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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-10 ミステリートレイン in 目的地

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…ファンタジックアイランドでの滞在は3日間。
 その間の宿泊は流石に寝台車ではなく、その島に設立された宿泊所で行うことになる。

 そのため、各乗客に割り当てられた部屋に入ることになるのだが…

「ぐぅうう…もうちょっと、もうちょっとで春に勝てたのに…明日の朝まで解けないって…!!
「女装の危機を味わされたんだ。その分、ちょっとお高い代償を付けさせてもらったよ」

 室内にて、机にドンっと手を打ち付け、悔しがるミーちゃん。
 昼間の勝負で危うく現実の肉体のほうで女装をさせられかけたが、どうにかこうにか勝利し、危機を脱したのである。
 そして僕の方の勝利で得られる権利…好きな道具をミーちゃんに使ってもらうことになったが、女装にならないように全力を出しまくったので相当疲弊させられたのもあって、その分の苦労を味わってもらおうと思い…

「それにしても、結構持続するんだね。『動物変身ドリンク:モンスターバージョン』を飲んでもらったけど、まさかミミックになるとは…ミーちゃんの体自体は開けば出てくるけど、見た目は宝箱に引きこもった人になっているよ」
「中身は変わってないけど、ベッドで寝れないー---!!」
 
 どういうタイプのものになるのか気になったが、彼女が変化したのはミミックのようである。
 見た目こそ宝箱のモンスターになっているが、一応箱のふたを開けば中にミーちゃんの体はしっかり存在しているのである。
 簡単に言えば、ミミックの着ぐるみを着た人と言えるような…だが、それでも箱の方にも肉体的な感覚が存在しているようで、完全に着ぐるみ状態というわけではない。

「まぁ、ここの宿泊所、無重力ベッドっていうのがあるから、その格好でも寝られるとは思うよ」
「宇宙遊泳のように体が浮かんで寝られるベッドって言うけど、それでもなんか納得できないよー--!!」

 勝負を仕掛けたミーちゃんが悪い。絶対に勝つと思ってやった条件で、見事に敗北して自分で生み出した勝利条件によって引き起こされた状況だからね。

 なお、モンスターバージョンの変身ドリンクという驚きの品だが、正確に言えばその人の肉体そのものを変化させているというよりも、中身の液体が物凄く小さな機械…いわゆるナノマシンだとかそういう部類のものでできており、その人自身を覆って形を形成するそうだ。
 動きやすさを重視して人の五感を利用して動けるようなものに限定されていたり元々の量がそこまで多くないためか、人よりも大型だったり異形すぎたりするものはできないようで、他の種類も人型に近いものになれるようになっているらしい。

 他になれるのはスキュラ、ラミア、ドリアード、ガーゴイル…ちょっとオンラインの世界で見たようなのも多いが、人型に近いものと言えるだろう。

 なお、物凄く巨大なドリンクもあり、こちらは巨大な動物の姿にもなれるように調整していたらしい。石油コンビナートのタンクのようなものが一つあって、誰が飲めるんだと言いたくなったが。



 とにもかくにも、なってしまったものは仕方がない。
 効果時間もすごい長いわけでもないし、朝になれば元に戻っているようなので問題はない。

「うう、まさか負けるなんて…」
「女装の危機がかかっていたからね…」

 先手を取られてしまったが、勝利をつかめた。
 途中でミーちゃんの乗っていたゲタマシンがまさか追加で2台自動操縦で増えて合体して、よりミサイルをまき散らした時は覚悟したが、よく考えたら的に当てた数なので、他の道具を駆使して妨害して、自分のミサイルだけ命中するようにしてよかった…妨害抜きのルールにしていたら、確実に敗北していただろう。

 ルールの抜け穴を貫くようなことをしたが、これも戦略である。

「これでもまだ大丈夫なものを選んだよ。お気軽着替えバッジとかいう道具を使って。変な衣服を指定されるよりはましでしょ」
「ああ、衣類コーナーにあった道具…写真や絵をスキャンして、着替えられるやつだっけ?いや、そっちの方がましなような」
「やろうと思えば、変態もとい欲望戦隊の衣装もできたからね?」
「…ご勘弁を」

 一応、戦隊とつくだけあって戦隊服なのだが…欲望戦隊の変態ぶりを垣間見たことある身としては、お揃いのものにされるのは避けたかったようである。
 スキャンしたものが何もなければ、素っ裸になる危険があるらしいので、対策を施している途中で、正式に市場へ発売されるまでまだ数年はかかるらしいけれどね。

 とにもかくにも、無事に一日目は過ぎていくのであった…

「こうなったら、明日も春に勝負して…変身コーナーにあった女の子向けモノを全部やってやるぅううううう!!」
「何故女装にこだわるの!?それを狙うなら、今度は容赦しないのを選ぶよ!!」








…宿泊施設の一室で、春たちが言い争っているそのころ。

 ファンタジックアイランドの内部には、ようやく進入できた者たちがいたのだが…状況としては最悪の状態になっていた。

『予定到達数量、予測より大幅激減』
『相手の反撃予測、範囲外多量』

 ある程度の犠牲は予想できていたからこそ、その分補えるように大量の駒を投入していたはずだった。
 だが、その予想を上回られたというか…データにはない未知の存在を海底で確認し、襲撃を受けたことによって大幅に数を減らしていた。

 多少の兵器による防衛はまだどうにかなる。
 防弾、防水、防火、防爆、防酸…その他あらゆる対策を可能な限り搭載していたので、ある程度は生き残れる計算は合った。

 しかし、それらの対策を軽く笑うように、貫いて蠢く何かによって、多くの駒が沈んでしまったのだ。

『損傷多数、被害大量。撤退推奨』
『---許可下りず、作戦続行』

 このまま何も成果を上げられなくとも、被害をこれ以上出すのは無意味と判断したものが撤退を願い出るもの、許可は下りなかった。
 そもそも、ここまで奥深く入ってきた時点で、無事に帰還できる保証もない。


『進め、作戦コード【ブラッドムーンスティール】』
『成功か死か、それだけしかない』

…成功する可能性はどんどん下がりつつある。
 それでも、彼らにはそれしか生きるすべはないのであった…

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