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18 ケガの功名
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しおりを挟む母さんが見たらさぞかし失望することだろう。
いまの俺は母さんの理想からは程遠いところにいる。家事さえまともにこなせないような傷を自ら負い、すべてを弟たちに任せきり。
──「ちゃんとしなさい凛也。あなたがちゃんとしないと、みんなが困るの」
現実は、俺がちゃんとしなくてもなんの支障も問題もなかった。意外なぐらいに。
俺のやることを長年見ていた弟三人は、いつでも俺の代わりになる準備を無意識にしていたのだろう。
──『いつまでも凛兄に頼りっぱなしってわけにはいかねぇもん』
──『おれらにまかせといて!』
──『とにかく、今日は帰ってこないのが一番!』
弟たちの成長をまさかこんなかたちで思い知るなんて──。
「帰ってくるな、か……」
そうすると、俺の居場所はひとつしかない。
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