【完結(続編)ほかに相手がいるのに】

もえこ

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~杉崎~

介入

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彼女は…やはり、あの場所にいた。

だが、一人ではなかった…。

まず、女性の話し声が聞こえて… 
話し声の主が水無月さんと細野さんだとわかって…
顔を出すことが出来なくなった。

タイミングを逸したのもあるが…正直なところ、
二人が何を話しているのかも気になった。

いきなり、二人に割って入るのも良くない…。
かと言って、このまま立ち聞きするのも気が引ける。

二人の声は小さく…端々はしばししか聞き取れないが、どうやらいつものように…細野さんが一方的に…何かを話しているようだ…。

それでも、向こうからは見えないように…細心の注意を払って近づこうとした。

だが…
細野さんの声が、先ほどより明らかに大きくなったその瞬間…

驚きの、キーワードを、耳にした。
         
       意地汚い、泥棒猫… 

「… … …」

今、なんと…  彼女はなんと言った… ? 

耳を疑うとは、こういうことだ…。

彼女は…
細野さんは…水無月さんに対して、確かにそう言った。
やはり細野さんは、彼女と俺のことを疑っているんだろう…。

ここから彼女の表情をうかがい知ることはできないが…
泥棒猫などと、言われて…衝撃を受けないわけがない…。
今、彼女はどんな表情をしているのだろう…。

さらに、細野さんは声を荒げたまま言葉を続け…その話の対象は、あの歓迎会の日のことにまで及んだ…。

今のこの状況で…
俺が立ちいるべきでないのは、わかっている。

俺が感情のままに、今この場にしゃしゃり出て、心の思うままに水無月さんのことをかばえば、
更に、俺のいないところで…
細野さんの攻撃は増えていくだろうことは容易に想像できた。

だが、無理だ…  

彼女がどう思うとかは、もはや関係なく…

もはや、俺が…
彼女が一方的にこんな風に言われ続けるのを、見過ごすことが出来ない。

気付けば、俺は… 
   その場に、足を踏み入れていた…。









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