TENKA

戦国時代。

朝廷の貴族は、自分たちの退屈な生活に刺激を求めていた。
そして同時に戦国の武将の力は幕府を揺るがすと思われるくらいに大きくなっていた。

そこで彼らは平安時代から続く遊びである「テンカ」という、戦国武将たちに「天下統一」というゲームをさせて楽しめないかと考えついた。

ゲームのやり方は簡単だった。
幕府に隠れて、武士や農民や商人や浪人などから自分の好きな人物を選び、その人物に秘密裏に資金や情報や兵器を提供し裏で操るのだ。

選択した人物が当世の幕府を倒し征夷大将軍の官位を得ればゲームは終了する。
もちろんその人物を推した朝廷内のものがゲームの本当の勝者だ。

そうそう、将軍を任命する者それは「朝廷」、つまり彼らの地位は揺らぐことは無い。

彼らは思いつくと同時に、彼らは退屈を紛らわす遊びを始めることにした。

可哀想なゲーム参加者たちは自分たちが朝廷や貴族の道具に過ぎないことを知らない。
それでも、彼らは本気で自分の主君や信念のために戦う。
それが、このゲーム天下(TENKA)である。

これこそが「下剋上」という煽り言葉で現れた戦国時代の真実だった。
朝廷の手のひらで踊らされる武士たちのTENKAゲームの始まりである。
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