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3巻
3-2
そうこうしているうちに、孤児たちを孤児院に送り届ける日が来た。
そして、僕の嫌な予感は当たってしまったと理解したよ。
僕は移送といっても、孤児たちを魔王国内の孤児院に送るだけの簡単な仕事だと思っていた。
それなのに、魔王国の重鎮である武官の長・イグリス殿が、精鋭の部下を率いて護衛にやって来たんだ。更に僕らの馬車の隊列は、どんどん南東に進んでいった。
馬車が進むスピードが異様に速いのにも驚いたよ。
僕たちが乗っている馬車は揺れが激しくて、兄上はグロッキーになってしまった。
休憩で馬車が停まった時にシスターに尋ねてみたところ、彼女たちの馬車ではほとんど揺れを感じなかったという。
それに椅子はフカフカだし、中が信じられないくらい広いらしい。
王族の使う馬車よりもいい馬車みたいだけど、そんなものがあるなんて驚いてしまった。
イグリス殿に詳しい事情を尋ねたら、シスターや孤児たちを乗せていた二台の馬車はセブール殿からの借り物らしい。
馬車をよく見たところ、恐ろしい数の付与魔法が掛けられているのが分かった。
術者は一体誰なんだろう? 魔王国にも、こんな事ができる術者はいないと思う。
あの馬車、魔王国の王家に売ってもらえないだろうか。
その後も僕たちは、野営をしつつ馬車で移動を続けた。
そしてたった二日で、オイフェス王国、ウラル王国、ゴダル王国と、三つの国を縦断してしまったんだ。
ウラル王国とゴダル王国は小国だけど、普通はこんなに早く縦断できないのに。
セブール殿と合流して草原地帯を進み、しばらくしたところで護衛の兵士たちが騒がしくなった。
どうしたのかと思っているうちに馬車が停まる。
孤児院に到着したのかと思って馬車から外を覗き、僕は目を見開いた。
こんな所に、どうして……
そこには見上げるほどの高さの、堅牢な城壁がそびえ立っていたんだ。
父上。父上は、どうしてこんな所に僕を向かわせたんですか。
ここは今まで、何もなかった土地なのですか……
拝啓、父上様。草原地帯に城塞ができてましたよ。
僕は、どうすればいいのでしょうか。
三話 親子の再会
私――ラギアは、馬車の隊列を護衛する任務を命じられた。
イグリス殿に聞いたところによると、魔王国の王子二人と孤児たち、それに孤児院を運営する教会関係者を、シグムンド殿が作った孤児院に送り届けるのだという。
孤児院を任せる者の人選は、バーグ殿下とダーヴィッド殿下が行ったそうだ。といってもバーグ殿下は、ダーヴィッド殿下に仕事を押しつけたみたいだけど。
ダーヴィッド殿下は災難だったわね。だけど彼の人を見る目、なかなかだと思ったわ。
魔族の司祭、ロダン殿は、私の夫・ルードの学生時代の恩師だ。その人柄は私も知っており、素晴らしい方だと思っている。
魔族のシスター、アーシアは、私の学生時代の先輩にあたる人。見た目はほんわかしてるけど、怒らせると怖い。とはいえ誰に対しても親切で、優しい性格だ。
もう一人のシスターのメルティーは唯一の人族で、まだ十代半ばの可愛い少女だ。もともとは孤児で、同じような境遇の子供を救いたいと応募したらしい。
教会関係者と孤児たちを乗せる馬車は、お義父さんが貸してくれた。
馬車はとんでもなく高性能で、買うとしたら一体いくらになるのか、想像もつかない。
「ラギアさん。この馬車の中、私の部屋より快適なんですよ。それに見た事もない色々なオモチャが積んであって、子供たちはみんな遊ぶのに夢中です」
移動の途中でメルティーちゃんに馬車の乗り心地を尋ねてみると、そんな事を言っていた。
「へぇ、あの人にも案外優しいとこあるんだね……」
あの人というのは、もちろんシグムンド殿の事だ。
こうして私たちは、驚くほど速いペースで目的地へ移動していく。
今までの馬車では、騎獣のパワーやスタミナをフルに活かせていなかったみたい。馬車が高性能になって騎獣たちのスペックを活かせれば、こんなに速く進むのかと驚くばかりだわ。
ただスピードアップした分、普通の馬車を使っているバーグ殿下とダーヴィッド殿下は、乗り心地が悪くてかわいそうね。
そういえば孤児やシスターたちは、道中の食事に豪華なものを提供されたみたい。殿下たち二人でさえ、保存食を食べていたのにね。
今までひもじい思いをしてきたであろう孤児たちは、お腹いっぱい食べられて幸せそうにしていたわ。
孤児たちの食事を用意したのも、きっとシグムンド殿でしょうね。
そのうちに、とうとう草原地帯に差しかかった。
道中で文句がうるさかったバーグ殿下は、ここに来ても「こんなの聞いていない」と騒いでたわ。
でも陛下がバーグ殿下に行き先を教えなかったのも、仕方がないわよね。最初から教えていたら、バーグ殿下は確実に逃げるもの。
それはそうと、私のシグムンド殿に対する認識もまだまだ甘かったみたい。草原地帯を少し進んだら、見えちゃいけないものが見えてきて、呆然としてしまった。
なんでこんな所に、城塞があるの?
