22 / 44
22.ラフレシア・カーバイト④+?
ややこしいですが、ラフレシアside ⇨?A side ⇨ラフレシアside となります。
~~~~~~~~~~~~~~~~
─ ラフレシアside ─
やっと、あの女の前で私とライアン様の仲睦まじさを見せつけられると思っていたのに、訓練の打ち合わせだなんだと忙しいみたいで、放置されたままなんて面白くな~い。
ライアン様には、訓練に参加が認められていないから、参加する騎士達に見られないように言われていたけど、退屈過ぎて死にそう。
幸いな事に騎士達の中には、ライアン様以外にも格好いい方が何人もいる。
あの女の兄であるアレクサンデル、弟のペリドット、従兄のハロルド、そして東部辺境伯家嫡男のディーン様、その従弟であるヘリオドール様、あ~もう!名前を挙げたらきりが無いわ!
こっそり見に行ってもいいわよね。
バレても上目遣いで「ごめんなさい。」って言えば、きっとライアン様も許してくれるわよ。
で、イケメンウォッチしに行ったりしていたんだけど、ライアン様からは人の出入りがあまり無い棟にある部屋に放置されたままでバレる事もなかった。
でもいいの、いっぱいイケメンを見る事ができて満足したから。
イケメンを堪能して上機嫌になった私が部屋に戻ると、仮面を付けた男がいた。
「あの方からの預かり物だ。」
そう言って、投げて寄越したのは革袋。
その革袋の口には見た事の無い紋様と文字のような物が描かれている封がされていた。
中身を確認する為に袋の口を開けようとしたら、いきなり手首を掴まれた。
「開けるな!」
「ちょっと!痛いじゃない!」
「忠告しておく。袋を開ければあっという間にこの辺り一帯魔獣だらけになるぞ。」
「なっ……!?」
そんな物を何の説明もないまま投げて寄越すなんて!馬鹿なの!?
「あの方からの指示を伝える。いい加減ライアンを堕とせとさ。クックックッ。自称“いい女”が形無しだな。それとも“ミイラ取りがミイラになった”のか…。どちらにしても、このまま何の進展も無いなら他の者にやって貰う事になるだろうな。」
「他の者ですって?!冗談じゃないわ!堕として見せるわよ!」
失礼なその男を睨み付けているのに、何がそんなに面白いのか肩を震わせて笑っているからムカつく。
男は一頻り笑った後、
「さっきの袋の中には魔石が入っている。」
「!?」
魔石が入っていると聞いて血の気が引いた。
私が袋の中を見ようとした時、仮面の男が止めていなかったら…。
思わず身震いした。
「流石に魔石の事は知っていたか。もう一つの指示は、訓練中カレドニアに近付きその袋を利用して魔獣に襲わせろ。だそうだ。」
「そ、そんな、どうやればいいの?」
やり方ぐらい教えてくれても良さそうなものなのに……。
「は!そんな事は自分で考えろ。」
鼻で笑うと開いた窓から外へと飛び出して行った。
私はその男を呼び止める事もできず、魔石の入った袋を片手に立ち尽くした。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
─ ?A side ─
「あれを渡して、指示を伝えたか。」
椅子に座り机の上で書類にペンを走らせていた男が、振り返る事なく跪いて頭を垂れた俺に言った。
「は、万事滞りなく。…ですが、よろしかったのですか?あの様な者に任せて。」
書類の上に走らせていたペンを止め、顔を上げると未だ目の前に跪く俺に視線を向けた。
「構わん。どうせ使い捨ての駒だ。それにいつ魔獣が出るか分からない場所、何が起こったとしてもおかしくはない。」
「仰せの通りでございます。」
冷たい目で片方だけ口角を上げる主の表情に、何か冷たい物が背筋を伝う。
目的が達成された時、その場であの女を処分しろという。
恐ろしいお方だ…。
普段は物静かで柔やかな表情をしているだけに、一層恐ろしく感じる。
いつだったか誰かが言っていた言葉、
「柔やかに笑いながら人を斬れる方だ。」
その言葉に真実味が増す。
だが、もう戻れない。
まさか、とっくに棄てた過去の冴えない人生に戻りたいと思う日が来るとは思わなかった。
そして、そんな恐ろしいお方以上に恐ろしい存在がいる事などこの時の俺に分かる筈も無かった。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
─ ラフレシアside ─
仮面の男が去った後、どうやってそれを使うか考えた。
「……。」
「……。」
「……。」
こっそりとあの女の荷物に紛れさせる。又は革袋の口を開けて投げつける。
どれだけ考えてもそれ以外思いつかなかった。
どちらにしても、革袋の口を開けたらすぐにその場から離れなければならない。
そして私は当初の予定通り訓練に参加する。
でもその前にあの二人が別れやすいように、ちょっとだけてを貸してあげる事にした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
*いつもお読みいただきありがとうございます。
*お気に入り、しおり、エール等、本当にありがとうございます。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない
柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。
バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。
カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。
そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。
愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
夫婦戦争勃発5秒前! ~借金返済の代わりに女嫌いなオネエと政略結婚させられました!~
麻竹
恋愛
※タイトル変更しました。
夫「おブスは消えなさい。」
妻「ああそうですか、ならば戦争ですわね!!」
借金返済の肩代わりをする代わりに政略結婚の条件を出してきた侯爵家。いざ嫁いでみると夫になる人から「おブスは消えなさい!」と言われたので、夫婦戦争勃発させてみました。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。