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第一章
軟禁というやつでは①
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ちょっと待ったぁ。
……え、何それ…。私、もしかして、この部屋に当分閉じ込められちゃう、ってこと…?
「禁じる理由を教えていただけますか…」
思わず声が震えてしまった。それじゃまるっきり軟禁じゃ?
正直に言ってもいいものか、どうか―――
ハインリヒ様とエリアスが、そういう表情で顔を見合わせている。
私に危害を加えたくて、しているんじゃないってことは、なんとなく察することが出来たけれど、理由が分からないことには、もやもやしてしまうよ。
意を決したようにハインリヒ様が口を開いた。
「貴女のお身内……すなわち、王族が原因だ…。身ごもられたカリンメテオール様の御命が、弟君のアルトゥール様によって、胎内に宿る貴女ごと危険に晒されたので、異世界にお逃がしするしかなかった」
どういうことだろう。
ハインリヒ様が私に、二人掛けの長椅子の隣に腰かけるように促した。エリアスは対面に置かれた一人掛けの椅子に腰かける。
赤い髪のカサンドラが、三人に紅茶と茶菓子をすごい速さで用意して姿を消した。
全員黙って紅茶で喉を潤して、誰ともなくため息をつく。
「その前に聞きたいのだが……カリンメテオール様は異世界で何をしておられるのだろうか。もう一つ、貴女の御父君のことを何か話しておられたか?」
お父さんのことについて、一番知りたいのは自分だ。だけど、お母さんは何も話してくれなかった。
なぜ私は戸籍を確認してみるとか、一度もしなかったんだろう。
父の欄に見知らぬ名前があっても、現実感がなさ過ぎて、ただの文字としか思えなかっただろうけど。
理由は分かっていた。お母さんさえいれば良かったからだ。
―――ということが、お母さんがいなくなって初めて分かった。
お母さんのことを話すのは辛い。私自身、全く心の整理がついていない。
「お母さんは亡くなった、と代理人を名乗る人に聞かされました。そう聞いただけで、死に目にも会えていないので、正直私自身お母さんが亡くなったなんて信じられないんです。あと、お父さんのことは、なにも話してはくれませんでした。でも、身ごもったまま、向こうの異世界に行ったということは、私の父はこちらの世界にいるということですよね…」
私の言葉に、ハインリヒ様とエリアスが息を呑んだ。
「…そうか。カリンメテオール様は……」
お母さんが亡くなったことに驚いてくれたことに、こんなのは変だと思うけど、安堵する。その感情が一番近かった。
お母さんを知っている人間は私だけじゃないんだ……
……え、何それ…。私、もしかして、この部屋に当分閉じ込められちゃう、ってこと…?
「禁じる理由を教えていただけますか…」
思わず声が震えてしまった。それじゃまるっきり軟禁じゃ?
正直に言ってもいいものか、どうか―――
ハインリヒ様とエリアスが、そういう表情で顔を見合わせている。
私に危害を加えたくて、しているんじゃないってことは、なんとなく察することが出来たけれど、理由が分からないことには、もやもやしてしまうよ。
意を決したようにハインリヒ様が口を開いた。
「貴女のお身内……すなわち、王族が原因だ…。身ごもられたカリンメテオール様の御命が、弟君のアルトゥール様によって、胎内に宿る貴女ごと危険に晒されたので、異世界にお逃がしするしかなかった」
どういうことだろう。
ハインリヒ様が私に、二人掛けの長椅子の隣に腰かけるように促した。エリアスは対面に置かれた一人掛けの椅子に腰かける。
赤い髪のカサンドラが、三人に紅茶と茶菓子をすごい速さで用意して姿を消した。
全員黙って紅茶で喉を潤して、誰ともなくため息をつく。
「その前に聞きたいのだが……カリンメテオール様は異世界で何をしておられるのだろうか。もう一つ、貴女の御父君のことを何か話しておられたか?」
お父さんのことについて、一番知りたいのは自分だ。だけど、お母さんは何も話してくれなかった。
なぜ私は戸籍を確認してみるとか、一度もしなかったんだろう。
父の欄に見知らぬ名前があっても、現実感がなさ過ぎて、ただの文字としか思えなかっただろうけど。
理由は分かっていた。お母さんさえいれば良かったからだ。
―――ということが、お母さんがいなくなって初めて分かった。
お母さんのことを話すのは辛い。私自身、全く心の整理がついていない。
「お母さんは亡くなった、と代理人を名乗る人に聞かされました。そう聞いただけで、死に目にも会えていないので、正直私自身お母さんが亡くなったなんて信じられないんです。あと、お父さんのことは、なにも話してはくれませんでした。でも、身ごもったまま、向こうの異世界に行ったということは、私の父はこちらの世界にいるということですよね…」
私の言葉に、ハインリヒ様とエリアスが息を呑んだ。
「…そうか。カリンメテオール様は……」
お母さんが亡くなったことに驚いてくれたことに、こんなのは変だと思うけど、安堵する。その感情が一番近かった。
お母さんを知っている人間は私だけじゃないんだ……
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