それでも私が恋愛できない理由



男にもお金にも、興味は無い。

興味があったのは、人を殺せる技術だけ。

だけど——


殺し屋稼業を営んできた八王子タマキは、殺し屋としての生活ではなく、他の人と変わらない庶民としての生活に憧れを抱いていた。

ある事件をきっかけに逃亡生活を余儀なくされた彼女は、名前も国籍も変え、日本のある片田舎で生活を送るようになっていた。

カフェの店員として働く日々。

なんの変哲もない日常。

そんな中、ある“依頼”が彼女の元へと舞い込んできた。

依頼主は元『シルバー・ブレッド』のメンバーであるニルヴァーナであり、彼女の師でもあった。

依頼内容は、「lost memory(殺しの対象者)」とだけあった。

lostとは、組織の中で“殺し”を意味し、memoryは、“標的”を意味する。

「最後の依頼を聞いてくれないか?」

アパートのポストに届いたニルヴァーナからのメッセージに戸惑いを抱きつつ、
待ち合わせ場所に出向くことに。

人が死後に行く冥途にあるという険しい山、霊峰石鎚山。

電車に乗り、瀬戸大橋を渡って、石鎚山の聳える愛媛県久万高原町に行くことを決意した。

“もう誰も殺しはしない”

そう胸に期していた彼女の心に、待ち受けていたものとは——?
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