短編集【令嬢の憂鬱】

モモん

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超合金ロボ

ジュリエッタ

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「それって、宰相への宣戦布告と受け取ってもよろしいので?」

「勘違いされているようですが、仕掛けてきたのはそちらです。
シェラさんに手を出されれば、たとえ相手が神であっても戦いますよ」

「神ですか?ヌエ様とでも戦うというのですか」

「ヌエ?ああ、女神がそんなことを言っていましたね。
もう一柱、禍々しいのがいるって。
あれ?そういえばあの女神……名前を聞いてなかった」

「エイジ様、マリュー様です」

オオーっと取り巻く人々から歓声があがる。

「マリューだと。おぬしらも紛い物の神を崇めるというのか。
分かった、もうよい。おぬし等は王国の敵とみなす」

王国じゃねえ、王城だろう!
マリュー様は我らの神!
城へ帰れ!

周囲から怒声が飛ぶ

「ふん」とばかりに女は取り巻きを連れて去り、取り押さえた二人は警備兵が連行していく。

「エイジ殿、マリュー様と邂逅されたとは真実で?」

「ええ、シェラさんと二人で会いましたよ。
この世界の歪みをただせと言われました」

「歪みですか……どこが歪んでいるんでしょうかね」

後ろから声が聞こえた。

「新手ですか?」

「とんでもない。
宰相の下品な手ごまと一緒にしないでください。
私は第二王子ボクチン様の配下です。
今日は顔見世だけですよ。」

「でしたら、私たち二人は貴族の庇護下に入るつもりはないとお伝えください」

「そうみたいですね。
でも、第二王子も名乗りをあげたとご記憶ください。
あちらが第一王子ペーター様の配下で、その横にいるのが内務大臣の配下です。
あの屋根の上が第一王女アネリサの配下で、あそこの窓から身を乗り出しているのが財務大臣の配下。
それから、第二王女様もお見えになっていますね。
これで、王族・大公の関係者が揃いました。
こう宣言しておけば、侯爵以下はすべて諦めるでしょう」

「なんだか、ありがたいような……迷惑のような……」

「双方にメリットのある事ですよ。
おっと、第二王女様がお見えになりましたので、これにて失礼いたします」

「シェラ~!」

なんか、場違いのお姫様が現れた。

「あっ、とんでもない人が……」

「シェラさんの知り合いですか?」

「前に、護衛についたことがあるんです。
すっかり忘れていましたが……」

二人とも人間の姿に戻って待ち受ける。

「シェラ、私のシェラ~♪」

お姫様がシェラさんの首に抱き着いた。
6才くらいだろうか縦ロールの金髪がまぶしい。

「ジュリエッタ様、ご無沙汰をしております」

お姫様の後ろから、ドタドタと数名追いかけてくる。

「おじょーさまー」



「ふう、なんでこんなところでお茶してるんだろう……」

王城のジュリエッタ姫の私室である。

「すみません、お断りできなくって……」

そういうシェラさんだが、当のジュリエッタ姫は話しつかれて眠ってしまった。

「すみません、お引止めしてしまいまして」

これ幸いと、王国認定……つまり、お抱えの交渉になっている。

「遠からず、この国を去られることは理解いたしました。
ですから、真似事でいいんです。
第二王女と交渉中だということを示せるだけで構いません」

「本当にそんなことでメリットがあるんですか?」

サイレントの魔法で遮音は完璧だ。
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