城壁の高さは、十五メートルはありそう。近付いていくにつれて、水の引かれた堀、跳ね橋、重厚な門なども見えてきた。
呆気に取られているうちに跳ね橋が下ろされ、城門が開く。
馬車の隊列と一緒に再び進んでいき、城壁の中へ入ってまたびっくりした。
広い石畳の道がまっすぐ続いていて、道の先には城としか言いようのない、巨大な建物がそびえていたの。道の両脇にもたくさんの建物が並んでいたわ。
これは城塞って言うより、城塞都市って言った方がしっくり来るわね。
城壁の中はとても広いけど、人の気配はない。
中央にある城の東側には、畑が広がっているみたい。
この規模の城塞都市に見合う人口が暮らしていくとなると、流石に城壁の中の畑だけでは食料は賄えない気がする。でも孤児院関係者くらいの人数なら、今のところ心配はいらないでしょうね。
「子供たちを休ませてあげたいので、孤児院に向かいましょう」
お義父さんはそう言って、私たちを案内してくれた。
教会へ到着した途端、ロダン司祭とアーシア先輩が興奮気味に声を上げる。
「おお! なんて立派な教会だ!」
「その横にあるのが孤児院だそうです、ロダン司祭。こちらも、とても広くて立派ですよ!」
この教会は魔王国の教会とは違った雰囲気だけど、素晴らしい建造物なのは私にも分かる。隣には孤児院が併設されていて、こちらも敷地が広く、快適そうだった。
孤児院を眺めていたら、中から私の可愛い娘・リーファが出てきた。
「あら、お母様が移送の護衛だったの?」
「ええ。多分陛下が、あなたやお義父さんがいるからって気を利かせてくれたのね」
私とリーファが話していると、お義父さんが側にやって来た。
「リーファ、子供たちを頼めるか?」
「ええ、お祖父様。準備はできているわ。子供たちを馬車から降ろすわね」
どうやらリーファは、子供たちを休ませる部屋を用意してくれたみたいね。
「ラギアもリーファ嬢を手伝ってくれるか?」
そのやり取りを見ていたイグリス様が、そう私に頼んだ。
今回イグリス様に同行した兵士たちはみんな有能な者ばかりだけど、子供の扱いに慣れているのは私くらいだものね。
アーシア先輩やメルティーちゃんにも手伝ってもらい、孤児たちを孤児院の中へ連れていく。
子供たちは真新しい建物に興味津々だった。
ここがこれからあなたたちが暮らす場所よと教えたら、よほど嬉しかったんでしょうね、我先に奥へ駆け出していったわ。
「いい孤児院ね」
リーファにそう言うと、どこか得意げな声で応じてくる。
「でしょう。冷暖房完備だし、ベッドもフカフカなのよ」
「あら、私が住む家よりすごいんじゃない?」
「比べちゃダメよ。ここは建物から、設置してある魔導具から、すべてご主人様の特製だもの」
リーファが誇らしげにシグムンド殿の事を語る顔を見て、ああ、この子も恋をするような歳かと感慨深くなる。会わずにいるうちに、リーファはこんなに成長していたのね。
私とルードは共に魔王国の王城勤めで、昔からリーファと一緒に過ごす時間が少なかったの。
先代魔王のバール陛下が他国に戦争を仕掛けたせいで、私たち部下は忙しく、リーファは専属のメイドに世話されて育ったわ。
その上、戦争が終わってから、リーファはお義父さんと暮らすと言い出したの。
それは心配だったわ。だって、若い娘が危険な深淵の森の近くに住むなんて。
ルードも大反対したけど、結局リーファに押し切られていたわね。あの人、娘には弱いから。
そんな事を思い返していたら、リーファが声を掛けてきた。
「お母様、私は司祭様とシスターに施設の説明をしてくるわ。イグリス様やお母様は……中央の大きな建物が見えたでしょう? 今日は、あそこに泊まっていって」
「分かったわ。ところで、あなたとは後で話せるんでしょうね?」
「うん。皆さんのお世話があるから、一緒に食事するのは無理かもしれないけど、後でお母様の泊まる部屋を訪ねるわね」
「待ってるわ」
「はーい!」
リーファはそう返事をして、小走りで去っていった。
その後ろ姿を見ながら、親はなくとも子は育つものよね、と少し寂しく思う。
さてと……あとはバーグ殿下が問題を起こさなければ、今回の任務は無事終わりそうね。
四話 遠くに見えるのは……
俺――イグリスは、殿下お二人と子供たちを護送するよう、陛下に命じられた。
任務が無事果たせて、とりあえずホッとした。
とはいえ安堵よりも、ここの異常さに戸惑う気持ちの方が大きい。
魔王国では、何度も草原地帯の調査を行っている。だがこの土地には、もともと岩山などなかった。
