【完結（続編）ほかに相手がいるのに】

～智花〜

嫌悪

なんでこんなにも…私は、強く…逞しく…　　
悲しいほどに…心に、鎧をまとうような…可愛くない性格に、なってしまったのか…。

人に、甘えられない…　
要領が、悪いのかもしれない…。

嫌だ…　自分の性格が…　嫌で、嫌で仕方ない…。

ひとり、自己嫌悪に陥ってしまいそうになる…。

「…　…　…」

たとえば今日…三橋君の隣にいたあの華奢な彼女は…素直に、彼に弱音を吐くのだろうか…。
可愛らしく…彼に、寄り添うのだろうか…

自分の性格は、簡単には変えられない…　
考えても仕方のないことが…　虚しさが、胸いっぱいに広がりそうになり、やりきれない…。

「…　ん…　もう、寝よ…　」

グラスを片付けようと立ち上がろうとした瞬間だった…。

　　　　　　　…　ピンポーン　…

「えっ…　…　」

私は時計を、見る…。　
もう、夜の10時を過ぎている…

こんな時間に、宅配便なわけは、ない…

「…　…　…　」

誰がドアの前にいるのかは、明白だった…。

無視、すればいい…　　　

あんな彼女がいながら、ほいほい…平気で、合コンに行くような男だ…。

その上、今日の昼間…　もっとも見られたくない場面を見られたのだから…。　

もう、かなり酔っているし…ドアなど、開けない…。

　　　　　…　ピンポーン　…　　もう一度、なった…　

絶対に、出ない…　

今、軽薄な彼の顔を見たら、私はどうなるか、わからない…。
もし、昼みたいに…何か、からかうようなことを言われれば…八つ当たり、してしまうかもしれない…

でも、もし仮に…もう一回…　
もう一度だけ、呼び鈴がなれば…　　

　　　　…　ピンポーン　…　　　

ああ…　三度目のベル…　　　

「ふふ…」

何か…歌詞に出てきそうなフレーズだなと、今の気持ちに反して思わず、笑ってしまう…。

ガチャンと、グラスを流しに置いた後…

私は、何かに吸い寄せられるかのように、

　　ふらつく足取りで、ドアに向かった…。