冷酷皇太子の妃

まめだいふく

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episode24

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歴史上では幾度も繰り返されてきた
妃殿下や皇女、王妃の謀反スパイ行為の結末は、生涯幽閉…最悪の場合、処刑だ。
その幾つが真実だったのだろうか。

それとも…

鉄格子のある窓から室内に吹き込む風は氷の様に冷たく、だんだんと手足の間隔を奪い、背中を凍てつかせる。
赤くなった指先をぎゅっと握り締め、息を吹きかけて耐え忍んでいたけれど、そろそろ限界だ。

あとどのくらい待てば解放されるだろうか。

ただ…気になる事がある。私は一人でこの国に来たわけではない。
セナや近衛隊の他、女官達や軍議長、側近…小隊ほどの人数はいた筈だ。

私が捕まった事は知っている筈なのに、なぜ騒ぎにならないのか…。

サーバスの一件の時もそうだ。

もし、国王おとうさまの耳に入れば、血の気の多い性格だ…開戦状を叩きつけかねない。

けれど、騒ぎは起きることもなく、城内は静かだ。

もし、殺された姫達の時もこうだった…とすると…

操られているのは兵や姫じゃない。
国王達や議会の人間だ。

各国の王族や議会の人間を一度に暗示にかける事が出来るとすればそれは…

「国王会議…」

今すぐにそのことをシアン王子に知らせなくては…。でもどうやって…。

「いるんでしょ?チト。監視はやめて出てきて。」

「クスクスクス。ようやく気づいたようですね。ニーナ姫。」

「あなたは私の監視役。そして、王子の隣にいるのは王子の監視役よね。」

「その通り。」

鉄格子の隙間からゆっくりと侵入してきた蛇が室内に入るとチトに姿を変えた。

「あなたは私に危害は加えない…違う?」

「その通り。ニーナ姫。」

「そして…犯人側でもない。」

「勿論。私は愛国者ですから。だれよりも、ね?」


「何者かはあとでゆっくり聞くとして、お願いがあるの。シアン王子は今あなたを探しているわ。どうせ見張っていても私はここでは何もできない。私の考えを伝えてきてくれない?」

「仰せのままに。」

再び蛇に姿を変えたチトは姿を消す様に窓から出て行った。

査問会はおそらく明日の朝には開かれ、最悪そのまま処刑場に連れていかれるだろう。

再び椅子に座ると、鉄格子から見える月が影を落とした。

「お願い。シアン王子…」






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