つまりシグムンド殿は、岩山をも作り出したという事だ。
子供たちを孤児院に送り届けた後、俺たちは中央の建物――というより、城と呼ぶしかないが――に案内された。
そこで出された夕食の美味しさは衝撃だった。
その後は風呂を勧められ、また驚いた。この城には、大人が何人も入れる規模の浴場が備えられていたんだ。
風呂自体、一般的にはそう入れるものではないから、浴場なんてもっと珍しい。
俺は王城で浴場を経験してるから慣れてるが、部下たちはドギマギしていたな。
入浴後は、宿泊する部屋に通された。
俺にあてがわれたのは、広いリビングや寝室のある、バストイレ付きの豪華な部屋だった。
部屋の中で呆然としていると、ドアがノックされ、ラギアが他の兵士たちを連れてやって来た。
俺たちは陛下から、可能な範囲でシグムンド殿の力を探るよう指示されていたんだ。
それとなく集めていた情報を共有するため、全員で会議を始める。
「草原地帯に孤児院を作ったと伝えられ、ここまで来たが……まさかこんな城塞まで築いているとはな。少々……いや、だいぶ予想外だった」
セブール殿は、ここを砦と言っていたな。
その前に言っていた別荘という表現もおかしかったが、砦って表現もおかしい。砦って呼べる規模じゃないだろうと、思わず突っ込みそうになったぜ。
ここの城塞の城壁には、強力な付与魔法が掛けられていた。城壁の高さは魔王国の王都の方が上だろうが、強度はこの城塞の方が上だろうな。
今回の任務は、俺にとって驚きの連続だったが、それは部下たちも同じだったようだ。
「この草原地帯にこんな城塞都市を作るなんて。聖国が黙ってないですよね?」
「城塞だけでなく、馬車も異常でしたね。ここまでの旅程、三日は短縮されましたよ」
困惑した様子で口にする部下たち。
しかしその中に一人だけ、様子の違う者がいる。
「ラギア、お前はどうして平然としているんだ?」
「いえ、私も驚きはしました。だけど、もう慣れてしまったというか。あの人って、なんでもありですからね」
「そういえば、ラギアは以前シグムンド殿に直接会っていたのだったな……まぁ、あのバケモノ並みの強さを持つシグムンド殿なら、そういうものなのか?」
それにしても、理解の範疇を超えている気がするが。
ラギア以外の部下たちは、信じられないといった様子で話し続ける。
「ストーンゴーレムとアイアンゴーレムがここの護衛をしていたな。なんなんだよあれは」
「確かに、ゴーレムって単純な命令しかこなせないんじゃなかったか?」
「あのゴーレムたちは、間違いなく意思を持ってたよな」
城塞を短期間で築いた事も異常だが、ここにいるゴーレムたちもまた異常だった。
この城塞にはストーンゴーレムとアイアンゴーレムが何体かいて、城塞を護衛している。俺が深淵の森の外縁部で見たウッドゴーレムほどじゃなかったが、それでも奴らがやばいのは、一目見て分かった。
特にアイアンゴーレムの方を相手にしたら、魔王国の大隊でも全滅してしまうだろう。
「あのゴーレムはやべえな。俺でも勝てるか分からん」
「イグリス様でもですか……」
俺の言葉に、部下はショックを受けたようだった。
ここに連れてきた部下たちは精鋭中の精鋭だから、ゴーレムたちの異常な強さもなんとなく分かったはずだ。
だが、それでも認めたくなかったんだろうな。
「イグリス様、ここならもっと孤児を集めても大丈夫じゃないですか?」
ラギアが急にそう提案してきた。
「確かにな。セブール殿に打診し、シグムンド殿にかけ合ってもらおう。だがその前に、教会と孤児院を運営する人員を増やす必要があるぞ」
今魔王国では孤児が増えているが、すべて世話をするとなると、経済的にも人的にも負担が大きい。だから、ここに預けられるならありがたい限りだ。
ただ、魔族の孤児を人任せにするのは流石に気が引けるからな。ここに連れてくるのは、人族や獣人族の孤児たちが主になるだろう。
こんなにすごい施設があるなら、魔王国の孤児院よりここで暮らした方が幸せだったりしてな。
そう考えていたら、部下たちがまた話し始めた。
「それにしても、ここってえらく便利ですよね」
「確かに。トイレが清潔で臭わなかったな」
「お風呂も気持ちよかったですよね、イグリス様」
「ああ、異常な数の魔導具が設置されていたな」
魔王国では、魔導具は希少なアイテムだ。魔王国の陛下の部屋でも、設置されている魔導具は灯りの魔導具程度しかない。
「いくつか手に入ればいいが……」
俺の呟きが聞こえたのか、すかさずラギアが言う。
「娘に聞いてみましょうか?」
「おお、頼めるか?」
「はい。明日にでも話してみます」
軍事利用できるものなら別かもしれないが、生活を豊かにするためだけに使う魔導具であれば、シグムンド殿も提供してくれるんじゃないだろうか。
そんな事を話していたら、突然部屋のドアが開け放たれ、バーグ殿下が飛び込んできた。
「イグリス! 俺たちでここを占拠するぞ!」
いきなりそう叫んだバーグ殿下の後ろから、慌てた様子のダーヴィッド殿下が入ってくる。
「兄上! やめてください!」
なだめようとするダーヴィッド殿下を振り切り、バーグ殿下は興奮気味に続ける。
「我が魔王国が草原地帯にこんな拠点を得られれば、聖国だけでなく、西方諸国連合をまとめて倒せるぞ!」
バーグ殿下を除いた全員が、大きな溜息を吐いた。
「……ラギア」
「了解です」
俺がラギアに合図を送ると、ラギアは素早くバーグ殿下との間合いを詰め、その頭に拳骨を振り下ろした。
ゴンッ!
バタッ!
ラギアの手加減した一撃で、バーグ殿下はノビてしまった。
バーグ殿下を縛り上げるよう、部下に目で伝える。
側で様子を見ていたダーヴィッド殿下が、申し訳なさそうに言う。
「イグリス殿、ラギア殿、迷惑をかけてすみません。何を思ったのか、兄上が乱心して駆け出してしまって……僕が止める暇もありませんでした」
「問題ありませんよ。陛下からは、少々手荒い躾も許可していただきましたので」
そう、これはあくまでバーグ殿下への躾だ。
本来なら今のバーグ殿下の言動に対して、厳罰を与える必要があるからな。縛られる程度で済んでよかったと思ってもらいたいものだ。
「猿轡もしとけよ」
バーグ殿下を縛る部下に、そう指示しておく。
意識を取り戻した時、騒がれたら迷惑だからな。
「で、ダーヴィッド殿下。バーグ殿下は、どうしてここを占拠しようなんて言い出したんですか?」
「……さあ、僕にもさっぱり。万が一にも、いえ、億が一にもここを占拠できるはずないでしょうに。仮に占拠できたとしても、魔王国から離れた飛び地を得たって物資の補給すらままなりませんよね」
「ですな。我らなど、表にいるストーンゴーレムに制圧されてしまうでしょう」
「あのストーンゴーレム、そんなに強いのですか?」
「アイアンゴーレムの方はもっとやばいですよ」
「……兄上は、どうやってここを占拠するつもりだったんだろう?」
ダーヴィッド殿下は顔を青くしている。
この人はバーグ殿下と違い、まともでよかったよ。王になるとしたら、バーグ殿下よりダーヴィッド殿下だろうな。
といっても実力主義の魔王国では、王子だから王になれるとは限らない。むしろ魔王国で陛下に次ぐ武力の持ち主といえば、俺なんだよな。
だけど俺は王なんて窮屈なものにはなりたくない。陛下みたいに部屋に缶詰になって、書類仕事ばかりするのは死んでも嫌だからな。
だからこの武力を重んじる制度は、そろそろ見直してほしいものだ。
思えば先代のバール陛下は、内政の仕事が嫌であちこちに戦争を仕掛けてたのかもな。
そんな事を考えつつ、ダーヴィッド殿下に提案してみる。
「ダーヴィッド殿下。先ほどラギアと、ここに預ける孤児を増やしてはどうかと話していたんです。その準備として、教会と孤児院での働き手を追加で集めていただけませんか?」
「僕がですか?」
「ええ。ダーヴィッド殿下なら慎重に人選をするでしょうから、安心して任せられます。選ばれた者の身の上については諜報部で念入りに調査しますので、ご安心ください」
「分かりました。人員は何人くらい必要ですか?」
「教会に二人、孤児院に三人ってとこですかね。多い分には問題ないですよ」
「分かりました。王都に戻ったら、早速探します」
今回移送した孤児たちは、五歳以下の幼児が中心だ。
だが今度は、十歳前後の子を入れてみてもいいかもしれないな。きっと小さな子の面倒をみてくれるはずだ。
孤児たちにはロダン司祭が勉強を教えてくれるだろうし、孤児院を卒院した後に働く場は、セブール殿が考えてくれると思う。
ここは孤児たちにとって、いい環境になりそうだ。
そして、僕の嫌な予感は当たってしまったと理解したよ。
僕は移送といっても、孤児たちを魔王国内の孤児院に送るだけの簡単な仕事だと思っていた。
それなのに、魔王国の重鎮である武官の長・イグリス殿が、精鋭の部下を率いて護衛にやって来たんだ。更に僕らの馬車の隊列は、どんどん南東に進んでいった。
馬車が進むスピードが異様に速いのにも驚いたよ。
僕たちが乗っている馬車は揺れが激しくて、兄上はグロッキーになってしまった。
休憩で馬車が停まった時にシスターに尋ねてみたところ、彼女たちの馬車ではほとんど揺れを感じなかったという。
それに椅子はフカフカだし、中が信じられないくらい広いらしい。
王族の使う馬車よりもいい馬車みたいだけど、そんなものがあるなんて驚いてしまった。
イグリス殿に詳しい事情を尋ねたら、シスターや孤児たちを乗せていた二台の馬車はセブール殿からの借り物らしい。
馬車をよく見たところ、恐ろしい数の付与魔法が掛けられているのが分かった。
術者は一体誰なんだろう? 魔王国にも、こんな事ができる術者はいないと思う。
あの馬車、魔王国の王家に売ってもらえないだろうか。
その後も僕たちは、野営をしつつ馬車で移動を続けた。
そしてたった二日で、オイフェス王国、ウラル王国、ゴダル王国と、三つの国を縦断してしまったんだ。
ウラル王国とゴダル王国は小国だけど、普通はこんなに早く縦断できないのに。
セブール殿と合流して草原地帯を進み、しばらくしたところで護衛の兵士たちが騒がしくなった。
どうしたのかと思っているうちに馬車が停まる。
孤児院に到着したのかと思って馬車から外を覗き、僕は目を見開いた。
こんな所に、どうして……
そこには見上げるほどの高さの、堅牢な城壁がそびえ立っていたんだ。
父上。父上は、どうしてこんな所に僕を向かわせたんですか。
ここは今まで、何もなかった土地なのですか……
拝啓、父上様。草原地帯に城塞ができてましたよ。
僕は、どうすればいいのでしょうか。
三話 親子の再会
私――ラギアは、馬車の隊列を護衛する任務を命じられた。
イグリス殿に聞いたところによると、魔王国の王子二人と孤児たち、それに孤児院を運営する教会関係者を、シグムンド殿が作った孤児院に送り届けるのだという。
孤児院を任せる者の人選は、バーグ殿下とダーヴィッド殿下が行ったそうだ。といってもバーグ殿下は、ダーヴィッド殿下に仕事を押しつけたみたいだけど。
ダーヴィッド殿下は災難だったわね。だけど彼の人を見る目、なかなかだと思ったわ。
魔族の司祭、ロダン殿は、私の夫・ルードの学生時代の恩師だ。その人柄は私も知っており、素晴らしい方だと思っている。
魔族のシスター、アーシアは、私の学生時代の先輩にあたる人。見た目はほんわかしてるけど、怒らせると怖い。とはいえ誰に対しても親切で、優しい性格だ。
もう一人のシスターのメルティーは唯一の人族で、まだ十代半ばの可愛い少女だ。もともとは孤児で、同じような境遇の子供を救いたいと応募したらしい。
教会関係者と孤児たちを乗せる馬車は、お義父さんが貸してくれた。
馬車はとんでもなく高性能で、買うとしたら一体いくらになるのか、想像もつかない。
「ラギアさん。この馬車の中、私の部屋より快適なんですよ。それに見た事もない色々なオモチャが積んであって、子供たちはみんな遊ぶのに夢中です」
移動の途中でメルティーちゃんに馬車の乗り心地を尋ねてみると、そんな事を言っていた。
「へぇ、あの人にも案外優しいとこあるんだね……」
あの人というのは、もちろんシグムンド殿の事だ。
こうして私たちは、驚くほど速いペースで目的地へ移動していく。
今までの馬車では、騎獣のパワーやスタミナをフルに活かせていなかったみたい。馬車が高性能になって騎獣たちのスペックを活かせれば、こんなに速く進むのかと驚くばかりだわ。
ただスピードアップした分、普通の馬車を使っているバーグ殿下とダーヴィッド殿下は、乗り心地が悪くてかわいそうね。
そういえば孤児やシスターたちは、道中の食事に豪華なものを提供されたみたい。殿下たち二人でさえ、保存食を食べていたのにね。
今までひもじい思いをしてきたであろう孤児たちは、お腹いっぱい食べられて幸せそうにしていたわ。
孤児たちの食事を用意したのも、きっとシグムンド殿でしょうね。
そのうちに、とうとう草原地帯に差しかかった。
道中で文句がうるさかったバーグ殿下は、ここに来ても「こんなの聞いていない」と騒いでたわ。
でも陛下がバーグ殿下に行き先を教えなかったのも、仕方がないわよね。最初から教えていたら、バーグ殿下は確実に逃げるもの。
それはそうと、私のシグムンド殿に対する認識もまだまだ甘かったみたい。草原地帯を少し進んだら、見えちゃいけないものが見えてきて、呆然としてしまった。
なんでこんな所に、城塞があるの?
