2 / 224
~彼氏~
荷物
しおりを挟む
「… … …」
「… … …」
私と杉崎さんはその後、始終無言のまま…たくさんの人が集まる手荷物預かり所に到着した。
乗客がベルトコンベアーの前で、思い思いに話をしながら、自分の手荷物が回ってくるのを待っている…。
「…まだ、みたいだね… 」
ぼそりと、杉崎さんの呟きのような声が聞こえた。
「…えっ…?」
杉崎さんの声に、私はおもむろに、杉崎さんの方を見上げる。
杉崎さんが私を見下ろし、そっと微笑むその表情にドキリとした…。
昨夜の…
あの時の情景を、思い出してしまう…
いつも優しくて紳士な杉崎さんが…
途中から…いつもと違う…男らしい…猛々しい雄に、変貌した…。
激しく…時に…甘く、揺さぶられて…たまらなくなった…。
私の中に入った時の…杉崎さんの眉根を寄せた、少し苦し気な顔も…時折見せる優しい表情も…
目に、焼き付いている…
杉崎さんに抱き締められ… 何度も、深いキスをされ…
何度も、中を…強弱をつけて、えぐるように貫かれて…
私は何度… 耐えたか… 何度…私は…
ああ…駄目だ…
また、昨夜の淫らな行為を思い出しそうになるのを、無理矢理に頭の中から追い出す。
私はなんて…淫乱な女なのだろう…いやらしくて、最低だ…。
今から、拓海と会うというこの状況で…
なんで、私は…こんなにも、この人に…
杉崎さんに、とらわれてしまうのだろう…
杉崎さんが無言のままでいる私の顔を見て、慌てたように言葉を補う…。
「いや…あの、荷物、まだ回ってないなって…思って…どうやらまだ、一つも来てないみたいだね… 」
ふと見ると、ベルトコンベアーは確かにまだ、動き出してすらいなかった。
「そ…そう、ですね… 最後にゆっくり出て来て…ちょうど良かったですね…」
「うん…」
「… … … 」
今…杉崎さんと何を話していいのかわからない…
差しさわりのない話題が、何一つ、頭に浮かんでこない…
周りのざわざわした声に反して、私と杉崎さんの周りには静かな空気が漂っている…
沈黙に耐え切れず、私は遂に無理矢理に、会話を絞り出す…。
「あの…杉崎さん、出張…色々とお世話になりました…すごく、勉強になりました。」
「…うん…いや、全然…俺、お世話なんてしてないよ…水無月さんは俺が言う前からよく、動いてくれたし…こちらこそ、ありがとう…お疲れ様…」
「はい…」
そこですぐに、会話が終了してしまった…。
違う…
こんなことを、話したいわけじゃない…
出張がどうとか、仕事がどうとか関係ない…
私はあなたが、好きです。
言いたいのは…ただ、それだけだ…
だけどそんなことを今、言えるはずもない…
私はそのまま沈黙し、ぼうっとベルトコンベアーを見つめる…。
… ウィン…
音を立てて… やっと、コンベアーが動き始めた…
辺りにいた乗客が一斉にその先を見た、瞬間…
「あっ… … 」
ビクンと、身体が震えた…。
温かな、感触…
私の手に…
杉崎さんの手が、触れて… ゆっくりと、長い指を絡められる…。
ハッとして、周りを見るが…最後に機体から降りてきたこともあってか、背後には誰もいない…
それでも、どうしても人目が気になってしまう私は…静かに身じろぎをする…
およそ、杉崎さんらしくない…行動…
こんな場所で、いきなり…どうしたんだろう…
「… …すぎ、さき …さん… ?」
「…ごめんね、もう…少しだけ… … 」
「… … …」
私はこの手を…振りほどけない…
違う…
振りほどきたくは、ない…んだ…
私は静かに頷き、
再び、ベルトコンベアーに視線を戻した…。
「… … …」
私と杉崎さんはその後、始終無言のまま…たくさんの人が集まる手荷物預かり所に到着した。
乗客がベルトコンベアーの前で、思い思いに話をしながら、自分の手荷物が回ってくるのを待っている…。
「…まだ、みたいだね… 」
ぼそりと、杉崎さんの呟きのような声が聞こえた。
「…えっ…?」
杉崎さんの声に、私はおもむろに、杉崎さんの方を見上げる。
杉崎さんが私を見下ろし、そっと微笑むその表情にドキリとした…。
昨夜の…
あの時の情景を、思い出してしまう…
いつも優しくて紳士な杉崎さんが…
途中から…いつもと違う…男らしい…猛々しい雄に、変貌した…。
激しく…時に…甘く、揺さぶられて…たまらなくなった…。
私の中に入った時の…杉崎さんの眉根を寄せた、少し苦し気な顔も…時折見せる優しい表情も…
目に、焼き付いている…
杉崎さんに抱き締められ… 何度も、深いキスをされ…
何度も、中を…強弱をつけて、えぐるように貫かれて…
私は何度… 耐えたか… 何度…私は…
ああ…駄目だ…
また、昨夜の淫らな行為を思い出しそうになるのを、無理矢理に頭の中から追い出す。
私はなんて…淫乱な女なのだろう…いやらしくて、最低だ…。
今から、拓海と会うというこの状況で…
なんで、私は…こんなにも、この人に…
杉崎さんに、とらわれてしまうのだろう…
杉崎さんが無言のままでいる私の顔を見て、慌てたように言葉を補う…。
「いや…あの、荷物、まだ回ってないなって…思って…どうやらまだ、一つも来てないみたいだね… 」
ふと見ると、ベルトコンベアーは確かにまだ、動き出してすらいなかった。
「そ…そう、ですね… 最後にゆっくり出て来て…ちょうど良かったですね…」
「うん…」
「… … … 」
今…杉崎さんと何を話していいのかわからない…
差しさわりのない話題が、何一つ、頭に浮かんでこない…
周りのざわざわした声に反して、私と杉崎さんの周りには静かな空気が漂っている…
沈黙に耐え切れず、私は遂に無理矢理に、会話を絞り出す…。
「あの…杉崎さん、出張…色々とお世話になりました…すごく、勉強になりました。」
「…うん…いや、全然…俺、お世話なんてしてないよ…水無月さんは俺が言う前からよく、動いてくれたし…こちらこそ、ありがとう…お疲れ様…」
「はい…」
そこですぐに、会話が終了してしまった…。
違う…
こんなことを、話したいわけじゃない…
出張がどうとか、仕事がどうとか関係ない…
私はあなたが、好きです。
言いたいのは…ただ、それだけだ…
だけどそんなことを今、言えるはずもない…
私はそのまま沈黙し、ぼうっとベルトコンベアーを見つめる…。
… ウィン…
音を立てて… やっと、コンベアーが動き始めた…
辺りにいた乗客が一斉にその先を見た、瞬間…
「あっ… … 」
ビクンと、身体が震えた…。
温かな、感触…
私の手に…
杉崎さんの手が、触れて… ゆっくりと、長い指を絡められる…。
ハッとして、周りを見るが…最後に機体から降りてきたこともあってか、背後には誰もいない…
それでも、どうしても人目が気になってしまう私は…静かに身じろぎをする…
およそ、杉崎さんらしくない…行動…
こんな場所で、いきなり…どうしたんだろう…
「… …すぎ、さき …さん… ?」
「…ごめんね、もう…少しだけ… … 」
「… … …」
私はこの手を…振りほどけない…
違う…
振りほどきたくは、ない…んだ…
私は静かに頷き、
再び、ベルトコンベアーに視線を戻した…。
10
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる