私の声は、3秒遅れてやってくる

「お、お……っ、お……」
高校一年生の汐里(しおり)は、吃音症を抱えている。

伝えたい言葉は、頭の中に溢れるほどある。
それは色鮮やかで、饒舌で、自由な物語。

けれど、それを口にしようとした瞬間、世界にはいつも「三秒の静寂」が訪れる。

「おはよう」すら言えず、クラスメイトの“残酷な優しさ”に傷つく日々。

——そんな彼女にも、“もう一つの声”があった。

匿名で投稿する小説サイトと、想いのすべてをぶつける一冊のノート。

ノートの中なら、私は誰よりも自由に喋れる。
詰まることもなく、言い淀むこともなく、愛だって叫べる。

けれどある放課後、その「本当の声」に、誰かが触れてしまう。

——それは、世界が少しずつ変わり始めるきっかけだった。
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