城壁の高さは、十五メートルはありそう。近付いていくにつれて、水の引かれた堀、跳ね橋、重厚な門なども見えてきた。
呆気に取られているうちに跳ね橋が下ろされ、城門が開く。
馬車の隊列と一緒に再び進んでいき、城壁の中へ入ってまたびっくりした。
広い石畳の道がまっすぐ続いていて、道の先には城としか言いようのない、巨大な建物がそびえていたの。道の両脇にもたくさんの建物が並んでいたわ。
これは城塞って言うより、城塞都市って言った方がしっくり来るわね。
城壁の中はとても広いけど、人の気配はない。
中央にある城の東側には、畑が広がっているみたい。
この規模の城塞都市に見合う人口が暮らしていくとなると、流石に城壁の中の畑だけでは食料は賄えない気がする。でも孤児院関係者くらいの人数なら、今のところ心配はいらないでしょうね。
「子供たちを休ませてあげたいので、孤児院に向かいましょう」
お義父さんはそう言って、私たちを案内してくれた。
教会へ到着した途端、ロダン司祭とアーシア先輩が興奮気味に声を上げる。
「おお! なんて立派な教会だ!」
「その横にあるのが孤児院だそうです、ロダン司祭。こちらも、とても広くて立派ですよ!」
この教会は魔王国の教会とは違った雰囲気だけど、素晴らしい建造物なのは私にも分かる。隣には孤児院が併設されていて、こちらも敷地が広く、快適そうだった。
孤児院を眺めていたら、中から私の可愛い娘・リーファが出てきた。
「あら、お母様が移送の護衛だったの?」
「ええ。多分陛下が、あなたやお義父さんがいるからって気を利かせてくれたのね」
私とリーファが話していると、お義父さんが側にやって来た。
「リーファ、子供たちを頼めるか?」
「ええ、お祖父様。準備はできているわ。子供たちを馬車から降ろすわね」
どうやらリーファは、子供たちを休ませる部屋を用意してくれたみたいね。
「ラギアもリーファ嬢を手伝ってくれるか?」
そのやり取りを見ていたイグリス様が、そう私に頼んだ。
今回イグリス様に同行した兵士たちはみんな有能な者ばかりだけど、子供の扱いに慣れているのは私くらいだものね。
アーシア先輩やメルティーちゃんにも手伝ってもらい、孤児たちを孤児院の中へ連れていく。
子供たちは真新しい建物に興味津々だった。
ここがこれからあなたたちが暮らす場所よと教えたら、よほど嬉しかったんでしょうね、我先に奥へ駆け出していったわ。
「いい孤児院ね」
リーファにそう言うと、どこか得意げな声で応じてくる。
「でしょう。冷暖房完備だし、ベッドもフカフカなのよ」
「あら、私が住む家よりすごいんじゃない?」
「比べちゃダメよ。ここは建物から、設置してある魔導具から、すべてご主人様の特製だもの」
リーファが誇らしげにシグムンド殿の事を語る顔を見て、ああ、この子も恋をするような歳かと感慨深くなる。会わずにいるうちに、リーファはこんなに成長していたのね。
私とルードは共に魔王国の王城勤めで、昔からリーファと一緒に過ごす時間が少なかったの。
先代魔王のバール陛下が他国に戦争を仕掛けたせいで、私たち部下は忙しく、リーファは専属のメイドに世話されて育ったわ。
その上、戦争が終わってから、リーファはお義父さんと暮らすと言い出したの。
それは心配だったわ。だって、若い娘が危険な深淵の森の近くに住むなんて。
ルードも大反対したけど、結局リーファに押し切られていたわね。あの人、娘には弱いから。
そんな事を思い返していたら、リーファが声を掛けてきた。
「お母様、私は司祭様とシスターに施設の説明をしてくるわ。イグリス様やお母様は……中央の大きな建物が見えたでしょう? 今日は、あそこに泊まっていって」
「分かったわ。ところで、あなたとは後で話せるんでしょうね?」
「うん。皆さんのお世話があるから、一緒に食事するのは無理かもしれないけど、後でお母様の泊まる部屋を訪ねるわね」
「待ってるわ」
「はーい!」
リーファはそう返事をして、小走りで去っていった。
その後ろ姿を見ながら、親はなくとも子は育つものよね、と少し寂しく思う。
さてと……あとはバーグ殿下が問題を起こさなければ、今回の任務は無事終わりそうね。
四話 遠くに見えるのは……
俺――イグリスは、殿下お二人と子供たちを護送するよう、陛下に命じられた。
任務が無事果たせて、とりあえずホッとした。
とはいえ安堵よりも、ここの異常さに戸惑う気持ちの方が大きい。
