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22.ラフレシア・カーバイト④+?
しおりを挟むややこしいですが、ラフレシアside ⇨?A side ⇨ラフレシアside となります。
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─ ラフレシアside ─
やっと、あの女の前で私とライアン様の仲睦まじさを見せつけられると思っていたのに、訓練の打ち合わせだなんだと忙しいみたいで、放置されたままなんて面白くな~い。
ライアン様には、訓練に参加が認められていないから、参加する騎士達に見られないように言われていたけど、退屈過ぎて死にそう。
幸いな事に騎士達の中には、ライアン様以外にも格好いい方が何人もいる。
あの女の兄であるアレクサンデル、弟のペリドット、従兄のハロルド、そして東部辺境伯家嫡男のディーン様、その従弟であるヘリオドール様、あ~もう!名前を挙げたらきりが無いわ!
こっそり見に行ってもいいわよね。
バレても上目遣いで「ごめんなさい。」って言えば、きっとライアン様も許してくれるわよ。
で、イケメンウォッチしに行ったりしていたんだけど、ライアン様からは人の出入りがあまり無い棟にある部屋に放置されたままでバレる事もなかった。
でもいいの、いっぱいイケメンを見る事ができて満足したから。
イケメンを堪能して上機嫌になった私が部屋に戻ると、仮面を付けた男がいた。
「あの方からの預かり物だ。」
そう言って、投げて寄越したのは革袋。
その革袋の口には見た事の無い紋様と文字のような物が描かれている封がされていた。
中身を確認する為に袋の口を開けようとしたら、いきなり手首を掴まれた。
「開けるな!」
「ちょっと!痛いじゃない!」
「忠告しておく。袋を開ければあっという間にこの辺り一帯魔獣だらけになるぞ。」
「なっ……!?」
そんな物を何の説明もないまま投げて寄越すなんて!馬鹿なの!?
「あの方からの指示を伝える。いい加減ライアンを堕とせとさ。クックックッ。自称“いい女”が形無しだな。それとも“ミイラ取りがミイラになった”のか…。どちらにしても、このまま何の進展も無いなら他の者にやって貰う事になるだろうな。」
「他の者ですって?!冗談じゃないわ!堕として見せるわよ!」
失礼なその男を睨み付けているのに、何がそんなに面白いのか肩を震わせて笑っているからムカつく。
男は一頻り笑った後、
「さっきの袋の中には魔石が入っている。」
「!?」
魔石が入っていると聞いて血の気が引いた。
私が袋の中を見ようとした時、仮面の男が止めていなかったら…。
思わず身震いした。
「流石に魔石の事は知っていたか。もう一つの指示は、訓練中カレドニアに近付きその袋を利用して魔獣に襲わせろ。だそうだ。」
「そ、そんな、どうやればいいの?」
やり方ぐらい教えてくれても良さそうなものなのに……。
「は!そんな事は自分で考えろ。」
鼻で笑うと開いた窓から外へと飛び出して行った。
私はその男を呼び止める事もできず、魔石の入った袋を片手に立ち尽くした。
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─ ?A side ─
「あれを渡して、指示を伝えたか。」
椅子に座り机の上で書類にペンを走らせていた男が、振り返る事なく跪いて頭を垂れた俺に言った。
「は、万事滞りなく。…ですが、よろしかったのですか?あの様な者に任せて。」
書類の上に走らせていたペンを止め、顔を上げると未だ目の前に跪く俺に視線を向けた。
「構わん。どうせ使い捨ての駒だ。それにいつ魔獣が出るか分からない場所、何が起こったとしてもおかしくはない。」
「仰せの通りでございます。」
冷たい目で片方だけ口角を上げる主の表情に、何か冷たい物が背筋を伝う。
目的が達成された時、その場であの女を処分しろという。
恐ろしいお方だ…。
普段は物静かで柔やかな表情をしているだけに、一層恐ろしく感じる。
いつだったか誰かが言っていた言葉、
「柔やかに笑いながら人を斬れる方だ。」
その言葉に真実味が増す。
だが、もう戻れない。
まさか、とっくに棄てた過去の冴えない人生に戻りたいと思う日が来るとは思わなかった。
そして、そんな恐ろしいお方以上に恐ろしい存在がいる事などこの時の俺に分かる筈も無かった。
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─ ラフレシアside ─
仮面の男が去った後、どうやってそれを使うか考えた。
「……。」
「……。」
「……。」
こっそりとあの女の荷物に紛れさせる。又は革袋の口を開けて投げつける。
どれだけ考えてもそれ以外思いつかなかった。
どちらにしても、革袋の口を開けたらすぐにその場から離れなければならない。
そして私は当初の予定通り訓練に参加する。
でもその前にあの二人が別れやすいように、ちょっとだけてを貸してあげる事にした。
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