タブー的幻想録

ももいろ珊瑚

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第九章 肉欲と呼ぶもの

意図に反する度重なり

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『文中には性描写も使用しており、R18指定とさせて頂いております。18歳未満の方、好まれない方の閲覧は御遠慮くださる様お願い致します。』




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 (ここまでした女は初めてだ。こういうのが慣れているのか?そうでも無いか……放って置けば相手にされない事に気付くだろう。が終電に間に合わないじゃないか!面倒な女だ)

「テレビと同じことして!ほらもっと感じだしてよ。声にも出してだよ」

 嫌われていると更々気がつかないマユミの全てを憎々しく感じる。
 冷蔵庫から取ってきた缶ビールを飲みながら、恥ずかしさに幾度も目を閉じようとするのを言葉で制す。

 (画面の中であろうが目の前で実演してようがうごめく女体ってだけ。エロビデオが2台同時に動いているだけに過ぎない)

 何にを感じることも無い。 僕が求めているのはただ一つ女神の降臨なのだから。

(アノヒトの温もりはもう忘れ去った。それをこのオンナが思い出させようとした!)

 昂ぶりを覚えて来たのか、微かだがマユミが喘ぎを洩らすのが聞こえてくる。 それに誘われるように視線を身体の上に移すと、唇を開いては噛んでいる。
 目が合いその口元が緩む。 涙を流していた。 指を上下する速さが増したか、声が高くなり目を閉じかけた。

「駄目だよこっちをしっかり見なきゃ。それに逝っちゃ駄目、我慢して」
「ハイ……我慢します……とおるに見られてマユミ嬉しい」

 無理矢理に引き戻されマユミは辛そうな声で答える

「勝手に呼び捨てにしないでくれ!お前なんかに名前を呼ばれる事すら嫌なんだよ!それになんで?逝きたくないの?逝きたいならそうすれば?アホみたいに無理しなくていいじゃない!」
「だってわた……しとおるさんのこと、ずっとスキ……好きなのぉ!はぁん……ん、ああっ、我慢デキナイ!とおるさん!あぁもうダメェ」

 弱々しく震えるその声が僕の胸に刺さった。
 その姿は自分の様に見た。 そして僕の腕の中にいたアノヒトの様にも。

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