魔王国では、何度も草原地帯の調査を行っている。だがこの土地には、もともと岩山などなかった。
つまりシグムンド殿は、岩山をも作り出したという事だ。
子供たちを孤児院に送り届けた後、俺たちは中央の建物――というより、城と呼ぶしかないが――に案内された。
そこで出された夕食の美味しさは衝撃だった。
その後は風呂を勧められ、また驚いた。この城には、大人が何人も入れる規模の浴場が備えられていたんだ。
風呂自体、一般的にはそう入れるものではないから、浴場なんてもっと珍しい。
俺は王城で浴場を経験してるから慣れてるが、部下たちはドギマギしていたな。
入浴後は、宿泊する部屋に通された。
俺にあてがわれたのは、広いリビングや寝室のある、バストイレ付きの豪華な部屋だった。
部屋の中で呆然としていると、ドアがノックされ、ラギアが他の兵士たちを連れてやって来た。
俺たちは陛下から、可能な範囲でシグムンド殿の力を探るよう指示されていたんだ。
それとなく集めていた情報を共有するため、全員で会議を始める。
「草原地帯に孤児院を作ったと伝えられ、ここまで来たが……まさかこんな城塞まで築いているとはな。少々……いや、だいぶ予想外だった」
セブール殿は、ここを砦と言っていたな。
その前に言っていた別荘という表現もおかしかったが、砦って表現もおかしい。砦って呼べる規模じゃないだろうと、思わず突っ込みそうになったぜ。
ここの城塞の城壁には、強力な付与魔法が掛けられていた。城壁の高さは魔王国の王都の方が上だろうが、強度はこの城塞の方が上だろうな。
今回の任務は、俺にとって驚きの連続だったが、それは部下たちも同じだったようだ。
「この草原地帯にこんな城塞都市を作るなんて。聖国が黙ってないですよね?」
「城塞だけでなく、馬車も異常でしたね。ここまでの旅程、三日は短縮されましたよ」
困惑した様子で口にする部下たち。
しかしその中に一人だけ、様子の違う者がいる。
「ラギア、お前はどうして平然としているんだ?」
「いえ、私も驚きはしました。だけど、もう慣れてしまったというか。あの人って、なんでもありですからね」
「そういえば、ラギアは以前シグムンド殿に直接会っていたのだったな……まぁ、あのバケモノ並みの強さを持つシグムンド殿なら、そういうものなのか?」
それにしても、理解の範疇を超えている気がするが。
ラギア以外の部下たちは、信じられないといった様子で話し続ける。
「ストーンゴーレムとアイアンゴーレムがここの護衛をしていたな。なんなんだよあれは」
「確かに、ゴーレムって単純な命令しかこなせないんじゃなかったか?」
「あのゴーレムたちは、間違いなく意思を持ってたよな」
城塞を短期間で築いた事も異常だが、ここにいるゴーレムたちもまた異常だった。
この城塞にはストーンゴーレムとアイアンゴーレムが何体かいて、城塞を護衛している。俺が深淵の森の外縁部で見たウッドゴーレムほどじゃなかったが、それでも奴らがやばいのは、一目見て分かった。
特にアイアンゴーレムの方を相手にしたら、魔王国の大隊でも全滅してしまうだろう。
「あのゴーレムはやべえな。俺でも勝てるか分からん」
「イグリス様でもですか……」
俺の言葉に、部下はショックを受けたようだった。
ここに連れてきた部下たちは精鋭中の精鋭だから、ゴーレムたちの異常な強さもなんとなく分かったはずだ。
だが、それでも認めたくなかったんだろうな。
「イグリス様、ここならもっと孤児を集めても大丈夫じゃないですか?」
ラギアが急にそう提案してきた。
「確かにな。セブール殿に打診し、シグムンド殿にかけ合ってもらおう。だがその前に、教会と孤児院を運営する人員を増やす必要があるぞ」
今魔王国では孤児が増えているが、すべて世話をするとなると、経済的にも人的にも負担が大きい。だから、ここに預けられるならありがたい限りだ。
ただ、魔族の孤児を人任せにするのは流石に気が引けるからな。ここに連れてくるのは、人族や獣人族の孤児たちが主になるだろう。
こんなにすごい施設があるなら、魔王国の孤児院よりここで暮らした方が幸せだったりしてな。
そう考えていたら、部下たちがまた話し始めた。
「それにしても、ここってえらく便利ですよね」
「確かに。トイレが清潔で臭わなかったな」
「お風呂も気持ちよかったですよね、イグリス様」
「ああ、異常な数の魔導具が設置されていたな」
