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邪神

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黒いスライムみたいな物体がグニュグニュと動いていた。

「なんだあれは!?」
「あの物体からシオンから取り除いた呪いの匂いを感じるわ」

!?

アクアの言葉に視線が集中した。

「であれば、アレがクロウをおかしくさせた元凶なのか?」

『それは違うな。ヤツは元々が濁った魂の持ち主だったのだ』

どこから発しているのかわからないが、黒いスライムから声が聞こえた。

『我は取引したに過ぎぬ。しかし感謝しよう古龍よ。貴様がクロウにダメージを与えたおかげで我は自由に力を使えるようになった』

「どういうことだ!」

紅さんは火炎弾を放つが、今度はあっさりと防がれた。黒いスライムは形を変えて、真っ黒な人の形に变化した。

「ふむ、この姿の方が安定するな。我とクロウは契約したのだよ。我がクロウの魔力を引出し、この国有数の魔術師にする代わりにシオンを抹殺するという契約をな」

ニヤリと不気味に嗤った。

「この外道が………」
「貴方が最初からクロウを乗っ取れば早かったのではないのかしら?」

スカーレットの言葉に腕を組みながら答えた。

「この者も警戒して、魔法契約の文言に危害を与えない、精神を乗っ取らないなど入れたのだよ。しかし、緊急時の命の危険があるやむ終えない場合は、魔法の扱いに長けている私に身体の主導権を譲ると入れたのだ。こうして私は触媒を得て自由に動けるようになったのだよ」

全員が身構えて臨戦態勢を取っていた。

「その契約………【一時的に】主導権を譲ると言う言葉を抜かしたわね?これで永久にクロウ王子の身体はあなたの物となった。違うかしら?」

黒い物体は拍手をして称賛した。

「正解だ!」

この物体に嫌悪感を覚えるには十分であった。

「シオンが聖属性のスキルを授かったおかげで身体から追い出されたが、ちょうどいい!自由に動けるようになったお陰で、今まで以上に貴様を狙える!」

「話は聞いたけど、あなたは邪神なの?」
「如何にも。その邪神が死の間際に放った呪いが具現化したものよ」

フィーネが前に飛び出した。

「フィーネ!?」

「邪神が死んで千年以上経っているわ!そして生まれ変わったシオンを何度も殺したじゃない!もういい加減にしてよ!!!」

!?

フィーネの言葉にシオン以外の仲間が目を開いて驚いた。

「何度も………殺した………?」

「シオンの前世では私が少し目を離したスキに事故で亡くなったわ。その前の人生でも、前々の人生でも、邪神の死の呪いのせいでちょっとした事で命を落としていたのよ。それを何とかしたくて女神アルテミス様がこの世界に呼んだんです!この世界のスキルや魔法の力なら邪神の呪いを解呪できるかもと思って」

そうだったのね。
シオンはやっと理解した。
自分が護られていた事を知った。

「はぁ~何を言うかと思えば。我の行動理念はシオンを殺すこと。何度生まれ変わってもそれは変わらん!」

ブチッ!!!


邪神の言葉に何かがキレる音がした。






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