魔の紋章を持つ少女

 ルーク・ウィンダム警備副隊長は、任務で滞在した屋敷の中で、顔を前髪で半分隠した女の子を見かけた。執事の慌て方を見るに、外部の人間に見られてはいけない子だったのは、すぐに分かった。

 その子を見たのがルークだったことも、この屋敷に関わる者にとっては運が悪かった。ルークは、普通の騎士にはない能力を持っている。

 自身の見た目を変化させる、変身魔術を扱える魔術師は、この国にはルークだけだ。しかも、ルークが魔術を操れることを知るのは、師匠であるジョンと王家の一部のみ。そもそもルークは騎士学校を卒業しており、魔術学校にはほぼ通っていない。魔術を使えることをずっと周囲に隠して、騎士として任務に就いているのだ。


 昼間に見かけた女の子を探すために子犬の姿になると、その子から強烈な匂いがした。こんな匂い、感じたことがない、嫌じゃない、むしろ好きな匂い…

 ルークは考える。
 …思い当たる知識は、つがいだ。僕の番が、この子なのか。ということは、この子も魔力を持つはず。魔術師の番に当たるなら、魔力は持っていて当然だ。この子が昼間に隠されていたのは、それが原因なのか?

 いきなり部屋の中に現れる転移魔術を使うこともできたが、警戒されたくはない。夜を待って、廊下から扉を軽く引っ掻くと、まだ起きていた女の子が開けてくれた。


 ☆


ルークと、ルークが任務で出会った女の子のお話。
虐待や甘々(?)えっち、物語の後半には無理矢理の性交渉や拷問などの成人向けエピソード(※マーク)がありますのでご注意ください。
時代・爵位・仕事・番・魔術など、ご都合主義な緩い独自設定があります。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
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