魔王国では、魔導具は希少なアイテムだ。魔王国の陛下の部屋でも、設置されている魔導具は灯りの魔導具程度しかない。
「いくつか手に入ればいいが……」
俺の呟きが聞こえたのか、すかさずラギアが言う。
「娘に聞いてみましょうか?」
「おお、頼めるか?」
「はい。明日にでも話してみます」
軍事利用できるものなら別かもしれないが、生活を豊かにするためだけに使う魔導具であれば、シグムンド殿も提供してくれるんじゃないだろうか。
そんな事を話していたら、突然部屋のドアが開け放たれ、バーグ殿下が飛び込んできた。
「イグリス! 俺たちでここを占拠するぞ!」
いきなりそう叫んだバーグ殿下の後ろから、慌てた様子のダーヴィッド殿下が入ってくる。
「兄上! やめてください!」
なだめようとするダーヴィッド殿下を振り切り、バーグ殿下は興奮気味に続ける。
「我が魔王国が草原地帯にこんな拠点を得られれば、聖国だけでなく、西方諸国連合をまとめて倒せるぞ!」
バーグ殿下を除いた全員が、大きな溜息を吐いた。
「……ラギア」
「了解です」
俺がラギアに合図を送ると、ラギアは素早くバーグ殿下との間合いを詰め、その頭に拳骨を振り下ろした。
ゴンッ!
バタッ!
ラギアの手加減した一撃で、バーグ殿下はノビてしまった。
バーグ殿下を縛り上げるよう、部下に目で伝える。
側で様子を見ていたダーヴィッド殿下が、申し訳なさそうに言う。
「イグリス殿、ラギア殿、迷惑をかけてすみません。何を思ったのか、兄上が乱心して駆け出してしまって……僕が止める暇もありませんでした」
「問題ありませんよ。陛下からは、少々手荒い躾も許可していただきましたので」
そう、これはあくまでバーグ殿下への躾だ。
本来なら今のバーグ殿下の言動に対して、厳罰を与える必要があるからな。縛られる程度で済んでよかったと思ってもらいたいものだ。
「猿轡もしとけよ」
バーグ殿下を縛る部下に、そう指示しておく。
意識を取り戻した時、騒がれたら迷惑だからな。
「で、ダーヴィッド殿下。バーグ殿下は、どうしてここを占拠しようなんて言い出したんですか?」
「……さあ、僕にもさっぱり。万が一にも、いえ、億が一にもここを占拠できるはずないでしょうに。仮に占拠できたとしても、魔王国から離れた飛び地を得たって物資の補給すらままなりませんよね」
「ですな。我らなど、表にいるストーンゴーレムに制圧されてしまうでしょう」
「あのストーンゴーレム、そんなに強いのですか?」
「アイアンゴーレムの方はもっとやばいですよ」
「……兄上は、どうやってここを占拠するつもりだったんだろう?」
ダーヴィッド殿下は顔を青くしている。
この人はバーグ殿下と違い、まともでよかったよ。王になるとしたら、バーグ殿下よりダーヴィッド殿下だろうな。
といっても実力主義の魔王国では、王子だから王になれるとは限らない。むしろ魔王国で陛下に次ぐ武力の持ち主といえば、俺なんだよな。
だけど俺は王なんて窮屈なものにはなりたくない。陛下みたいに部屋に缶詰になって、書類仕事ばかりするのは死んでも嫌だからな。
だからこの武力を重んじる制度は、そろそろ見直してほしいものだ。
思えば先代のバール陛下は、内政の仕事が嫌であちこちに戦争を仕掛けてたのかもな。
そんな事を考えつつ、ダーヴィッド殿下に提案してみる。
「ダーヴィッド殿下。先ほどラギアと、ここに預ける孤児を増やしてはどうかと話していたんです。その準備として、教会と孤児院での働き手を追加で集めていただけませんか?」
「僕がですか?」
「ええ。ダーヴィッド殿下なら慎重に人選をするでしょうから、安心して任せられます。選ばれた者の身の上については諜報部で念入りに調査しますので、ご安心ください」
「分かりました。人員は何人くらい必要ですか?」
「教会に二人、孤児院に三人ってとこですかね。多い分には問題ないですよ」
「分かりました。王都に戻ったら、早速探します」
今回移送した孤児たちは、五歳以下の幼児が中心だ。
だが今度は、十歳前後の子を入れてみてもいいかもしれないな。きっと小さな子の面倒をみてくれるはずだ。
孤児たちにはロダン司祭が勉強を教えてくれるだろうし、孤児院を卒院した後に働く場は、セブール殿が考えてくれると思う。
ここは孤児たちにとって、いい環境になりそうだ。
感想
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