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東の国編
37.エピローグ
しおりを挟むもうとっくに朝になっているのに、いつもの屋敷の寝台に横になったままだ。抱き合っていると、ふたりきりで過ごせると分かっていても、離れるのが惜しくなる。ずっと、このあたたかさを感じていたい。
「ルーク」
「うん?」
「本当に、しばらく一緒に居られるの?」
「居られるよ。ひとりで呼び出された時以外は、仕事でも傍にいる」
ミアをぎゅっと抱きしめながら、髪を撫でる。言い切っても、確約はできない。約束してあげたいが、状況は毎日変わる。何があるかは、結局分からないのだ。
どうせなら、宣誓魔術でもかけてくれたらいいのに、とルークは思った。宣誓を破ったら罰が下る魔術で、ジョンの書斎で監視下にあるルイスに掛けられているものだ。優しいミアが、ルークに対して思いつく魔術ではないだろう。
ミアを安心させるには、やはり事実が必要だ。一緒に過ごすことのできた思い出を、増やしていきたい。ルークはもうとっくに、ミアがいないと生きられない。ミアが居なくなるなんて、ルークの人生設計にはないのだ。
「楽しいこと、たくさんしよう。今までできなかったこと、やってみたいことをしよう」
「うん」
平和で落ち着いた国を取り戻したふたりのオッドアイ魔術師は、住み慣れた屋敷の寝台で、互いの体温と魔力を確認するように、再び眠りについた。
<完>
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