これは、さよならのつもりだった。

あの夏の終わり、気づけば私たちは、並んで歩かなくなっていた。
理由はわからない。
ただ、いつのまにか図書室で隣に座ることも、帰り道に言葉を交わすこともなくなった。

それでも、何かが戻ってくるのを、私はどこかで待っていた。
けれど、戻らなかった。

だから私は、手紙を書くことにした。
友達をやめるつもりで――それが、最後になると思って。

けれど、彼の机には、私の名前が書かれた封筒が入っていた。

すれ違っていた気持ちが、封筒の中で少しずつ言葉になっていく。
これは、“終わらせるため”に書いた手紙が、ふたりの間にもう一度灯した、静かな物語。
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