family
結婚式の翌日、叶谷 雫(26)は夫・叶谷 柚をハネムーンの事故で失った。乗用車のながら運転による接触事故でバスが横転し、雫は奇跡的に一命を取り留めたが、柚は帰らぬ人となった。孤児院育ちで身寄りのない雫にとって、柚との結婚は初めて手に入れた「家族」だった。
葬儀すら満足にできないまま、雫は柚の祖母が遺した築七十年の古民家を訪れる。だが扉を開けた瞬間、そこにいたのは見知らぬ少年だった。薄汚れた服、怯えた瞳。涙が引っ込むほどの衝撃。
少年は自分の名前すら知らなかった。「おまえ」「カス」としか呼ばれたことがなく、虐待を受けていたことが次第に明らかになる。「通報しないでください」と懇願する少年に、感情移入する。そこへ町内会の用事で訪れた区長の息子・白坂誉(29)も巻き込み、二人は誰にも告げずに少年を匿うことを決意する。
善意から始まった「家族ごっこ」は、果たして愛だったのか、罪だったのか。
血の繋がりのない者たちが九十日間だけ築いた「family」の結末を描く、現代ヒューマンドラマ。
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