宮廷では、嘘と秘密と策略と、時々銭の音がする ※第一章【完】
帝都の郊外の木造平屋に住む千璃(せんり)は、貧しいながらも両親と幼い弟妹の五人で暮らしていた。
裕福ではないので腹いっぱい食べることはできないが、それなりに充実していた。
千璃の父親は、人で溢れている帝都ではなかなか仕事が見つからないからと、出稼ぎをしていたので年に二回帰るだけだったが、半年ぶりに帰宅したというのに出かけたまま帰って来なかった。どうやら、見た目だけはよかったので金持ちの未亡人に気に入られたらしい。
資金繰りに苦心していた母親は、仕方なく何度か乳母をしていた後宮で働くようになった。残された千璃は、祖母の協力のもと弟妹の世話を焼くことになった。
ところがある日。父親が突然家に戻ると、5歳と6歳の弟妹を連れて未亡人の住む邸宅へ連れてってしまった。慌てて止めようとすると、こう吐き捨てられた。
「下の二人はまだ幼いし、趙家にいれば食いはぐれる心配はない。世話を焼いてくれる使用人もいる。だが、お前は働きに行ける年齢なんだから、親戚の家にでも行って奉公してこい!」
貧しい暮らしよりもいいかと思った千璃は、父親の面子のために親戚の家へと向かったものの、そこの息子に背後から襲われたことを理由に逃げ出した。
「やっぱり、私もあそこしかない。妃賓に媚びを売りまくって、たんまり稼がせてもらうわ!」
12歳で宮女になることを決意した千璃は、どういうわけか母親に反対されながらも、後宮で下働きすることになった。
25歳になれば後宮を出られるので、それまでの間、皇后や妃賓に媚びを売りまくってお金を稼ぎ、弟妹と暮らしながら自分の店を持つという立派な目標を立てた。
苦節四年。16歳になった千璃はようやく昇級し、掃除と洗濯が主な仕事だった雑役宮女から小宮女となり、同い年の寧珠(ねいじゅ)公主のお世話を担当することになった。ところが、小宮女になってからというもの、宮廷にはびこる陰謀に巻き込まれるようになってしまい……!?
宦官(?)である煉雀(れんじゃく)の手を借りながら、宮廷で起こる事件を解決してゆくなんちゃって中華後宮倒叙ミステリーです。
1章25話構成で完結するまでに少し時間がかかるかもしれません。
ミステリーものは今回が初挑戦ゆえに普段よりもだいぶ遅筆になります。
終盤にかけて恋愛要素も入れたいですが、メインはあくまでミステリーです。
宮女の千璃-せんり-(16)と宦官(?)の煉雀-れんじゃく-(20)の行く末を見守ってください。
※スピンオフ作品「冷遇されたうえに☓☓だった私が、平穏無事に後宮を脱出するまで」では、寧珠公主が主人公の恋愛ものを予定しております。
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