真っ黒に染まってしまった――彼は花梨に噓をついた。
 紫苑――恋人が嘘をついていることを知ってしまった花梨は、何を思うのか。
 ……花梨に嘘をついてはいけない。絶対に。


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※2023年8月26日、公開
※この作品は、カクヨム・小説家になろう・ノベルアップ+にも投稿しています。
※表紙の著作権は作家が持っています。
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